ユキノの雑語りブログ

ただのオタク

『トラペジウム』を語りたい


ト~ラトラトラトラ~!トラペジウムを観たペジウムよ~!








皆さんは『トラペジウム』という映画をもう観ただろうか?
ボクはこのブログを書き始めた直前、2024年5月18日の日付が変わる直前まで、終電ギリギリのレイトショーで観てきたわけだがまあ凄い映画だった。

正直に言うとボクはこの映画を観に行くつもりは無かったし、ノイタミナで『うる星やつら』を見ているとCMが流れ
るな~という程度の認識だった。
しかし、公開直後に少々アレなワードを使った感想ツイートがバズっており、それを見たTwitterのフォロワーさん達が観に行って該当ツイートにキレてたのを見て興味が出たので「なら観てみるか」と思った次第である。ボクも該当ツイートはよく見てないのだが、該当ツイートが真なのか、それとも有象無象のアニメに本気に生きてるフォロワーが真なのか、それを確かめるために映画館へと足を運んだのである。


『はじめてアイドルを見たとき思ったの。人間って光るんだって。』

というわけでザックリとだがキャラクター解説をしていこうと思う。

東ゆう

本作の主人公。
自身の野望である「アイドルになる」を叶えるために緻密な計画を練り、アイドルへと成り上がろうとしており、他の3人を導いた人物。しかし性格に難があり・・・。
仮面ライダーエグゼイド』の檀黎斗や『仮面ライダーゼロワン』の天津垓のようなキャラ。

華鳥蘭子

ゆうが最初にスカウトした人物。
お嬢様であり、テニス部所属ながらもテニスが弱い。
4人の中で一番仲間思いな人物。

大河くるみ

ゆうが二番目にスカウトした人物。
高専に通っておりロボット制作が好きな少女。ロボットの大会でも記録を残している。

亀井美嘉

小学生時代のゆうの知り合い。
ボランティアに積極的に参加している。

工藤真司

くるみの同級生。
カメラが趣味。
この物語におけるある種のキーパーソン。

『トラペジウム』とはどういう作品の感想

※この項目からはネタバレを含みます

まあこのブログを読んでいる時点で観ていない人は居ないと思いますが・・・


まず結論から言うと、『トラペジウム』の感想なのだがメッチャ面白かった。
これを見て「サイコパス映画www」と言ってバズった奴とそれに便乗した奴を殴り倒して瞬きも出来ない状態にして席に縛りつけてこの映画をちゃんと見せてやりたいと思えるくらいには面白かった。

この映画の事を予備知識も入れずに予告だけ見て「王道青春アイドルストーリー」かと思って観に行ったがそんな事は無い。この映画は「青春の光と影」であり「夢を追い求める姿」を描いた作品なのである。

正直に言うと「青春アイドルストーリー」と思わせる予告やプロモーションの仕方は普通に損をしていると強く思う。何故ならこの作品はそんな一面を残酷にも肯定はせず、それでも否定に行き切らないという絶妙なラインで作りあげられたお話だからだ。


ところで少し話が変わるが皆さんは『ミラクルボール』という漫画を御存知だろうか?

ボクが小学生の頃に月刊コロコロコミックで連載されていた漫画なのだが、ボクは当時スポーツ物に興味が無かったため読んではいなかったのだが、友人がこの漫画を読んでいた。
詳細は省くがこの漫画は主人公視点だと少々ビターな終わり方をしてしまう。がしかし、ある種救いの様なアフターエピソードでこの作品は終わるのだ。

『トラペジウム』はまさにそういう作品である。

普通の作品、というかアイドル映画なら順調なアイドル活動にも陰りが見えチーム解散の危機になるが、最後は何とか持ち直し大きいライブなりを成功させてハッピーエンドだろう。
しかしこの作品は空中分解の挫折のままラストまで進んでしまう。言わば「アイドル」としての再起のエピソードが無いのだ。
そう、この作品は非常に残酷である。
なにせこの作品において「アイドル」に真剣に取り組み「アイドル」になろうとした人間は東ゆうだけであり、他の3人は東ゆうの野望に巻き込まれた言わば被害者である。


皆さんこんにちは。東ゆうです。
今日は皆さんに残念なお知らせがあります。
東西南北(仮)は、正義ではない。
私の野望の、捨て石だったのです。


だからこそ、蘭子は苦手を克服しようとしなかったし、くるみはアイドルから逃げたがってたし、美嘉は彼氏が居るという事実を重く受け止めてなかったのである。彼女らにとって「アイドル」の仕事とは東ゆうとの友達付き合いの延長であり、「非現実的な事象」なのである。
人生の目標が「アイドル」ではない彼女らにとっては学業やそれに付随する将来の方が優先順位としては高く、逆に東ゆうは「アイドル」こそが人生の目標であり、それは学業や将来設計を捨ててでも成し遂げたい野望なのだ。

また、この作品はアイドル作品ながらも、アイドルによって青春を消費される残酷さも描いている。
東ゆう以外の3人にとっては「アイドル」よりも「まだ見ぬ将来」の方が重要なのだが、それすらも飲み込もうとする「アイドル」という物は人生に大きく左右してくるだろう。

では彼女らにとって東ゆうに振り回された事、そしてアイドルをしていた事は間違いだったのか。
その答えはノーであろう。

東ゆうに振り回されたからこそ、この4人は自分を見つめ、将来を考えるキッカケとなったと言える。
「アイドル」をしていた事は青春のほんの一瞬の輝きに過ぎなかったが、ここで繋がった事は決して嘘にはならず、未来への始まりとなっている。

人生を左右する重大イベント、「夢」を目指す事の理想と現実、そして人が誰しも持つ光と闇、そういった「青春の光と闇」を内包したのがこの『トラペジウム』という作品である。


そんな凸凹まみれで決して奇麗ではない瞬間瞬間を必死に生きるエピソードなのだが、中盤の文化祭シーンが全てを物語っており、このシーンに物語が集約しているのが圧巻だっただろう。
それぞれが思い描く「10年後の自分」はアイドルではなく自分の好きな事をしている格好だった。そしてこれこそがこの4人の将来を暗示しているシーンであり、この直前も含めて「この4人は本来交わるはずがない、同じ方向には向かわない」というのを色濃く描いていたのである。
そしてこのシーンで東ゆうは両足が義足の車椅子の少女・サチからアイドルの衣装を渡され、「アイドル」になると約束する。作劇としてはこの時点で東ゆうの「アイドルになる」という野望は「他者から託された夢」となっていたのだ。東ゆう自身にその自覚はなかっただろうが、だからこそ挫折をしてもその「託された夢」を諦めなかったのであろう。


この物語はトラペジウム=どの二つの辺も平行ではない四角形、そしてその形をしたオリオン座。その歪ながらも奇麗な輝きを描いていたのである。

声優について

本作は声優の演技も素晴らしく、特に本業が声優ではないJO1の木全翔也内村光良は全く違和感がなく、言われるまで気付かないレベルでとても上手い。
そしてなによりも羊宮妃那さんの演技力が爆発した1シーンは圧巻だっただろう。セレプロから知っている声優さんだが、本当に上手いと思わされる。
東西南北4人の声優が皆、少女達の繊細さや感情のふり幅の演技が素晴らしいため必見である。

ただしゲスト声優の高山一実西野七瀬の爺さん役だけは無理があっただろう。いやこの二人が悪いわけじゃないのだが、何故この二人を爺さんその2、その3に配役したのかは本当に理解に苦しむものであった。そこはもう思い切って婆さんにしてやれよとも思ったが、爺さん一人が婆さん二人を侍らせてる絵面を出したらそれはそれでアレなので仕方なかったのだろうか・・・。

まあとにもかくにも必見である。

SNSに流されるな、その目で見ろ!

というわけで最初のSNSの感想に戻ろうと思う。
この作品を「サイコパス」という単語で片付けてしまう人は非常にもったいないと思う。
確かに東ゆうは万人受けする人物ではない。しかしこの作品はそこを肯定もせず否定もせず、一人の人間の在り方として描いているのだ。だからこそ例のバズった感想は上辺しか見ておらず、かつ物語を見ていないのだ。
そんな感想が初動のタイミングでバズったもんだから映画としてはもうそこでマイナスイメージである。
インターネットにおいては「玩具にしていい対象」に対してはとことん罵詈雑言を投げかけても許される印象がある。だからこそそこの感想に集まって安易に「サイコパス映画」として捉えられるのは非常に腹立たしいのである。
見てもないのにとりあえず酷い映画の比喩として『デビルマン(実写版)』を引き合いに出したり、『君の名は。』が大ヒットを飛ばした後に公開された『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を『君の名は。』と比べてよく理解せずに酷評したりとまあとにかくそういう類である。
インターネットは昔に比べてオープンになった。だからこそ10年前のネットのノリは今じゃ不快になるものもある。
だからこそ、そういう安易なバズを狙おうとせずにもっと作品に真剣に向き合ってほしい気持ちがある。
件のツイートは別にバズる意図は無かったかもしれない。しかし結果バズったことにより映画に対する悪評が下手に広まったとも言える。
悪名は無名に勝るとは言うが、それが効くのはあくまで自分の範疇であり、他者を侵害していいわけではない。

だからこそSNSの変な評価の波に飲まれず、せめて現行で見られる物くらいは自分の目で見て自分の意見を持ってほしいと思う。

140字に言葉の強さを込めるTwitterというものは光にも闇にもなる。だからこそ光を目指したい。

自戒も込めてこの項目は締めようと思う。

まとめ

いかがだっただろうか。

何だかんだ3月くらいからブログを更新していなかったためかなり久しぶりのブログとなったわけだが、まあ今後もマイペースにやっていければいいだろう。書きたいネタは思いつくが筆が進まないことも多々あるしね・・・。

というわけで今回は映画『トラペジウム』の感想だった。
まだまだ映画は公開中。ゴリラが大活躍する映画や猿がいっぱい出る映画があったり本気で徒競走をする映画や結束してるバンドの映画が控えていたりするが、皆さんも是非『トラペジウム』という名作を目撃してほしい。きっと埋もれてしまうし多分金ローみたいなので放送したりもしないだろうから。
だからこそ、やっている今、劇場で見てほしい。じゃないと君たち配信が来ても見ないでしょ?

というわけで今回はここまでである。

それでは次回のブログで。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。