
皆さんは2024年夏アニメは何を見て、何が好きだっただろうか?
ボクが特に面白かったなと思ったアニメは『先輩はおとこのこ』、『ダンジョンの中のひと』、『逃げ上手の若君』辺りで、他にもドハマリするほどじゃないけど面白かったなと思えるアニメは『真夜中ぱんチ』、『負けヒロインが多すぎる!』、『よあそびぐらし』辺りである。他にも惜しかったが個人的には好きだったのとしては『菜なれ花なれ』もある。
また、ドラマ『星屑テレパス』もかなり楽しめる作品だっただろう。
ではここからが本題なのだが、皆さんは『グレンダイザーU』を見ただろうか?
放送前は話題になっていた本作だが、まあ放送中は色々あった作品である。
今回はそんな『グレンダイザーU』を個人的な感想を主観に紹介していこうと思う。
なので今回のブログはもしかしたらネガティブなモノになるかもしれないので予め注意してほしい。
それでは始めていこう。
『グレンダイザー』とは

まあこのブログに飛んできた人はグレンダイザーを知らないよって人は居ないと思われるが、まず最初に説明するのが礼儀と言うものだろう。
『グレンダイザー』とは日本人なら誰もがその存在を知っているであろう『マジンガーZ』の第三作目である『UFOロボ グレンダイザー』である。本作のパイロットフィルムである『宇宙円盤大戦争』もあるのだがまあそれに触れると長くなるので今回は割愛。
今から約50年前に放送された本作はボク自身も『スーパーロボット大戦(スパロボ)』で知り、スパロボでしか知らないのだが、まあザックリ説明するとフリード星という故郷の星をベガ大王率いるベガ星連合軍に滅ぼされ、地球に流れついた王子 デューク・フリードが、地球侵略に来たベガ星連合と戦う作品である。
このロボット、見て分かる通りカラーリング以外マジンガーZやグレートマジンガーと全く似ていない。それにタイトルに「マジンガー」と入っていないため、ボクは最初「これってマジンガーの作品なの!?」と驚いた記憶がある。
そんな『UFOロボ グレンダイザー』。日本ではみんな知ってる作品というほどの知名度はなく、まあ昔見ていた人やロボットアニメ好きな人は知っているくらいの懐かしのアニメという扱いだろう。また、スパロボでも昔は常連だった昭和マジンガー組の中でも参戦に恵まれている印象が無く、これだけハブられていることも多い。家庭用では『スーパーロボット大戦Z』を最後に20年近く参戦していない(とはいえアプリでは出ているが)。
だが、海を越えるとフランスや中東では本作はとても人気で知名度があり、フランスでは視聴率100%を超えたという話や、イラクでは放送時間になると街から子供が消えるほどの人気があったという嘘かホントか分からないがそれほど人気があったという逸話が出来るほどの作品である。フィリピンの『超電磁マシーン ボルテスV』、イタリアの『鋼鉄ジーグ』、アメリカの『パワーレンジャー』、ブラジルの『巨獣特捜ジャスピオン』みたいな存在である。
その人気を裏付けるように、近年ではフランスの会社で(ちゃんと公式ライセンスで)ゲームが作られたり、今回のリメイクもアラブの石油王がバックに居たから出来たみたいな話がある。

『グレンダイザーU』の評判
では本題の作品である『グレンダイザーU』について書いていこう。
まさかの50年ぶりのリブートとして発表された本作。
総監督に福田己津央、シリーズ構成に大河内一楼、キャラクターデザインに貞本義行、音楽に田中公平とネームバリュー抜群なスタッフに豪華な声優陣、その上バックにサウジの富豪が付いているなど前評判としてのインパクトは抜群だった本作。発表された時はロボットアニメ好きはそれはそれは盛り上がっていた印象がある。
では蓋を開けてみるとどうだったかと言うと、1話の時点では話題を見たと思うが、以降はだんだんと話題を見なくなり、マジンガーX登場は盛り上がってたものも、その後は不満が噴出していたという印象がある。
また、後でも記述するが、制作に入った人たちの内情暴露もあまりいい話がなかったりとまあ色々あった作品であった。
総評としては残念リメイクという扱いだっただろう。
本作に対する感想
ここからはボク個人の感想を書いていこうと思う。
一言で表すと「面白くはないけど嫌いにはなれないアニメ」だろう。
確かにお話はお世辞にも面白いと言えるものではなかった。毎回のように話が進まず、同じような話を繰り返している印象しかなく、結果的に話が大きく動いてたなと思えたのはラスト3話くらいだっただろう。特にカサドという新キャラクターの存在が本当に要らなかったなと感じ、10話くらいまで存在を引っ張った割には道中ほぼ幽閉されていたり、あまりにも話に絡まずに存在が放置されていたため、コイツは早々に処理してコイツに割く尺を他の事に使った方が良かっただろうと思う。
こちらのインタビューで触れられているのだが、カサドは元々3話で死ぬ予定だったのがスタッフ人気が出て終盤まで出番があったと言われている。
しかし実際見ると分かるのだが、結果としてカサドという存在を作品自体が持て余し、キャラクター自体が何をしたいのか、作り手側が何をさせたいのかが全く分からないキャラクターとなってしまっている。
また、オリジナルから大きくキャラクター性が変わったヒカルも、大きく変わってしまった結果か、結局それっぽいことを言うだけで何がしたいのかよく分からない、よく分からないけどなんか味方側に居て、なんかよく分からないけど味方側と共闘している(その割には絡みが無い)キャラクターとなってしまっていた印象がある。

重要な設定を盛り込んだ割にはあまり活きなかったなと思うキャラクターであった。残念。
また、第5話「マリアが来た!」や第8話「浅草の邂逅」の様な単発で見れば面白い日常回はあるものの、やはり1クールという尺の中でやるならどちらか(というか後者)をもっと別のことに割いた方が良かったのではないかと思ってしまう。
ここからはアニメの制作事情なんて全く知らない素人の目線の意見なのでこんな事を書くと本職の方々から「それは違うよ」と怒られる可能性があるのが大目に見てほしい。
制作(主にクレジット)面を見ても少々思うところがあり、2話にして作画監督と海外スタッフに任せており、その後のクレジットも少々厳しいものを感じられた。
しかし実際、画を作るために本作に参加したスタッフ(アニメーター)の方々のツイートを見るに厳しいものがあったらしいと言うのは感じられる。
また、本作は総監督が福田己津央だったため、そこの方面でも楽しみにしていたのだが、絵コンテ・演出は(クレジット上は)OPにしか参加しておらず、作品としても福田監督色があまり出ていなかったのは残念であった。
総監督の福田氏やシリーズ構成の大河内氏は同時期、もしくは少し前に前者は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』、後者は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でメイン級の仕事をしているため、どちらもこの作品のみに付きっ切り(もしくはそれなりの時間を割く)みたいな状況が難しかったのではないかと思わされる。現代ではアニメが企画立ち上げから放送までで最短でも約2年かかるという話もあるので、やはりここら辺の仕事とブッキングしているのではと感じられる。
総合的に、外野から見た意見としては作業時間や時間やそもそもの尺(話数)などに問題を抱えてたのではないかと感じてしまう。
まあそんなこんなでマイナスな事ばかり書いたがここからはボク自身が好きだった所も書いていこうと思う。
確かに本作は「グレンダイザーのリメイク」として見ても、「エンタメ作品」としても全体像としては中途半端で面白くなく、モヤっとした感じの出来ではあった。
しかしそんな本作にも良い所、というかボク自身好きだった部分は多くあったと思う。
まずもって好きなキャラクターが居たという部分だろう。
本作の中でも特にマリア、テロンナ、ブラッキーは非常にキャラが立っており、現代作品なりのキャラクターになっていただろう。
全体的なお話として話を動かしていたキャラクターはこの中だとテロンナくらいだったが、それでも良い意味で印象に残ったキャラが居た事は確かだろう。

ブラッキーさんは愛らしいコミカルさのおかげでボクのTLで見てた人の範囲では非常に人気があるキャラとなっており、その死が惜しまれたキャラだっただろう
二つ目にラスト3話の面白さであろう。
特に11話ラスト。遂にデュークとルビーナが手を取ったと思ったら、まさかのルビーナはテロンナの変装。しかもNTR(幣ブログは清楚で健全なのでここまでしか書かない)をしたにも関わらずデュークに責任を擦り付け被害者面をするテロンナ。痴情のもつれとラスト数分でのどんでん返し。まさに色恋沙汰での縺れを話に組み込む福田監督と展開の動かし方の豪胆さとヒキの強さを持ち味とする大河内脚本の強味が強く出てた所だと言える。(実際この回は大河内脚本としては本作最後である)

そして、テロンナがここまで暴れて話を動かしてくれたおかげで、グレンダイザーのリメイクという色眼鏡でなんとか楽しむ作品ではなく、『グレンダイザーU』という一つの作品としての面白さが出てた作品となっていたと思う。
惜しむことを言うなら、やはりこういう部分はデュークに主体性を持たせた上でもっと話を動かすべきだとは思うし、どうせなら2クールくらいでもっと色々やってほしかった気持ちがあるし、もっと言えば序盤からこのノリで話を動かすべきだったと思うが、まあ色々あるのだろう。
また最終回は、再び暴走をするグレンダイザーを起因としたグレンダイザーVSマジンガー、本作におけるロボットのギミックを活かした戦闘の魅せ方、ベガ星連合軍の壊滅などかなり詰め込みながらもキチンと描けており、区切りをつける最終回としては非常に見て良かったと思える物であった。

特にマジンガーVSグレンダイザーはこの作品をやる上で一番やりたかった部分だっただろう
そして3つ目に作画でのロボ戦がある。
本作では基本的にロボ戦はCGで描かれている。そのCGでのロボ戦も見どころ自体はあり、特にグレンダイザーVSアクアダイザー(2戦目)はかなり魅力的だっただろう。
しかしそんな本作でも作画シーンでロボ戦が描かれていた回があり、それが第6話「二人の女王」である。


この回では近年のロボットアニメの作画シーンにおいてもかなり上位となるくらいにはクオリティの高いシーンだっただろう。もう10年近くはロボットアニメはCGで描く事が基本になっていたからこそこういうシーンは嬉しいものである。恐らくテレビアニメでここまでのクオリティの物を毎回見るどころか、このクオリティのシーンを見る事自体がもう難しいだろう。いやCGが嫌ってわけではないんだけども。
こういう作画シーンは最終回でも見られたが、やはり嬉しいものであった。
個人的な本作の総評
では個人的な総評と行こう。
前の項目の最初でも書いたが、やはりこのアニメは「個人的には好きだが、面白くはなかったアニメ」だろう。
やはりリメイク作品と言うのはリメイク前のイメージが付いて回り、その分ハードルが上がってしまうのは仕方ないだろう。しかしそこを抜きにしてもやっぱり面白くないアニメではあったし中途半端な作品になってたなという印象がある。
しかし、もっと福田監督と大河内脚本の味を出して、良くも悪くも振り切った形で2クールやれれば違ってたであろう。ボクが好きな部分のラスト3話はこの作品の本来の美味しい部分が出てたと思うし、そこの部分をもっと活かせれば良かったのではないかと思ってしまう。
またこの作品の良くなかった所はとにかく主人公であるデュークに主体性が無かった所だろう。
まあ、色々言ったが、やはり続編は来てほしいし、Uの反省点を踏まえた上でもっと福田監督や大河内脚本の持ち味を活かしたものを見たいなと感じる作品となった。
まとめ
いかがだっただろうか。
まあ色々ネガティブな意見を言ったブログにはなってしまったが、まあ感想は人それぞれだろう。
色々と言われる作品、酷評される作品はあるとは思うが最終的には自分が好きかどうかが大切ではあるし、好きならそれでいいだろう。
こんな短い締めになったが今回はここまでである。
最後まで読んでいただきありがとうございます
それでは次回のブログで。
ノシ