
新年あけましておめでとうございます。本年も弊ブログを温かい目でよろしくお願いします。
では新年一発目のブログなので挨拶を済ませた所で本題に入ろう。
皆さんは『劇場版 孤独のグルメ』をもう観ただろうか?
ボクは初日に観に行きたかったのだが、色々な予定などの関係で結局1月12日に観に行ったのだが、いや非常に傑作だった。2025年の映画始めとしてふさわしい物だっただろう。
ボクはそもそもとしてこのドラマシリーズが大好きなのだが、そう言った贔屓目を抜きにしてもこれは本当に一つの邦画として完成された傑作だし、語り継がれるべき名作だと思います。
というわけで今回はそんな『劇場版 孤独のグルメ』の感想を書きつつ、いつも通り雑語りをしていこうと思う。
今回のブログはネタバレを含むと思います。予めご了承ください。
あらすじ
本作は井之頭五郎がフランス・パリに住む女性から同居している祖父の探す画を依頼され届けた所から始まる。その祖父から「故郷である五島列島に住んでいた子供の頃に母親が作ってくれ飲んでいた”いっちゃん汁”をもう一度飲みたい」と依頼をされ、断り切れなかった五郎は”いっちゃん汁”探しの冒険を始める。
感想・雑語り
まあまずもって本作は面白かった。特に岸部露伴もビックリな行動力を見せ、しかもハードな体験をするシーンや、それ以外にもクスッと笑えるシーンが多数あり、特に韓国編のラストでは観客皆が堪えきれずに声を出して笑ってしまったのが印象的であった。
しかし面白かったの一辺倒じゃ深みが無いので、ボクなりのこの映画の読み解きも交えつつ感想を書いていこう。
ドラマとは違う「テーマの内包」
まず本作は『ドラマ 孤独のグルメ』の映画化ではあるんだけど『ドラマ 孤独のグルメ』とは別の『孤独のグルメ』なっていると個人的には思います。
『ドラマ 孤独のグルメ』とはドラマとしてのテンプレートはあると言えど、実在のお店を紹介するという側面を持つ、ある種「こちら(視聴者)の世界」に近い作品造りをしています。しかしこの映画は一つのテーマに沿って作品の料理を構築しており、ドラマ仕立てな部分をふんだんに使っていた「ドラマ(画面の向こう)の世界」の作品なんですよね。だから今回の料理シーンで重要なのは「その店の魅力を画面越しに伝える」よりも「本作のテーマ(スープ料理)を様々な形で味わって、ゴローが料理を通して人と繋がっていく」という部分なんですよね。
そして、これはドラマとは違う映画世界的な側面を持つからこそ、EDのシーンはゴローを元の世界に戻してあげる=視聴者の世界にまた足を踏み入れるというメタファー的な物があるのでしょう。
松重豊が作る「映画体験」
そして本作の素晴らしさと言えば監督・松重豊の作る映画体験だろう。
本作では企画から脚本、監督と主演である松重豊氏が関わっているのだが、それ故に『ドラマ 孤独のグルメ』とは違う質感を出している。
まず冒頭のパリの街頭部分からこの作品が「邦画やドラマとは違う」と感じさせるんですよね。これは明確にどう違うのかと聞かれるともう体感的な物でしかないのだが、でも確かに違うのだ。
パリのシーンではどこかフランス映画の様な風景も芸術の一つとして取り込んだよな画面作り。日本のシーンでは邦画的な観客に分かりやすい(受け取りやすい)等身大の目線。そして韓国パートでは韓国映画的な時間の流れ(心理におけるテンポ)の違いを出したシーン演出と全てにおいて確かに違うのだ。正直フランス映画や韓国映画にそこまで触れていない人間がそう感じるので、そっちの方面にもアンテナが強い人には余計に感じるのではないだろうか。
しかして、その邦画的シーンにおいても五島列島編では風景を活かした雄大な自然を魅せ、人との距離感の近い映像。そして東京のシーンでは都会の喧騒と人との距離感の絶妙なラインがキチンと出ている。
これは松重豊が物凄く「映画」という物を研究していて、それも邦画だけでなく色々な世界の映画というものを研究しているのだろう。でないとこういった作りはまず出せず、終始異国情緒の無い邦画的な側面しか持たない一辺倒の造りになっていただろう。
そしてもう一つ。この映画の食事シーンは非常に計算されたものであると感じる。
それは、これを見ている人は映画館という限られた飲食しか出来ず、しかも動画で見る様な自由なタイミングで止まらないからこその物だろう。
『ドラマ 孤独のグルメ』というのは、ゴローが美味しそうにご飯を食べるのを見せてくるのが魅力な作品であり、そこは映画も引き継いでいる。しかし基本は家で見るため、それに合わせて食事を取ることも、予告で料理も分かるのである程度同じ物を用意して食べる事も出来る。それにCM込みで1時間ほどなのでCM中にご飯を取りに行ったり、終わった後に家にあるものを食べたりと自由に出来る。
しかし映画となるとそうもいかず、映画館で食べられる物はそもそも限られており、しかもそこに2時間のノンストップで作品が流れ続ける。しかも本作では食事シーンの頻度がまあまあある。これは観客を飽きさせない側面もあるのと同時に観客をとにかく空腹感に追い込むという計算された頻度となるんですよね。だからこそオチでそれに気づかされた時は一本取られた感覚になり、まさにこのドラマを形成してきた一人である松重豊だからこそ造り出せる「映画館」という媒体で見る事を計算された映画体験だっただろう。
くどくなく、しかし深みのある「描写」
本作にはドラマ版と違い明確に一つのストーリーラインがあり、そこに人間ドラマも挟まる。しかしこの人間ドラマが非常に上手い。
色々なゲストキャラに思い出の味があり、その思い出の味に様々な思いや過去がある。そしてそれぞれのゲストキャラは個別の話ながらもそこが「スープを探す井之頭五郎」という一つの話で奇麗に繋がるのは秀逸だろう。恐らくは「味は国境などを超え人を繋ぐ」というメッセージだろう。
また、本作の人間ドラマは、喜怒哀楽の感情を出そうと思えばもっと出せる、悪く言えばオーソドックスな邦画仕草が出来るシーンがまあまあある。しかしそこをオーバーにやったり、露骨な事をしない辺りが『孤独のグルメ』という作品の良さが拡大したところだろう。だからクドさもなく、映画に冷める事が無いというのは良かった所である。
まとめ
いかがだっただろうか。
個人的にこの映画はもう一回くらい観に行きたいなと思う。
それはそれとしてこの映画は1回5名~10名、1人15000円くらい取って作中に出てくる料理を作中と同じタイミングで少量出す上映方法をやるべきだろう。しかしそれをやるとあのオチで一本取られるような感覚は味わえないため難しいラインだとも思う。
しかしこれだけは言いたい。この映画は絶対に映画館で見てほしい。これはまさに映画館で見るべき映画であり、映画館で見る事を前提とした計算された映画であり、この映画の視聴体験をフルで味わうにはCMの挟まるテレビで見たり、好きな物を食べられる環境で見てはいけない。少しでも気になるなら映画館に駆け込んで観てほしい。本当にこれを強く強く言いたい。後から見て「これを映画館で見たかったな~」と後悔してほしくない。
というわけで今回はここまでである。
正月明けから色々と観に行きたい映画も多く大変だな~となる。ジークアクスはどうするか迷うけどマクロスの再上映は絶対に観に行きたいな~。
それでは皆さんも良き映画ライフを。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ノシ