ユキノの雑語りブログ

ただのオタク

今年一番の傑作・怪作オリジナルアニメ 『Turkey!』

皆さんは2025年夏クールはどんなアニメを見ただろうか?ボクは相変わらずアニメが全然見られずに終わったクールだったというのが今期の感想であるが、そんな中とある一本のアニメが放送されていた。そのアニメは情報解禁された時からボクのアニメアンテナにビビッと来ていた作品であり、凄く期待していたアニメであった。
それが『Turkey!』である。
かなり珍しい「ボウリングアニメ」という事もあり期待していた本作は、見終わると本当に素晴らしい作品であり傑作であったと思う。それと同時に、ボク好みな怪作的な側面もあり非常に楽しめた一本であった。
今回はそんな『Turkey!』の紹介をしつつ、感想を書いていこうと思う。



今回のブログには『Turkey!』のネタバレを含みます。

『Turkey!』とは

『Turkey!』とはボウリングを題材としたオリジナルアニメである。
本作は女子高生5人のボウリング部の活動を描く・・・・・と思ったら1話のラストで事件が起きる。それはこのアニメが『タイムスリップ物』と明かされるという事だ。
ボクはこの1話を寝過ごして見逃してリアタイで驚きが体験出来なかったのが本当に悔しい思いがある。
そんな1話で始まった本作は「戦国時代にタイムスリップした少女達」の話へとシフトしていく。

そしてそこで姫達と出会い、そして様々な交流を繰り広げると言うのが本作である。


戦国時代×ボウリング

ボウリングアニメなのに戦国時代というまるで関係ない組み合わせになった理由については「メガミマガジン 2025年 9月号」に書いてあったりするので読んでほしいが、この何も関係ない要素を含め「このアニメにボウリングは要らないのでは?」と思うだろう。しかし、個人的にはそうではないと思う。
これはやはり今作がテーマにし、何度も作中で出してきた「二投目」というワードが全てだろう。
作中テーマを「二投目」として様々な使い方をした時点でこのアニメがボウリングである意味はあったと思う。
また、ボウリングというのは個人スポーツでありながらも多人数で楽しめるパーティ用娯楽でもあり、そして可視化された分かりやすい競い合いが出来るため、そこの側面を活かした9話の様なエピソードもやはり「ボウリング」でないと生まれない描写であっただろう。


そして本作の主人公・麻衣の口癖であり本作において重要なワードとして扱われている「二投目」もよく出来ており、主人公の信条だからこそ終盤それを否定や対比されて、そこから最後に二投目が重要になってくるという部分が非常に上手かったと思う。

テーマとしては邪道な様に見えて(邪道喰いはよせ―っ)、その実、かなり堅実な落とし込み方をしていたと言えるだろう。


本作におけるタイムスリップ

※本項は最終回で明かされる重要な部分のネタバレを含みます。未見の方は飛ばしてください。


本作を見終わった上で、「じゃあ本作における正しい歴史(麻衣達が介入しなかった歴史)とは何なのか?」と疑問に思う人は多いだろう。実際この部分は最終回で答え合わせはされているものの、同時にかなりあっさりと流されている部分ではある。しかし、この部分をキチンと整理するとこの作品の造りの上手さに唸ってしまう。


まず本作においてデータ眼鏡キャラ枠の七瀬は度々過去への介入はタイムパラドックスを生む要因になるため避けるべきと周りに伝えていた。しかし、麻衣達は姫達と交流をしていき、そして本来片方が死ななければならなかった寿桃(すもも)と朱火(あけび)を両方しなせる事なく解決させ、そして温泉を掘り当てる事で国力を付けさせ未来へ帰っていった。そのため麻衣達の想定では「未来が変わった可能性はあるが5人の姫が無事に暮らせた過去」に変わったと思っていた。しかし、麻衣達の想定に反し、資料館で残っていた歴史は景時(かげとき)との契約を破った結果5人とも殺されたという内容であった。

そのため、歴史を変えてしまったかもしれないとなるが「本来生きていた人間が死んだ場合歴史にもっと影響が出る」という結論になり、これが正しい歴史だったとなる。しかし麻衣は歴史を変えてでも5人を救おうとし、そして利奈・さゆり・希・七瀬と共にもう一度過去に飛び姫達5人を救うという流れであった。


結果として本作では「過去を変えた事で未来がどう変わったのか」とう部分は全く描かれていなかった。


では結局の所、本作の正しい歴史はどうだったのか?という話を考えた時に重要になってくるのが、麻衣と同居している児童養護施設の職員である「はるちゃん」の存在と、そして最終回で出した七瀬の結論である。



8話で存在が示唆され、そして10話で登場した「はるちゃん」。声が寿桃と一緒なのだが、視聴者の多くは恐らく「アニメによくある兼役」程度で流していただろう。実際ボクもそうであった。しかし最終回、この「はるちゃん」が最後のタイムスリップに巻き込まれて現代に来た寿桃の成長した姿という事実が明かされた。

ではそうなると、本作が内包する矛盾が発生してしまう。

それは麻衣達が過去に行っていたと言う前提が無いと両親を火事で亡くした麻衣を引き取って育てた存在が居なくなり、今の麻衣の物語にならないのだ。そして、麻衣達が過去に行く前は変わる前の歴史=麻衣が介入せずに寿桃がタイムスリップしなかった歴史が存在していたはずだ。しかしそうなると歴史に介入していない世界に「はるちゃん」という存在が居る事がおかしくなってしまうのだ。

ボクは最初、「本来の歴史では寿桃が死んでおり、麻衣達の介入でその歴史が変わったが、寿桃が歴史から消えた結果整合性が取れたのだろう」と思った。しかし、それだとやはりそれまで麻衣を育ててきたはるちゃんの存在の説明がつかない。

そこを解決するのが七瀬が出した答えである「(タイムスリップが)織り込み済みの世界で生きていた」という部分である。



ところで皆さんは『サマータイムマシン・ブルース』という映画を見た事があるだろうか?

真夏の炎天下の中エアコンのリモコンにコーラをかけて壊してしまい、それを直そうとした顧問が完全にリモコンを破壊してしまい途方に暮れていたSF研究会たちのメンバーが突然現れたタイムマシンを使いエアコンのリモコンを回収し、そして過去で色々やらかしてしまうというタイムトラベルを扱ったコメディ作品なのだが、非常に面白いため是非とも見てほしい。なんなら確か『四畳半神話体系』でも話が流用された小説が出ておりアニメ化もされている。
そんな本作ではタイムパラドックスを解消するある結論が出る。

詳しい内容は本作を見てほしいため省くが、要は「エアコンのリモコンや一日前に取り残された拓馬は歴史的に矛盾なく存在し続けている」という物である。

これはつまり、未来からの歴史への介入(本作で起きた内容)自体がそもそも歴史の一部=歴史の流れであるという物である。

これは『Turkey!』も同じであり、本作において歴史的矛盾は存在しておらず、麻衣達がタイムスリップをして姫達と出会い、そして景時から姫達を救い出す事も全て歴史の流れとして初めから存在していた流れなのである。それが七瀬の出した結論である「織り込み済みの歴史だった」であり、そこの結論を補強しているのがはるちゃんの存在なのである。

では資料館で見た歴史は何だったのか?となるが、これはぶっちゃけ麻衣達がもう一度過去に行くための動機付けであり、本作の歴史を考える時点で含めなくていい歴史的には意味の無い物なのである。もしかするとこの時は一時的に歴史が変わっていたのかもしれないが、本作において過去に行く前、そして景時が姫から引いた後の資料館での歴史の内容がどうだったのか語られていない上に、結局この資料館での"惨殺された"という部分を改変して歴史に影響は無かった様子である。そしてなによりこの時間にもはるちゃんは存在しているため、そもそも未来が何も変わっていなかった可能性も高い。そして資料館で書かれていた内容も歴史の話だからこそ真実である保証はない。だからこそ本作での歴史の矛盾を考える上では意味の無い、考慮しなくてもいい描写なのである。


と、ボクは思うのである。

本作の総評

それではここからはボクの本作の感想である。

このアニメは個人的には凄く好きだし面白いし楽しいアニメだったが、このアニメで千曲市の聖地アピールをするのはかなり無理があるだろうと思う。
また、出てくる絵面が変・・・味のある描写が多いのも本作の特徴であり、そこのインパクトのせいで引っ張られた評価をされている様にも見える。

また、1話のインパクトに対して9話までは導入的な話をしていた感は否めない。しかしこの9話までがあるからこそ10話の盛り上がり、そして終盤までの駆け抜けの気持ちよさがある事も事実であり、やはりここが素晴らしいアニメだと言えるだろう。

また、ボク自身『千と千尋の神隠し』や『明治東亰恋伽』の様に異界(本来居る世界とは違う場所)に行った主人公達が成長する物語が大好きであり、そういう意味でも本作が1話で出したボウリング部5人の課題をちゃんと回収していく流れも好きなのである。

ただやはり、導入の現代編にもう1話、最低限の説明はあるものの話にほぼ絡まないせいで終盤数合わせの存在になってしまっていた小麦と小豆に1話、エピローグの現代編(大会優勝)に1話欲しかったものである。この三つの話があると本作がより深くなったと思うので、可能ならば漫画版などをやってここら辺も描写してほしいものである。

ただ、やはり本当に素晴らしいアニメだったと思う。1クールのオリジナルアニメでありながらも出した要素や課題の回収が本当に綺麗であり、そして青春劇としても非常に面白いアニメだったため、2周目もしたいし、金銭に余裕があれば円盤も欲しいと思う作品であった。

まとめ

いかがだっただろうか。

本作は非常に面白いアニメなので個人的には強くオススメしたいアニメである。見ていない皆さんも是非とも見てほしい。放送枠があまりにも最悪なため話題にすらならなかったが、正直前期の同枠である『アポカリプスホテル』に負けない強さのあるアニメであったため、もっと色々な人に見てもらいたいものである。

というわけで今回はここまでである。

それでは次のブログで。

ノシ