ユキノの雑語りブログ

ただのオタク

『HIGHSPEED Étoile』というアニメ



     「NEX Race」
それはスピードの中で進化したレース
そこに命を賭ける伝説のレーサーを、人々は「エトワール」と呼んだ

(※呼びません)






皆さんは『HIGHSPEED Étoile』(以下:ハイスピ)というアニメを御存知だろうか?
2024年春クールの話題は『ガールズバンドクライ』と『夜のクラゲは泳げない』が強かったのだが、そんな中で放送していたレースアニメである。

個人的にこのアニメは割と面白かったし好きなアニメではあるんだが、非常に惜しい作品だったなと思う作品である。
あまり酷評的な記事は書きたくないのだが、どうしてもこのアニメの「惜しい」と思った部分を文字にしておきたいため今回は書くことにした次第である。

というわけであまり口の悪い書き方はせず、あくまで主観的な一視聴者の感想という面を忘れずに書いていこうと思う。

それでは始めていこう。

『HIGHSPEED Étoile』とは

まず本作についてのザックリとした解説である。
本作は近未来。車の動力がガソリンから新エネルギー「ハイパー」に変わり環境問題が解決へと向かっている世界。レースは「ハイパー」を動力としたレーシングカーによる時速500kmのレースが主流となり、レースのタイヤ交換は自動化されている。
そんな世界のレースにひょんな事からレーサーになった主人公・輪堂凛の一年の成長物語が本作の内容となっている。

監督は『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』や『装甲娘戦機』の元永慶太郎、キャラクターデザインは『魔法少女リリカルなのは』でお馴染みの藤真拓哉、アニメーション制作は『超可動ガール1/6』や『装甲娘戦機』のstudio A-CATとなっており、studio A-CATにとっては(確か)初のフルCG作品となる。(と言っても少しだけ作画シーンはあるのだが)

また本作の特徴としては『TIGER & BUNNY』の様な企業ロゴがあり、現実の会社のロゴなどがスーツやメット、車体やレースの看板などに描かれている。

本作の感想

本作の感想だが、やはり最初に書いた通り「悪くはないしやりたいことは分かるし好きな作品だけど微妙な作品」というのが全てだろう。
最後まで見ればキャラクター、特に主人公の凛が好きになるし、最終回の展開はやはり良かったなと思う。しかしそこに行きつくまでの道中に少々難があったなと感じるのが今作の抱える物だろう。
問題点、と書くと一消費者なのに上から目線でおこがましい気もしてあまり使いたくないのだが、今回は「(個人的に感じた)問題点」として紹介していくことにする。

本作の問題点

ここの項目を読む前に注意してほしいのは、これはあくまで個人的に感じた部分であって、決して本作を否定しようとも貶そうとも思ってはいないのでそこは注意してほしい。(重複してるね?)

第1話が要らない

もうタイトル通りである。
第1話は何をしたかと言うと、世界観や設定の説明、キングやクイーンという強い人たちが居ると言った部分を主人公が一切出ないまま丸々一話レースをして説明している。
しかも2話でも似たような事をしているためぶっちゃけ1話は必要なく、最終回まで見ても「1話は必要だった」と思えないものであった。
また、3話と4話も「凛がキング(クイーン)と知らないまま一緒に行動する」という展開を2話連続で全く同じようにやっており、必要無いとは言わないと言えどそこも少々見てて不満に思う部分だろう。

キャラクターの描き方

このアニメでは一応日常回があるのだが、全体の6割ほどはレース回で占めている。
そのせいもあってか、キャラクター個人の掘り下げが薄いだけでなくリンと仲間たちはどう言う経緯で仲良くなってどういう関係性で今にあるのかという部分が全くと言っていいレベルで描かれていない。特にプリマステラ(今作におけるレースクイーンみたいな存在)の日向光莉というキャラは特にその割を食っており、凛とは深い仲であるということは伝わってくるが、具体的にどういう存在なのかという部分がさっぱり描かれていないため、本人たちの関係性と視聴者に伝わる情報に齟齬が生まれていると感じる。

レースシーンの描き方

本作のレースシーンは特に最初の方はお世辞にもあまり良いと言える物ではなかった。近年のレースアニメの『MFゴースト』や『オーバーテイク!』に比べても「レースをしている」という緊迫感が出ておらず、複数のマシンが同じ速さ、一定の車間で動いている状態だった。ただここは中盤辺りから回復するため結構良くはなる。
また、前述した『MFゴースト』や『オーバーテイク!』に比べても「どこを走っているのか分からない」、「実況と解説が淡々としすぎていて盛り上がらない」といった要素がある。また、これが何周もするレースという前提で描きながらも過程を吹き飛ばすので余計に状況がよく分からない事になっている。いやまあリアルなレースは50周とかするらしいし実況なんかもそんな感じらしいがそこはアニメの嘘でいいだろと思ってしまう。

レースの設定

これはぶっちゃけ「リボルバースト」と「AI」の存在になってくる。
まず「リボルバースト」。これはもう公式の用語解説を見た方が早いのだが、ざっくりと説明するとレース中に使う回数が限られている加速装置である。もっと分かりやすく言うと、マリオカードでキノコをⅩ個持った段階でスタートし、そのキノコをいつ使って相手との差を出すかみたいなシステムである。そう、マリオのキノコが必殺技なのだ。それも50周以上するレースで。
このシステム、作中では使用タイミングによる駆け引きを助長させるものとして用意しているのだが、これはあまり要らなかったなと感じてしまう。何故かと言うと16人くらい居るレースで基本使うのはメインキャラ程度なので「なんでみんな使ってないの?」と感じてしまったりする部分が出てきてしまうからだ。また、リボルバースト自体は本人の技量に影響する物としての持ち味が薄いため、これで勝っても正直視聴者感情としては否定的になってしまう人も居るだろう。


そして二つ目に「AI」。こちらは作中二種類存在しており、レースでドライバーをサポートするためのAIとレースの頭数のためのAIが存在している。

まず前者のサポートAIだがこちらは主人公・凛の相棒のamiちゃん以外全く描写されていない。そのため、他のキャラクターがどうAIを使っているのかなどが分からないため、必然的に凛がサポートを受けながらも全く勝てない存在の様に見えてしまう。これは他のキャラでも少し描写を挟むだけでも変わっただろう。
そして後者のAIだが、こちらは作劇として全く機能していない存在なので忘れてしまっても構わない。本当に頭数担当である。

作品の目標

本作の最終着地点として「凛が最終回でキングに勝つ」という物がある。
これが見え見えで凛が毎回中々勝てないなのはまあ良いのだが、これと「レース回は固定メンバーでレースをしている」という要素が掛け合わさった結果、凛が本当にレースの才能の実力が無いんじゃないかと思えるレベルで凛の実力が分からない状態となっている。
凛はレースゲームの腕が良いためスカウトされたという過去が描写されているのだが、そこが活きるシーンがまるで無いためそこもチグハグになっていただろう。
また、これが先行しすぎた結果マシン強化回直後にスタートミスをして失格になるamiの指示をちゃんと聞かずにリボルバーストをした結果スリップして終わるなどドジなミスで勝たせない展開が発生してしまう。これは『遊戯王ARC-V』において遊矢の負けるデュエルをあまりやろうとしなかった結果、デュエル中断や一方的なアクションマジック、敵が変な負け方をしだすと言った描写の歪みに似た物だろう。

上記の問題が何故起こってしまったのか

では何故上記の問題が起こってしまったのかというのを個人的に考えていこうと思う。
本作は「フルCGアニメ」「作中に企業ロゴが出る」「1クールアニメ」「ソシャゲやノベルゲーが出る前提のアニメ」という4つの要素が合わさった結果悪い方向に働いた側面があっただろう。

まず前者二つだが、これが合わさると何が発生するかと言うと「毎回同じメンバーでレースをすることになる」という物が発生する。ここに「凛が最終回でキングに勝って優勝する」という要素が掛け合わさった結果、上記でも書いた通り実力もあまりない毎回勝てない主人公・輪堂凛という物が発生してしまう。
例えば凛が小規模レースでなら表彰台に登れるくらいの描写を描くだけでも凛の実力の部分の印象は違っただろう。
しかしそんなにもCGモデルが作れないのと、スポンサーロゴが出る都合上毎回そこの販促をしないといけないため、そう言った部分に描写を割けなかった実状があるだろう。

そして後者二つが合わさった結果、「気になった人はゲームでより知ってくれる」という前提のキャラクター作劇になってしまう。しかしそれをやった結果それまでちゃんと描写されてこなかった「凛がバレエをやっていた過去」が最終回では凛のバックボーンとして重要な要素として描かれるというとんでもない事故を発生させてしまう。
また、キャラクターの全体的な描写不足な結果、ポジションがよく分からないのに何故か主人公達と仲のいいソフィアと劉と言った存在や、(視聴者からすると)よく分からない存在だが凛を励ますキャラとして重要な仕事をする光莉といった描写が出てきてしまう。
また、ゲームで深堀りするのが前提かのキャラクター要素もあり、1クールアニメなのにその辺がとっ散らかっていたのも問題だっただろう。

本作の総評

まあ色々と書いてきたが、個人的には「この作品を最後まで見て良かったな」と思う。
上記で「キャラクター描写の薄さ」を指摘したが、第6話「バックマーカー」の様にキャラクターが生き生きとしていた日常回や第8話「あなたの走り」の様に少し捻った回はあったし、レース回でも第7話「幸運の女神」や第9話「上海ナイトレース」の様にキャラクターにフォーカスを当てた回も存在している。
また、レースシーンに関しても麻宮騎亜がコンテを担当した回は見応えあるものとなっているため、そう言った点も必見だろう。
なにより、藤真拓哉デザインの可愛いキャラクター達が特に後半になるにつれて可愛く描写される。それだけでもかなり良いことだろう。
なのでボクはこの作品が嫌いじゃないし、好きな方だと思っている。

まとめ

いかがだっただろうか。
幣ブログにしては少々珍しい切り口での紹介ブログとなったと思う。
しかしボクはこのアニメを見てる時に「このアニメの諸々の感情をいつかまとめよう」と思っていたため今回このようなブログを書いた次第である。
まあでも本作は見てない人は見てほしいなと思う。

なんか言葉も纏まらないし今回はここまでである。

次回は2024年春クールに救世グラスホッパーと相対したあのバンドのアニメのブログでも書こうかなと思っている。

というわけで今回はここまでである。

それでは次回のブログで。ノシ

最後まで読んでいただきありがとうございます。



(追伸)
PCの方でのブログの装いを新しくしました。
スマホアプリだと反映されてないかもしれませんが変え方が分かれば変えます。

『刀使ノ巫女』を紹介したい


ドーン ドーン(告)

姫和ちゃん。
小烏丸を使うその女の子に出会ってから、私、衛藤可奈美の中で何かが変わってきました!
御前試合決勝戦の日、対戦相手の姫和ちゃんが紫様を襲撃し、それを見て助けた私は、一緒に逃げることになってしまって・・・。

デーーーーーーーーーーーーーーン  デデデン!








皆さんは『刀使ノ巫女』というアニメを御存知だろうか?
恐らくこのブログを読んでいる方、読もうと思った方はこのアニメを知っているからこのブログを見ている事であろう。
放送からかれこれもう6年も経つアニメとなるのだが(6年前?嘘だ、ボクを騙そうとしている・・・)、本作は、見た人からは今でも根強い人気を誇っている。
本放送ではとある回でトレンド入りしたり、舞台化もされたり、放送中に出たソシャゲは、オリジナル作品でかつ短命と言われがちなスクエニのソシャゲながらも4年以上サービスが続いていたり、放送から一年でショートアニメ、さらに一年後にはゲームのOVAが出たり、ソシャゲが終了した後もパチンコが出たり、何かとグッズが出たりと意外にも人気があったコンテンツである。

しかし、見た人は支持しているが、所謂「定期的に名前が挙がってバズってる人気アニメ」的な観点で行くと知名度としては一歩足りないと感じる本作。
そんな本作だがやはり魅力的でもっと色々な人に見てほしいと思い、今回はそういう趣旨で極力ネタバレを含まずに紹介していこうと思う。


それでは始めていこう。

刀使ノ巫女』とは

まず『刀使ノ巫女』がどういう作品なのか解説していこう。
御刀を作る際に出るノロが集結して出来た存在「荒魂(あらだま)」。それを斬り、鎮める存在である国家公務員である「刀使(とじ)」の少女達を描いた作品が本作である。超ザックリ例えると『戦記絶唱シンフォギア』の奏者とノイズ、『仮面ライダー響鬼』の威士と魔化魍みたいな専門職の人が妖怪を退治するみたいな認識で大丈夫である。
女子中高生を「刀使」に育成する学校は日本に5つあり、「伍箇伝(ごかでん)」と呼ばれている。ちなみにほとんどが女子校ではあるが、共学の所もあり、そこでは男子は鍛冶師としての技能を磨いている。

そして上記を踏まえた上でここからが『刀使ノ巫女』のTVアニメ本編のあらすじとなる。

伍箇伝の各校から二人の代表を選出しトーナメント形式で競い合う御前試合。可奈美と姫和はその決勝戦で刀剣類管理局の局長の折神紫の前で競う事になる。
しかし試合開始と同時に姫和は折神紫を襲撃。だがそれは失敗に終わり、姫和は可奈美に手助けされと共に逃亡することになり、二人は指名手配されてしまう。
姫和は何故折神紫を襲撃したのか。指名手配となった二人はどうなるのか。

というのが本作の内容である。

監督は『BanG Dream! 2nd Season』からバンドリシリーズではお馴染みの柿本広大。ちなみにTV作品は今作が初監督作品となっている。
そしてシリーズ構成は様々なゲームやアニメの脚本を担当してきた髙橋龍也。
キャラクター原案は艦これでお馴染みのしずまよしのりとなっている。

キャラクター紹介

ではザックリと、ネタバレにならない程度にキャラクターを紹介していこう。
しかし完全にネタバレを含まないのは無理なため、「ネタバレは嫌だよ」という人はこの項目は飛ばしてもらって構わない。

伍箇伝

衛藤可奈美

千鳥を使う剣術が大好きな中学二年生の少女。
剣術は柳生新陰流を主流としているが、剣術が好きすぎるせいか相手の剣術を見ただけで真似出来てしまうというとんでもない能力を持っている。また、夢の中で謎の女性に鍛えられることで強くなるというさらにとんでもない才能を持っている。
劇中及びゲームなどで詳細は語られてはいないが兄が存在している。
とある理由から紫を襲撃した姫和の逃亡を手助けし、ともに指名手配犯となってしまう。

余談だが担当声優の本渡楓氏は作中に出た可奈美の電話番号を携帯に登録しているのだとか。

十条姫和

小烏丸を使うすごく強いクールな中学三年生の少女。
とある事情から刀剣類管理局の局長である折神紫を襲撃。しかし失敗に終わり逃亡する羽目になる。この行動のせいで公式ツイッターでも「どうかしている中学生」と言われる始末である。
チョコミントが好きで、また作中ではフューチャーされないが煮物が好きという設定がある。
胸を気にしている節もあり、そのせいで薫によくイジられている。
人当りの強い2号ライダーのような人物ではあるが、可奈美のような共に行動したメンバーや学友である岩倉早苗など心を許した相手には非常に優しく接する人物でもある。

余談だが初期設定では九条だったとのこと。

柳瀬舞衣

可南美と同じく美濃関学院の中学二年生。何がとは言わないがとても中学生に見えないが可奈美と同級生である。
美濃関学院の代表選手に選ばれるほどの実力を持ち、可奈美には劣るものも実力2位となっている。また、作中では一度しか披露していないが居合いを使う事もある。(アリガトウオレノデッキ)
大企業・柳瀬グループの御曹司。
三姉妹の長女なため面倒見がいい。
また、電話口の音から相手の居場所を特定するといった能力も披露している。

糸見沙耶香

鎌府の中学一年生。
12歳ではあるが学院の代表に選ばれるほどの持ち主で、作中では大荒魂の討伐の最前線でS装備を使い討伐したり、学園長からも気に入られるほどである。
感情をあまり表さず、任務に忠実な人物であったが、可奈美との戦いや舞衣との出会いにより次第に勘定豊かになっていく。
舞衣に餌付けされたことにより舞衣に非常に懐いており、舞衣の作るクッキーが好物である。
薫曰く、ねねに気に入られるため将来的にはとある成長があるとのこと。

益子薫

長船の高校一年生。
この見た目で年長組であり、身体の大きさに似合わない非常に大きな太刀・祢々切丸を使う。
学長のお気に入りであり、本人の能力の高さもあってか様々な所に派遣される。めんどくさがりな性格も相まって本人は相当嫌がっており、ミニアニメ『みにとじ』ではギャグとは言え疲れ果てている素振りが見受けられる。
先祖の代から交流のある荒魂のねねと交流があり、常にねねと行動を共にしている。ちなみにねねが懐く人物はとある成長が見込める人物であるのだが、薫は昔から生活しているから懐いているのか、それとも成長予定があるから懐かれているのかは謎である。
担当声優の松田利冴氏のように特撮ヒーローが好きという設定があり、作中では祭りでそれらしいお面を買っていた。

古波蔵エレン

薫と同じく長船の高校一年生。
薫と共に長船の代表に選ばれた人物。
他人の事をあだ名で呼ぶことも多く、割と誰とでも打ち解けられる明るい性格である。特に薫とは親友であり、基本的には行動を共にしている。またコンビネーションでの戦術も得意とする。
長船の生徒であるため非常に胸がデカイ。
一見能天気な人物だが、荒魂研究の専門家であるリチャード・フリードマンの孫であることもあり荒魂に非常に興味を持っており、その知識からそこに関する洞察力が高い。

余談ではあるが、エレンのキャラソンは特に一聴の価値がある。


折神家

本作前半における敵対する相手。
警察などと連携して刀使を管轄するトップであるため国家側の存在であり、可奈美たちはこちらに反逆するテロリスト的なポジションである。
機動戦士Zガンダム』のエゥーゴに対するティターンズ、『機動戦士Vガンダム』のリガ・ミリティアに対するザンスカール帝国、『新機動戦記ガンダム』のガンダムに対するOZみたいな感じの存在である。

折神紫

刀使や御刀などを管轄する刀剣類管理局の局長であり、折神家の御当主。
20年近く高校生の頃から見た目は変わっていないとのこと。しかし20年前の姿を見るとどこがとは言わないが今の方が成長が見える。
四人の親衛隊を側近としており、主にボディガードや公務のサポートなどをしてもらっている。
とある秘密を抱えており、姫和はそれを知っており、可奈美も姫和の反乱で何かに気付いた素振りを見せている。
本作では珍しい二刀流で戦う刀使である。
また、焼きそばが好きと言う設定があり、デスクにカップ焼きそばが常備されていたりする。
余談だが、初期設定では本来の性格はシャイな感じの可愛い人物という案もあったとのこと。


指導真希

親衛隊第一席。16歳。
姫和と同じく平城出身の刀使で、今までの御前試合で優勝してきたほどの実力があるとの事。
その実力もあり親衛隊に入る前から荒魂討伐において指揮を取っていた人物であり、親衛隊となった現在においても統率力を活かしている。
力押しにも見える戦い方をするが、強化アーマーであるS装備を装備した姫和を生身で圧倒するほどの技量を持っており、その実力は確かなものだろう。
冷静沈着で素っ気ないようにも見えるが、人一倍他人思いな人物である。また、結芽曰く「おっきい」とのこと。何がとは言いませんが。
また、ショートアニメ『みにとじ』では甘酒で酔う描写がある。

此花寿々花

親衛隊第二席。真希と同じく16歳。
本作ではかなり空気な綾小路出身。
御前試合では真希に負け準決勝止まり。
御前試合での戦いや親衛隊で行動を共にしているのもあってか、真希を敬愛し信頼している。
お金持ちの家の令嬢であり、その流れで柳瀬家とは交流がある様子であり、お嬢様言葉を使う。
そんなお嬢様でありながら好きな食べ物はコンビニ弁当に入っている漬物を温めた物湯豆腐と変わっている。
作中では珍しく可奈美と二度も一対一で戦った人物であり、負けたとは言えどかなり戦えていたため実力の高さがうかがえる。
また、親衛隊の仕事としては紫の秘書の様な仕事もしている。
ショートアニメ『みにとじ』では真希と共に甘酒で酔った描写がある。中の人的にも豆腐で酔った黄色い戦士を思い起させる。
余談だが、アプリゲーム『刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火』(以下:とじとも)では、残念ながらゴーカイな海賊衣装は実装されなかったが、誕生日衣装としてRPGの女騎士の様な恰好は実装された。ヤバイですね!

皐月夜見

親衛隊第三席。15歳。
沙耶香と同じく鎌府出身の刀使。
無口無表情な人物であり、作中では本人に関する事は多くは語られなかった。
幼少期に鎌府の学長・高津雪那の指揮のおかげで荒魂被害から救われた過去があり、その出来事をきっかけに鎌府に入る。しかし本人曰く刀使としての実力はあまり目立つ物は無かったとのこと。実際、可奈美達などと敵対した際は剣術としてはあまり優位ではなかった。しかし、高津学長のおかげで親衛隊になるほどの力を付け、それらの事から高津学長を敬愛しており、例えどんなことがあっても紫に対する姿勢以上に忠誠を見せている。
だが、不意討ちとは言えど多人数を即座に斬り倒せるほどの実力がある。
秋田出身であり、幼少期になまはげに泣かされた事がトラウマになっておりなまはげが苦手。
兄が二人ほど居る事が語られており、実家では犬を飼っており、田んぼもあるとのこと。
そのため米にはうるさく、おむすびに具を入れたり海苔を巻くことを許しておらず、挙句「おにぎり」と言われると「おむすび」と訂正するほどである。
また紅茶の趣味があり、淹れることも飲むことも好きな様子。
親衛隊としては寿々花と同じく秘書の様なサポートをしている。
今の様な髪色になったのは鎌府に入ってからで、それまでは普通に黒髪なのだが、ショートアニメ『みにとじ』では何故か幼少期で今の髪色になっている姿がエンドカードで描かれている
アニメ、ゲーム、漫画で結末が違うキャラクターなのだが、個人的にオススメなのは漫画版。

燕結芽

親衛隊第四席。
綾小路出身であり、寿々花の後輩にあたる。
12歳だが、その実力は同世代はおろか上の世代をも凌駕するほどであり、可奈美達ほどの学校代表になるメンバーですら集団でも苦戦するほどである。
強さを求め、強い刀使と戦う事を生きがいにしており、親衛隊でありながら紫に不意討ちをしてでも紫を超えようとしている。(これは紫も遊びとして許している)
作中では可奈美の実力を認め、自分の実力のみで可奈美と手合わせし可奈美を超えようとしている。
また、年相応の面もあり、いちご大福猫というキャラクターが大好きである。
自分より弱い相手を見下している素振りはあるが、「〇〇おねーさん」や「〇〇ちゃん」と呼び、基本相手を呼び捨てすることはない。
ちなみに刀使ノ巫女というコンテンツにおいて最も人気があるキャラと言っても過言ではなく、アプリの人気投票では夜見と共に上位人気の常連であった。そのため、とじともにおいては最高レアリティのメインキャラ(サポートではなくユニットとして使えるキャラ)ではアニメ主人公である可奈美やゲーム主人公の美炎の17枚の次に多い16枚も実装されている。

刀使ノ巫女』の魅力

では本作の魅力はなんなのか。そう問われると非常に難しいのだが書いていこうと思う。
まずやはり一番の魅力はキャラクターだろう。
刀使ノ巫女』には非常に様々なキャラクターが居るのだが、その誰もが魅力的に描かれているところだろう。
主人公サイドと敵対するサイド、所謂善悪的な勢力の違いは明確化し、特に敵対サイドはシッカリと悪役として描きながらも、善悪を超えたキャラクターの信念や思い、キャラクター観がちゃんと描かれている所が本作においてかなりちゃんと描かれている。だからこそ、最初は嫌い寄りなキャラクターも、作中においては嫌われ者的な悪役だったキャラクターも、最後まで見るとどこか愛おしくなり、嫌いになれない存在へと昇華されていると個人的には感じる。
またキャラクター描写に過不足が無く、群像劇をやっても、掘り下げの日常回をやってもキャラクターが魅力的に描かれているのが特徴だろう。


↑2クール目ではアプリ販促でサポートキャラが居るので是非とも探してみよう!

そしてもう一つはシナリオだろう。
上記のキャラクターの描き方を踏まえた上でやはりシナリオも良かったなと感じるのが本作である。
1クール目の胎動編では折神紫の抱えている秘密を最初に姫和、そして可奈美目線で開示した上で物語が進んでいき、それが同時に過去のとある出来事へと繋がっていく。
そして2クール目の波瀾編では1クール目の出来事を踏まえ、とある存在が3つに分かれ混沌を極める中で、勢力が変わったり、荒魂という存在や隠世と言うもう一つの次元を掘り下げるところ、そして1クール目と2クール目が過去の事件から一本の線で繋がっていくところの面白さは必見だろう。

そして話は戻るがそこでもキャラクターの導線はシッカリしており、可奈美と姫和の二人の逃亡から始まった物語が、二人の帰還の物語になるのは圧巻だろう。


↑初見さんは是非とも可奈美が頭から落ちるシーンまで見よう!


また本作は漫画版も存在しており、大まかな内容は一緒だがアニメの前日譚が読めたり、1クール構想だった場合のまとめ方もしているためこちらもオススメである。
なによりさいと一栄の漫画が上手すぎるので。

↑コミックスは全3巻。アニメと一緒に読んで違いを楽しもう!

刀使ノ巫女』を見た人にオススメの作品

では次に『刀使ノ巫女』を見た人にオススメする作品を紹介していこう。
なんでそんなことするかって?
紹介したいからです。

仮面ライダービルド』

刀使ノ巫女』と同時期に放送されていた仮面ライダー
・主人公とバディが指名手配されることから始まる
・主人公と関係する(頭の中で会話が出来る?)とある人物が作中の重要人物
・ラスボスが白い敵で地上崩壊を防ぐために仲間と共に塔(ビル)を登る
・群像劇だが主人公とバディの物語に帰結する
など非常に共通点の多い作品となっている。

仮面ライダー剣

主人公達は怪物を仕事で倒す特殊な人物という作品でありながらも序盤は怪物との戦いよりも同じ力を持つ者同士の戦いを描いているという共通点がある作品。
序盤の意味不明さに対して右肩上がりで面白くなっていく点は『刀使ノ巫女』を見た人もきっとハマれるだろう。

侍戦隊シンケンジャー

異界から現れる敵「外道衆」を倒すための力を持った侍を引き継ぐ今を生きる侍「シンケンジャー」を描いた本作。
「侍」「過去から続く敵との因縁」「折神」「主人公の強さに惚れ固執するライバル」など共通点が多い作品。
戦隊シリーズの中でも屈指の人気を誇る本作、ぜひ一度見ていただきたい。

『BLUE REFLECTION RAY/澪』

刀使ノ巫女』と同じく2クール作品の本作。
本シリーズには一応戦う敵は存在しているが、このアニメではその要素はカットし、フラグメントという人の思いを奪う者と守る者の壮絶なライダーバトルを繰り広げる作品となっている。
こちらも様々なキャラクターを描きながらも非常に繊細な描き方をしているため面白く、『刀使ノ巫女』を見た人ならハマれる作品となっているだろう。

リコリス・リコイル』

言わずと知れたバズって有名なアニメ。
本作は『刀使ノ巫女』同様に『仮面ライダービルド』を非常に酷似しているため、恐らくこの二本が好きな人は好きな作品だろう。
明らかに女子高生に『シティーハンター』や『ダーティペア』をやらせたがってた本作だが、アクションもさることながら、千束とたきなのバディストーリーはブレる事のない面白さを見せていたので、バディ物が好きな人にはオススメである。

まとめ

いかがだっただろうか。
本作『刀使ノ巫女』はボクがとても面白いと感じ、アプリもサービス開始からサービス終了までやってて人生でかなりハマったコンテンツなので皆さんにも是非見てほしいと思い書いた次第である。
とじともが終わってもう2年も経つが、何だかんだでコンテンツも細くも力強く続いているので、パチンコマネーで何かしら新しい動きを見せてくれたらいいなと思ってたりする。
具体的には可動アクションフィギュアとかソシャゲの新作とか新しいアニメとかである。

いやまあしかしどれもお金が掛かる物だから難しい。

せめて親衛隊やゲームのメンバーのキャラソンと思ってもやっぱり難しい。

しかしやっぱり新作は見たいですよね。
世界観を変えても変えなくてもいいから具体的にはライダーバトル路線じゃなくて『仮面ライダー響鬼』みたいな作風で。


とまあなんか変なまとめになってしまったが今回はここまでである。

ではまた次回のブログで。
次回はあのレースアニメの感想でも書こうかな~と思ってます。

それと、全く関係ない近況なのですがU-NEXTで配信され始めた『超時空世紀オーガス』が面白いです。皆さんも見てください。


というわけで今度こそ終わりである。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

(2024/6/22)

『トラペジウム』を語りたい


ト~ラトラトラトラ~!トラペジウムを観たペジウムよ~!








皆さんは『トラペジウム』という映画をもう観ただろうか?
ボクはこのブログを書き始めた直前、2024年5月18日の日付が変わる直前まで、終電ギリギリのレイトショーで観てきたわけだがまあ凄い映画だった。

正直に言うとボクはこの映画を観に行くつもりは無かったし、ノイタミナで『うる星やつら』を見ているとCMが流れ
るな~という程度の認識だった。
しかし、公開直後に少々アレなワードを使った感想ツイートがバズっており、それを見たTwitterのフォロワーさん達が観に行って該当ツイートにキレてたのを見て興味が出たので「なら観てみるか」と思った次第である。ボクも該当ツイートはよく見てないのだが、該当ツイートが真なのか、それとも有象無象のアニメに本気に生きてるフォロワーが真なのか、それを確かめるために映画館へと足を運んだのである。


『はじめてアイドルを見たとき思ったの。人間って光るんだって。』

というわけでザックリとだがキャラクター解説をしていこうと思う。

東ゆう

本作の主人公。
自身の野望である「アイドルになる」を叶えるために緻密な計画を練り、アイドルへと成り上がろうとしており、他の3人を導いた人物。しかし性格に難があり・・・。
仮面ライダーエグゼイド』の檀黎斗や『仮面ライダーゼロワン』の天津垓のようなキャラ。

華鳥蘭子

ゆうが最初にスカウトした人物。
お嬢様であり、テニス部所属ながらもテニスが弱い。
4人の中で一番仲間思いな人物。

大河くるみ

ゆうが二番目にスカウトした人物。
高専に通っておりロボット制作が好きな少女。ロボットの大会でも記録を残している。

亀井美嘉

小学生時代のゆうの知り合い。
ボランティアに積極的に参加している。

工藤真司

くるみの同級生。
カメラが趣味。
この物語におけるある種のキーパーソン。

『トラペジウム』とはどういう作品の感想

※この項目からはネタバレを含みます

まあこのブログを読んでいる時点で観ていない人は居ないと思いますが・・・


まず結論から言うと、『トラペジウム』の感想なのだがメッチャ面白かった。
これを見て「サイコパス映画www」と言ってバズった奴とそれに便乗した奴を殴り倒して瞬きも出来ない状態にして席に縛りつけてこの映画をちゃんと見せてやりたいと思えるくらいには面白かった。

この映画の事を予備知識も入れずに予告だけ見て「王道青春アイドルストーリー」かと思って観に行ったがそんな事は無い。この映画は「青春の光と影」であり「夢を追い求める姿」を描いた作品なのである。

正直に言うと「青春アイドルストーリー」と思わせる予告やプロモーションの仕方は普通に損をしていると強く思う。何故ならこの作品はそんな一面を残酷にも肯定はせず、それでも否定に行き切らないという絶妙なラインで作りあげられたお話だからだ。


ところで少し話が変わるが皆さんは『ミラクルボール』という漫画を御存知だろうか?

ボクが小学生の頃に月刊コロコロコミックで連載されていた漫画なのだが、ボクは当時スポーツ物に興味が無かったため読んではいなかったのだが、友人がこの漫画を読んでいた。
詳細は省くがこの漫画は主人公視点だと少々ビターな終わり方をしてしまう。がしかし、ある種救いの様なアフターエピソードでこの作品は終わるのだ。

『トラペジウム』はまさにそういう作品である。

普通の作品、というかアイドル映画なら順調なアイドル活動にも陰りが見えチーム解散の危機になるが、最後は何とか持ち直し大きいライブなりを成功させてハッピーエンドだろう。
しかしこの作品は空中分解の挫折のままラストまで進んでしまう。言わば「アイドル」としての再起のエピソードが無いのだ。
そう、この作品は非常に残酷である。
なにせこの作品において「アイドル」に真剣に取り組み「アイドル」になろうとした人間は東ゆうだけであり、他の3人は東ゆうの野望に巻き込まれた言わば被害者である。


皆さんこんにちは。東ゆうです。
今日は皆さんに残念なお知らせがあります。
東西南北(仮)は、正義ではない。
私の野望の、捨て石だったのです。


だからこそ、蘭子は苦手を克服しようとしなかったし、くるみはアイドルから逃げたがってたし、美嘉は彼氏が居るという事実を重く受け止めてなかったのである。彼女らにとって「アイドル」の仕事とは東ゆうとの友達付き合いの延長であり、「非現実的な事象」なのである。
人生の目標が「アイドル」ではない彼女らにとっては学業やそれに付随する将来の方が優先順位としては高く、逆に東ゆうは「アイドル」こそが人生の目標であり、それは学業や将来設計を捨ててでも成し遂げたい野望なのだ。

また、この作品はアイドル作品ながらも、アイドルによって青春を消費される残酷さも描いている。
東ゆう以外の3人にとっては「アイドル」よりも「まだ見ぬ将来」の方が重要なのだが、それすらも飲み込もうとする「アイドル」という物は人生に大きく左右してくるだろう。

では彼女らにとって東ゆうに振り回された事、そしてアイドルをしていた事は間違いだったのか。
その答えはノーであろう。

東ゆうに振り回されたからこそ、この4人は自分を見つめ、将来を考えるキッカケとなったと言える。
「アイドル」をしていた事は青春のほんの一瞬の輝きに過ぎなかったが、ここで繋がった事は決して嘘にはならず、未来への始まりとなっている。

人生を左右する重大イベント、「夢」を目指す事の理想と現実、そして人が誰しも持つ光と闇、そういった「青春の光と闇」を内包したのがこの『トラペジウム』という作品である。


そんな凸凹まみれで決して奇麗ではない瞬間瞬間を必死に生きるエピソードなのだが、中盤の文化祭シーンが全てを物語っており、このシーンに物語が集約しているのが圧巻だっただろう。
それぞれが思い描く「10年後の自分」はアイドルではなく自分の好きな事をしている格好だった。そしてこれこそがこの4人の将来を暗示しているシーンであり、この直前も含めて「この4人は本来交わるはずがない、同じ方向には向かわない」というのを色濃く描いていたのである。
そしてこのシーンで東ゆうは両足が義足の車椅子の少女・サチからアイドルの衣装を渡され、「アイドル」になると約束する。作劇としてはこの時点で東ゆうの「アイドルになる」という野望は「他者から託された夢」となっていたのだ。東ゆう自身にその自覚はなかっただろうが、だからこそ挫折をしてもその「託された夢」を諦めなかったのであろう。


この物語はトラペジウム=どの二つの辺も平行ではない四角形、そしてその形をしたオリオン座。その歪ながらも奇麗な輝きを描いていたのである。

声優について

本作は声優の演技も素晴らしく、特に本業が声優ではないJO1の木全翔也内村光良は全く違和感がなく、言われるまで気付かないレベルでとても上手い。
そしてなによりも羊宮妃那さんの演技力が爆発した1シーンは圧巻だっただろう。セレプロから知っている声優さんだが、本当に上手いと思わされる。
東西南北4人の声優が皆、少女達の繊細さや感情のふり幅の演技が素晴らしいため必見である。

ただしゲスト声優の高山一実西野七瀬の爺さん役だけは無理があっただろう。いやこの二人が悪いわけじゃないのだが、何故この二人を爺さんその2、その3に配役したのかは本当に理解に苦しむものであった。そこはもう思い切って婆さんにしてやれよとも思ったが、爺さん一人が婆さん二人を侍らせてる絵面を出したらそれはそれでアレなので仕方なかったのだろうか・・・。

まあとにもかくにも必見である。

SNSに流されるな、その目で見ろ!

というわけで最初のSNSの感想に戻ろうと思う。
この作品を「サイコパス」という単語で片付けてしまう人は非常にもったいないと思う。
確かに東ゆうは万人受けする人物ではない。しかしこの作品はそこを肯定もせず否定もせず、一人の人間の在り方として描いているのだ。だからこそ例のバズった感想は上辺しか見ておらず、かつ物語を見ていないのだ。
そんな感想が初動のタイミングでバズったもんだから映画としてはもうそこでマイナスイメージである。
インターネットにおいては「玩具にしていい対象」に対してはとことん罵詈雑言を投げかけても許される印象がある。だからこそそこの感想に集まって安易に「サイコパス映画」として捉えられるのは非常に腹立たしいのである。
見てもないのにとりあえず酷い映画の比喩として『デビルマン(実写版)』を引き合いに出したり、『君の名は。』が大ヒットを飛ばした後に公開された『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を『君の名は。』と比べてよく理解せずに酷評したりとまあとにかくそういう類である。
インターネットは昔に比べてオープンになった。だからこそ10年前のネットのノリは今じゃ不快になるものもある。
だからこそ、そういう安易なバズを狙おうとせずにもっと作品に真剣に向き合ってほしい気持ちがある。
件のツイートは別にバズる意図は無かったかもしれない。しかし結果バズったことにより映画に対する悪評が下手に広まったとも言える。
悪名は無名に勝るとは言うが、それが効くのはあくまで自分の範疇であり、他者を侵害していいわけではない。

だからこそSNSの変な評価の波に飲まれず、せめて現行で見られる物くらいは自分の目で見て自分の意見を持ってほしいと思う。

140字に言葉の強さを込めるTwitterというものは光にも闇にもなる。だからこそ光を目指したい。

自戒も込めてこの項目は締めようと思う。

まとめ

いかがだっただろうか。

何だかんだ3月くらいからブログを更新していなかったためかなり久しぶりのブログとなったわけだが、まあ今後もマイペースにやっていければいいだろう。書きたいネタは思いつくが筆が進まないことも多々あるしね・・・。

というわけで今回は映画『トラペジウム』の感想だった。
まだまだ映画は公開中。ゴリラが大活躍する映画や猿がいっぱい出る映画があったり本気で徒競走をする映画や結束してるバンドの映画が控えていたりするが、皆さんも是非『トラペジウム』という名作を目撃してほしい。きっと埋もれてしまうし多分金ローみたいなので放送したりもしないだろうから。
だからこそ、やっている今、劇場で見てほしい。じゃないと君たち配信が来ても見ないでしょ?

というわけで今回はここまでである。

それでは次回のブログで。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

『ぽんのみち』を語りたい


みなさんは『ぽんのみち』というアニメを見ただろうか?
このブログを書き始めた頃に最終回を迎えたのだが、個人的には2024年冬アニメにおいて『勇気爆発バーンブレイバーン』と並んで面白いアニメだったと思う作品であった。まあそこまで本数見てないわけですが・・・。

この『ぽんのみち』という作品、麻雀×女子高生の日常アニメをやりながらも、麻雀アニメとしても日常アニメとしても中々に異質なアニメとなっている。
というわけでこのブログではこのアニメがどういう作品なのかを書いていこうと思い、久しぶりの「語りたい」をタイトルに冠したブログにしている。

2期を匂わせて終わった本作、2期があるかもしれないしそうじゃないかもしれないが、とてもいいアニメだったので是非とももっと知られてほしい、そんな思いで書いていこうと思う。

というわけで始めていこう。

『ぽんのみち』とは

まず『ぽんのみち』がどういうアニメなのかかを解説していこう。

『ぽんのみち』は『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』の打ち上げでプロデューサーの一人が出した案が始まりとなったアニメ。そのため監督は『波よ聞いてくれ』、『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』、『ひきこまり吸血鬼の悶々』の南川達馬になっており、監督が全話脚本もやっている。また、『炎炎ノ消防隊』の講談社繋がりで『五等分の花嫁』の春場ねぎがキャラクター原案をやっているのも特徴だろう。そのため全員乳がデカい。

麻雀というジャンルのアニメ作品自体が珍しいが、本作はそんな麻雀を題材とし、広島・尾道を舞台とした女子高生の日常アニメとなっている。
麻雀で女子高生と言えば『咲-saki-』が有名だが、こちらは競技的な側面での作品であるため明確に違うと言えるだろう。

キャラクター

次にキャラクターをざっくりと解説していこうと思う。

十辺舎なしこ

本作の主人公。苗字の読み方は「じっぺんしゃ」。
好きなバンドのライブ中継を見て家で騒いでいたところを母親に叱られ、どうするかを悩んでいた時に父親から昔経営していた雀荘を引き継ぐ。
麻雀の事は全く知らなかったため雀荘を別荘として自分の遊び場にしようとしていたが、次第に麻雀にハマるようになる。
雀荘で出会った麻雀の精霊である雀のチョンボの声が聞こえる唯一の人物。
広島弁で喋るキャラであり、仕草が親父臭かったりする。

河東ぱい

なしこの友人。
なしことは古くからの付き合いなのか、なしこの母親からは信頼されている。
麻雀自体は知っているらしく、初心者のなしこに比べるとルールを把握している節がある。

徳富泉

なしこの友人。
幼い頃から麻雀をやっていたようであり、ぱいよりも麻雀に詳しい。そのため、初心者のなしこへのルール説明もしていた。
カイジ』に影響を受けているのか、麻雀を打つと時々カイジなどの真似をしだす。
魚屋の娘なため、魚好き。
また、幼少期のトラウマで鬼が苦手。

林リーチェ

天然系なお嬢様。
幼い頃の親の仕事に付いて行っていた関係でなしこの父親が経営していた雀荘によく来ていた。
その後、高校生になりその雀荘を探し求めていた所、なしこと出会い、その後ぱいや泉とも仲良くなり一緒に遊んだりする仲となる。
実家が金持ちなため、なしこ達とはズレた感覚をよく見せている。
ネットでの名前を全て「リーチェいっぱつ」にしており、これにより後々特定をされてしまう。

江見跳

スマホアプリ『雀魂』の通信でリーチェを知り、なしこの雀荘まで来た人物。
一人だけ尾道住みではなく広島市から来ている。
麻雀が好きで、どこでも麻雀をやろうとせがもうとする。
独特なファッションは「カッコイイから」。

麻雀アニメとしての側面


本作は「麻雀」をテーマとしているアニメだが、「麻雀アニメ」としては異質な作りをしているのが本作の特徴だろう。

麻雀作品は上記でも紹介した『咲-saki-』を筆頭に、『アカギ』など競技性を重視したり、賭けなどをして作品を盛り上げるのをするのが基本となっているだろう。
しかし『ぽんのみち』ではそういう要素は無く、身内で仲良く麻雀をするという作品になっている。


(ちなみに賭け麻雀は違法賭博に該当するのでみんなはやめようね)


近年ではゲッターロボが麻雀を打つ漫画があるくらいには「麻雀」というゲームが漫画としてもジワジワと増えてきている実状はあるが、それでも将棋のようにある程度みんながルールを把握していてかつやっている人が有名な物と比べるとルールやゲームとしてはマイナーだろう。

ゲッターロボが麻雀を打つ漫画


そういった麻雀の「分かりづらさ」を自覚した上での麻雀描写が本作の特徴である。

1話において軽いルール説明はしたものの、細かいルール説明やゲーム描写などはやらずに、大味な部分での分かりやすさを重視しているのが絶妙な物となっている。
例えルールが分からなくてもゲームにおいてのイカサマ行為や違反行為、ゲームを回す上での間違いといった物は何となく分かるだろう。
特に「イカサマ」に関しては視覚的にも分かりやすく、ゲームにおいての「ズル」がルールを知らなくても何となく分かるという物になる。
そのため、作中ではイカサマの解説をしたり、描写として分かりやすくしている。


こういった「イカサマ」を作品の面白さの一つとし、視聴者がキャラクターを嫌いにさせないように描写をしているのはやはり描写としてのバランスの上手さだろう。

例えばなしこの場合、イカサマをしようとして失敗する、もしくはバレてそのまま負けてしまうなどといった描写が何度かある。

しかしこれが成立するのは「競技性を伴わない」という部分と「仲良しメンバーでの身内打ち」という要素が強いためという部分もある。ここのバランスが崩れると「なしこは麻雀でイカサマに走る奴」になってしまうため絶妙な橋渡りと言える。

また、東四局「ギガが減る!」では跳(この頃はまだ会った事が無い)以外全員身内でマッチングした際にはコンビ打ち(同じ卓の仲間と組んで打つやり方)はしないという描写をキチンと入れており、以後の回も跳と麻雀をする際はイカサマ行為をする描写を入れていないという所もポイントだろう。

「身内で打っているからこそ笑える描写」と「ルールを知らない視聴者にも分かりやすい描写」を両立させつつ、「麻雀を楽しんでいる」という描写を丁寧にやっているのが特徴だろう。

また、『カイジ』、『アカギ』という「みんなが知っている麻雀作品」のパロディによる分かりやすさを演出しているのも特徴である。


また「みんな漫画の真似から入る」という初心者あるあるを描写しており、それが「必殺技のように打つ」という演出にしている。



そしてもう一つのポイントは「競技性を伴わない」という部分である。

「麻雀」をテーマとしながらも「麻雀」が目標になっていないのが本作の特徴でもある。
例えば「日常アニメ」の代表でもある「きららアニメ」を例に挙げても、近年の作品では『はるかなレシーブ』、『球詠』、『おちこぼれフルーツタルト』、『恋する小惑星』、『ぼっち・ざ・ろっく』など、「日常+α」の作品では「+α」の部分のテーマに沿った何かしらの目標や、そこへ進むイベントが発生する。
しかし『ぽんのみち』での「+α」である「麻雀」は、あくまで少女5人達の日常においての共通の話題であり、みんなで遊べるゲームの感覚で描写されている。そのため、例えば「大会に出る」や「ライバルや誰かに勝つ」といった目標やイベントが発生しない物となっている。ここが「1クールの日常アニメ」としてのバランスの肝であり、ここで「麻雀」にイベントの比重を置くとまた別の味になってしまうため、本作においては正解だったであろう。

日常アニメとしての側面

次にこのアニメの肝である「日常アニメ」としての側面なのだが、こちらもかなり異質な作りをしている。

本作では学生モノの日常アニメとしてよくあるであろう「学校の描写」「家庭環境」「キャラクターのバックボーン」「誰かの家に集まる」といったことを描いてない、もしくは極力描かないようにしているという特徴がある。
そして本作は麻雀シーンよりも日常シーンの方が多いのだが、それで上記の要素をやるためより異質さが見えてくるだろう。

まず「学校の描写」だが、これは学生がメインの日常アニメとしては切っても切り離せない所だろう。これは学生作品において学校が「みんなの集まる場所」であり、「春夏秋冬の学校イベントが起こしやすい場所」だからである。「みんなが集まる拠点」というのは日常作品に限らずドラマを動かす起点となりやすい。それが日常アニメだと「学校」となるのだ。
しかし本作ではリーチェと跳は違う学校の人間となっている。そのため学校の描写は一切描かず、雀荘を「みんなが集まる場所」とし、細かな春夏秋冬のイベントは「尾道」という大きな箱でやっているのである。
ここが日常アニメとして一つの異質な描き方だろう。

無論『おちこぼれフルーツタルト』の様に学校描写がほぼ無いアニメが他に無い訳ではないのだが、そういった作品は「テーマ」の方に比重を置くため、そういう描写をせずに日常に比重を置いた描き方をしているのである。


次に「家庭環境」や「キャラクターのバックボーン」の部分。

本作において「キャラクターの家庭」が描写されていたのはなしことリーチェと泉のみである。

描かれていると言っても「なしこは一般家庭」、「リーチェはお金持ちのお嬢様」、「泉は魚屋の娘」程度の描かれ方である。
また「バックボーン」という部分でも、麻雀好きな人物として描かれている跳であるが、それ以外は描かれいない。

そして一番何も描かれていないのはぱいだろう。

ぱいは「なしこと泉と同じ学校に通う親友」というキャラクター付けではあるが、他には一切何もなく、「何故この二人と仲がいいのか」、「このキャラの家庭や過去、好きなことなどはは何なのか」という描写はやらずに「かわいいキャラ」としての描かれ方がされている。

上記のようにリーチェ以外に「分かりやすいキャラクターの記号や特徴」が無いにも関わらずキャラクターが描けているのが本作の特徴である。これはやはり「今という日常を生きるキャラクター」をちゃんと描けていたからこそ、描かれなくても不満にならない要素だっただろう。

また、リーチェ自体も「お金持ち」というキャラクターではあるが「お金」での描写でキャラクターを動かす事がほぼ無かったのも特徴である。
東七局「8月1日(ぱいの日です)」では珍しくリーチェのお金持ち描写がギャグとして使われるのだが、これは「友人の誕生日プレゼントにちゃんとした物を送る」事をした結果純金の麻雀牌セットをプレゼントしようとする描かれ方をしており、「善意の価値観のズレ」なため嫌味な描き方ではないという特徴がある。


そして「誰かの家に集まる」だが、例えば日常アニメなら「誰かの家でみんなでお泊り」というイベントやそれに似たことが発生するだろう。
しかし本作では跳がなしこの家に泊まるという描写はあるのだが、あくまで「そういうことがあった」程度の描かれ方で深くは描かれなかった。
これはやはり極力「キャラクター個人に依存する描き方」をしているからこそやらなかった事であるだろうし、雀荘自体が5人が集まる場所として成立しているからこそであり、「学校以外でみんなが日常になれる場所」として機能しているからであろう。

本作における「麻雀」

ここまで読んだ皆さんは疑問に思わなかっただろうか?
「麻雀アニメなのに何故5人なのか」、そして「このアニメに麻雀は必要なのか?」という部分を。

まず「麻雀アニメなのに何故5人なのか?」という部分をボクなりの解釈で書いていこう。
皆さんは知っているだろうが麻雀は基本4人でやるゲームである。そう基本4人でやるゲームなのである
基本4人なのに5人だと一人余るじゃないかという意見はごもっともである。しかし逆を言うと5人だからこそゲームメンバーが固定されないというメリットがあるのである。
その時に余った一人で他の描写が出来るというのがもう一つのメリットとなるだろう。


次に「このアニメに麻雀は必要なのか?」という部分である。
このアニメは麻雀シーンより日常シーンが多く、むしろ麻雀の要素は要らないのではないか?と思える節がある。実際1クール中1/3近くは麻雀をせずに終わる回が存在している。

結論から言うとこのアニメにおける「麻雀」は重要なピースである。

この5人の内リーチェと跳は麻雀が無ければ繋がっていなかった、出会ってなかった存在である。そしてなによりこの5人が共通で盛り上がれるのは「麻雀」である。
5人は麻雀以外でも仲良く様々な事をしているが、やはり一番盛り上がれるのは麻雀の話題であり、5人を繋ぐものは麻雀に帰結するのである。
そういった部分を考えると「麻雀」は必要であると同時に、麻雀をしない回は「麻雀から始まった仲の麻雀以外での関係性」を描くために重要な存在となっているだろう。


まとめ

いかがだっただろうか?
今回は2024年冬クールにおいてもっとみんなに見てほしい『ぽんのみち』を紹介したのだが、このブログで興味が持ってもらえたなら幸いである。
まあ色々書いたのだが、結局は「見ていけばハマるのでみんな見てほしい」という所である。
2期を匂わせて終わった本作、やはり1クールで終わるにはもったいない気持ちがあるので是非とも続きが見たいという気持ちが強くある。


まとめなのに何だか感想が纏まらなくなってきたので今回はここで切り上げることとしよう。

それでは今回はここまでである。

それでは次回のブログで。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

大人にこそ見てほしい特撮ドラマ『ウルトラマンブレーザー』


皆さんは『ウルトラシリーズ』を御存知だろうか?
1966年に始まった『ウルトラQ』をシリーズ第1作として、今現在においてもシリーズ展開をしている日本を代表する特撮作品である。
余談だが、当時は『ウルトラマン』の後番組であった『キャプテンウルトラ』も含まれていたが、こちらは円谷プロではなく東映なためシリーズには含まれておらず、また『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』と『ウルトラQ dark fantasy』は円谷映像が制作しているため現状はシリーズには含まれてはいない。(ただし『ウルトラQ dark fantasy』はウルトラシリーズを紹介する図鑑には含まれていたり、今作初出のレキューム人は後年の作品に登場したりする)

そんな『ウルトラシリーズ』の最新作が『ウルトラマンブレーザー』である。(2024年1月現在)
このブログ公開時にはこの作品は放送を終了しているのだが、毎年恒例の劇場版が控えているため、そのためにも本作の魅力を少しでも伝えられたらと思う。

というわけで始めていこう。

ウルトラマンブレーザー』とは何なのか?

まず『ウルトラシリーズ』を知らないと言う人のために『ウルトラマンブレーザー』という作品について解説していこう。

ウルトラマンブレーザー』は、『ウルトラマンギンガ』を始まりとするテレビ東京系での新作テレビシリーズの総称である『ニュージェネシリーズ』の題11作品目となる。
しかし『ニュージェネシリーズ』の特徴であった「過去のウルトラシリーズとの繋がり」「人間の言葉を使い、キャラクター感を親しみやすくする」「過去のシリーズの怪獣が沢山再登場、もしくはリメイクする」といった要素を排除、もしくは極限まで減らしている異質な作品となっている。
また、『ウルトラシリーズ』ではお馴染みであった「光線による必殺技」も廃止されており、初期の必殺技はスパイラルバレードと言う槍状の武器を用いた物であった。


『ニュージェネシリーズ』ではお馴染みとなっていた「インナースペース表現」も極力使われなくなっており、使われる際は一人称視点かつアイテムであるブレーザーストーンの差し替えのみとなっており、主人公・ゲントが言葉を発する事が無いのも特徴だろう。


その他にも『ウルトラマンティガ』以降のウルトラシリーズではお馴染み要素であった並列タイプへのタイプチェンジも廃止されており、基本フォームと最強フォーム(といっても右半身が変わった程度)しかないのも本作の特徴だろう。

↑上記の画像の様な複数フォームを持っていない作品となっている



そのため、シリーズを知っている人にとっては今までとは違った楽しみ方が出来、シリーズを知らない人でもイチから同じように楽しめる作品となっているだろう。

ウルトラマンブレーザー』の魅力


というわけで『ウルトラマンブレーザー』という作品の魅力を紹介していこうと思う。
上記の内容と重複するところもあるだろうが許してほしい。

ミリタリー描写

TVでの『ウルトラシリーズ』復活となった「ニュージェネシリーズ」では主人公が防衛チーム所属ではない作品が多く存在していた(『ウルトラマンギンガS』や『ウルトラマンⅩ』は珍しい部類だった)。
しかし『ウルトラマンタイガ』から防衛チーム所属というのがスタンダードとなっていた。
そのため『ウルトラマンZ』や『ウルトラマントリガー』及び『ウルトラマンデッカー』ではそれぞれの作品ごとで様々な防衛チームの描かれ方がされてきていた。
その流れの中でも今作『ウルトラマンブレーザー』では「シリーズ初の隊長が主人公でウルトラマン」という挑戦をしている。そのため、近年では特に防衛チームの描写に力を入れていた作品だったと言えるだろう。
ゴジラVSシリーズ』の様なフィクションという嘘の世界でのリアルという部分をとても緻密に描いており、軍という全体組織における主人公チームの立ち位置や、それによる組織としてのしがらみという部分を常に描いていた作品だっただろう。
また、主人公チーム以外にも個別チームがあることを匂わせており、『ウルトラマンガイア』に近いものを感じられる物となっている。

また、今作のロボット兵器であるアースガロンは基地内外での描写が非常によく、「怪獣型巨大ロボが現実で動かすならどうなるか?」という部分を描いているのがポイントである。
そのため、明確な長所と短所があったり、相手の怪獣の特性によって運用のさせ方を工夫しているというのもこの作品の特徴だろう。
こう言った理由から本作では作戦シーンが多く、「相手の怪獣にはどういう特性があるのか?」、「じゃあどういう風に対処すればいいのか」という部分をかなり描いていた作品となっている。

平成ウルトラシリーズのように、様々な戦闘機や戦闘車両が出るわけではないのだが、今の作品造りで追及出来るリアリティという部分が見応えとなっている。

ストーリー

本作のストーリーは過去のシリーズと比べるとかなり異質なのだが、その中でもまず違う要素と言えば「主人公のライバル、もしくは作中通して敵対する悪役キャラ」が存在していない事だろう。
ウルトラシリーズ』では『ウルトラマンA(エース)』のヤプールを皮切りに、『ウルトラマンレオ』のブラック指令及び円盤生物(4クール目のみ)、『ウルトラマンダイナ』のスフィア、『ウルトラマンコスモス』のカオスヘッダーなど、作中全体を通して敵対していき、その物語の結末のボスとなる存在があった。
また、『ウルトラマンオーブ』のジャグラス・ジャグラーが登場し、主人公とは対となる、もしくは何度も物語の障害となる魅力的な敵キャラが存在するのがある種定番となっていた。
そう言ったキャラクターをあえて出さずに、主人公チーム「SKaRD(スカード)」のメンバーのみにキャラクター描写を絞り、今一度「怪獣に対抗する人類」という描写に専念した珍しい作品になっていると言える。

↑ニュージェネの悪役の例


作中を通して戦っていく存在は魅力的ではあるのだが、どうしても話の都合上、中途半端に倒せずに戦いが終わったり、同じキャラとの戦いを何度も見ることになったりと、人によってはフラストレーションが溜まってしまう要素ではあった。
そのため、そういう要素が無い分、「怪獣をメインとした話」として見やすい作品となっているだろう。


そして本作のストーリーの特徴は「大人も引き込まれるドラマ展開」という部分にあるだろう。
子供向け作品なため「今回の怪獣とそれを退治する人間とウルトラマン」という話の構図は崩さずに、特に2クール目からは「軍が秘密にしている謎の情報」というドラマが作品を盛り上げる要素となっていた。
そういった緻密なドラマシーンは対象となる子供にはまだ難しい物ではあっただろうが、「シリーズが好きな大人」、「子供と一緒に見る親」を引き込む要素になっていたのは確かだろう。
2クール目から作品を引っ張ってきた謎が、終盤には1クール目の話も巻き込んで一つの線として繋がっていき、昇華していく緻密な構成はこの作品の魅力をグッと引き上げてくれている要素である。

また、この作品は「コミュニケーション」が題材であるため、そこに注目しながら見ていくとさらに面白い作品になっているだろう。

キャラクター描写

ウルトラシリーズ』と言えばそれぞれの作風なりのキャラクターの描き方をし、キャラクターが作風を作っていくというのが面白い要素の一つだろう。
今作では特に「SKaRDメンバーのプロフェッショナル性」を強く描いている作品だろう。
例えば主人公のヒルマ・ゲントは「初めての隊長主人公であり、『ULTRAMAN』(2004年)ぶりの妻子持ち」という特異な設定を持っている。そのため作中では「隊長としての指揮能力とカリスマ性」という部分をメインに描き、怪獣対処のプロフェッショナルという印象を視聴者にちゃんと分かりやすく描いている。そんな仕事人なキャラクターがたまに見せる「父親としての顔」という部分がキャラクターの魅力を引き立てている要素となっている。
このようなキャラクターのオンとオフ、仕事と日常、弱点、人間関係といった部分をギャグにはせず、しかしちゃんと面白く描写することにより、キャラクターや作品という世界に深みを持たせている。
また、仕事中ではあるけども緊張が解けているシーンでは、和気あいあいとした会話を見せるため、そこも面白いポイントだろう。


そして、ウルトラマンブレーザーというキャラクターはシリーズの中でもかなり異質な物となっている。
ウルトラシリーズ』は主人公の人格としてのキャラクターがメインとなる、主人公がウルトラマンと同一の存在、ウルトラマン自身が喋ってコミュニケーションを取り合えるの3パターンのどれかというのが基本であった。
特に、常に喋るウルトラマンとして衝撃を与えたウルトラマンゼロの登場以降、「ニュージェネシリーズ」では、主人公が日常的にウルトラマンと何かしらの手段で会話をし、時には悩みを共有したりするという作品がチラホラあり、そうでない作品でも、主人公の声でウルトラマンが戦闘中に喋り、必殺技を叫んだり、インナースペース描写を挟むことで分かりやすいウルトラマンのキャラクター付けがされてきた。

しかし、ウルトラマンブレーザーは「言葉は分からないが意思疎通は確かに出来ている」という部分を徹底しており、人間の言葉を発しないキャラクターという物になっている。そのため、時にはそれが主人公であるゲントを悩ませる物にもなっていた。
また、掛け声も「シュワッチ」に筆頭されるカッコイイものとはかけ離れており、雄叫びの様な声を発するキャラクターとなっている。
そして、アクションも野性味溢れる物にしているため、今までのシリーズを見てきたファンにも衝撃を与える物となっていた。
そういう描き方をされているが、作中ではカッコよく、時にはコミカルに描かれているため、そこで今までとは違う魅力という部分を存分に発揮していただろう。

↑作中では幾度も儀式的なポーズをとるが、謎が多い

怪獣

そして『ウルトラシリーズ』と言えばやはり怪獣だろう。

まず本作品において最初のインパクトは「新規怪獣の多さ」であった。
古いものでは『ウルトラマンマックス』や『ウルトラマンメビウス』の時からのスーツを使いつつも、「ニュージェネシリーズ」でも新規怪獣、もしくは新規で過去の怪獣のスーツが作られたりはしていた。
しかしもう10年もの期間使っているスーツもあるため、スーツの劣化で使える怪獣が限られ始めてきたという問題がある。例に『ウルトラマンオーブ』でのラスボスであったマガタノオロチは4年後の『ウルトラマンZ』ではスーツの劣化によりゲネガーグへと改造され、1話の看板を飾り引退となった。

また『ウルトラマンX』で登場したガーゴルゴンも3年後の『ウルトラマンR/B』にて再登場、そしてさらにその3年後の『ウルトラマントリガー』ではスーツの劣化からこれ以上使うことが出来なくなったため選出され、最後の活躍をし引退する形となった。

こう言ったスーツ事情に加え、使えるスーツは『ウルトラマンデッカー』の方に回され、改造されて使われていた。

↑『ウルトラマンメビウス』から幾度も再登場してきたレッドキング(初代)を改造したスフィアレッドキング、『ウルトラマンR/B』から再登場のたびに改造されてきたグルジオを改造したネオメガス、『ウルトラマンタイガ』のセグメゲルを改造したスフィアジオモスなど様々


そういった事情から、恐らく「今後もシリーズを続けていく」と言った部分を踏まえてか、今作では大量に新規怪獣が登場していた。
そのため、「ニュージェネシリーズ」で言われていた「またコイツか」というだんだんとありがたみが薄れていく再登場の不満という部分を解消している。


そして、本作では怪獣の描き方に特に力を入れており、様々な活躍や能力を見せ、「怪獣を軸とした物語展開」という作風を強く見せている。

まずは本作において一番重要となっている宇宙怪獣。

今作では宇宙怪獣は「〇〇・ウェイブ」と呼称され、人類の武装では攻略が困難な特徴を持っている。
例えば上の画像のバザンガは「どんな攻撃にもビクともしない装甲」、ゲバルガは「全ての電子機器を停止させる電磁波」と言った物だろう。
作中では「宇宙から飛来してくる謎の存在」として描かれており、作品の重要な部分に関わる存在として描かれている。

次に地球の怪獣なのだがコチラは二種類に分類されている。

上の画像のゲードス、タガヌラー、デルタンダルのような怪獣はあの世界における生態系の一つのような扱いの怪獣となっている。
そのため、リアルな生物のような、自分の意志で行動をしているような描かれ方をされている。
そのため、怪獣としての恐ろしさ以上に生物としての愛嬌が垣間見えるという特徴がある。


そしてもう一つがドルゴ、ニジカガチの「伝承に残る封印された生物」である。
特定の方法でのみ封印を解くことが出来る存在となっており、ブレーザーですら正面から戦って勝つことは不可能だった強力な存在となっている。
ある種の災害の具現化のような描写で描かれており、その恐ろしさと存在感が存分に発揮されている。


他にも様々な宇宙人や怪獣が登場し、どれも印象的な存在として光るのが本作の怪獣の特徴と言える。

ウルトラマンブレーザー』という作品

ここまでで紹介してきたことを踏まえた上で「じゃあ『ウルトラマンブレーザー』とはどういう作品なのか?」という部分を改めて書いていこうと思う。

ウルトラマンブレーザー』という作品は『ニュージェネシリーズ』という10年続いた歴史に対して、ある種10年かけて培った「お約束」、もしくは『ウルトラシリーズ』全体の歴史の「イメージ」に対する「挑戦」を目指した作品だろうと言える。
だからこそ打ち出したのが「ニュージェネのお約束をやらない」、「出来る限りのリアリティを追求した大人向けSF描写」、「ブレーザーという存在をスマートな描き方をしない」という部分だろう。
こう言った挑戦が出来るようになったのは、『ウルトラシリーズ』という作品が近年商業的に潤っていってる点や、シリーズで初めて10年連続テレビ作品がやれたからこそ(それまでの最長は『帰ってきたウルトラマン』~『ウルトラマンレオ』の4年だった)という二点が大きいだろう。
「子供も大人も楽しめる」作風にするために「大人が楽しめる要素」という部分をエッセンスにしただろうし、同時に「10年連続放送出来た」という部分で「それまでを楽しんでくれた子供、あの頃見てくれていた子供」にも向けた作品となっているのだろう。

また、本作では「コミュニケーション」と言う部分をかなり大切にしており、「ゲントとブレーザーのコミュニケーション」、「家族とのコミュニケーション」、「軍と言う組織での情報のやり取り」など、かなりの場面で「相手を知る」という事の重要性を描写している。
時代ごとに変化をし、そしていつの時代でも人間が生きていく上で難しい課題となる「他者との意思疎通」を、今の時代なりの描き方をしているのが本作の本質だろう。

オススメのエピソード

では『ウルトラマンブレーザー』という作品の中でも個人的に特に刺さったエピソードをいくつか紹介しようと思う。

第9話『オトノホシ』


脚本:植竹須美男  監督:越知靖

TVシリーズにおいて『ウルトラQ』から57年ぶりのガラモンの再登場となった回。
ウルトラQ』の第13話『ガラダマ』の要素をベースにしながらも、「音楽」をテーマに描かれた回である。
アンリにコンサートの招待状を出した楽団のおじさんの本当の目的は何なのかという話となっている。
演出や話の完成度などを含めて傑作回と評される回であり、単発回ながらも今回登場する「チルソナイト」は今後重要アイテムとなる。

第10話『親と子』


脚本:植竹須美男  監督:越知靖

ウルトラマンX』で登場以降度々再登場してきたニュージェネの看板怪獣デマーガの再登場回。
ゲントの家族のシーンが初めて描かれた回であり、「家族」が主題となっている回である。
父としてのゲントと怪獣退治の専門家としてのゲント、人を守るために先に怪獣に攻撃を仕掛ける防衛隊、人間や生物を知ろうとするブレーザーなど、今作においてかなり重要な要素がふんだんに詰め込まれており、「人を守るためとは言え武器を向ける事が本当に正しいのか」という事を説いた作品となっている。


上記の回と同じく植竹氏による脚本なのだが、残念ながらこの二本が植竹氏の遺作となってしまった。

第12話『いくぞブレーザー!』


脚本:足木淳一郎 監督:武居正能

第11話に引き続きゲバルガとの戦いとなった回。
デマーガ戦とゲバルガ戦(11話)でゲントの意志に反した行動をした結果、遂にゲントから距離を置かれてしまうブレーザー
ブレーザーとの不和、人類の全力の反撃、そして初めてゲントとブレーザーが一つになれたとい前半の締めにふさわしいエピソード。上記の『親と子』と同じく、『ウルトラマンブレーザー』という作品が描きたい話をキチンと詰め込みながらも総戦力による決戦という所を詰め込んだ最高の回となっている。

第15話『朝と夜の間に』


脚本:中野貴雄 監督:田口清隆

本作のメイン監督である田口監督の推薦により、スーツとしては『ウルトラマン』から57年ぶりガヴァドンの再登場となった回。
原典では「ガヴァドンA」表記だが今作では「ガヴァドン」名義になり、「ガヴァドンB」は登場しない。
ウルトラマン』第15話『恐怖の宇宙線』をオマージュしつつも、ゲントの息子・ジュンの掘り下げをする回となっており、どこか大人びて生きているジュンが引っ越しをする友と共に子供らしく生きる姿を描いており、ゲントの父としての側面も非常に光る回となっている。
推薦した田口監督本人が撮っているだけあって、コミカルな田口監督フィルムは必見。

原典の『恐怖の宇宙線』では、みんなのヒーローであるウルトラマンがひたすら子供に「帰れ」と言われ続けるという実相寺監督のシュールギャグが光る作品となっているため、こちらも併せて見てみよう。

第22話『ソンポヒーロー』


脚本:足木淳一郎 監督:中川和博

ウルトラマンブレーザー』最後の単発回となるこの回は、怪獣被害を対象とした保険を取り扱う保険会社で働いている冴えない営業マンのテツオが、ある日営業先で出会った老婆と交流していく回。
ゲストキャラがメインとなり話が進むという話はシリーズでもたまにある回なのだが、本作は主人公たちとゲストが一切関わらないという異色回となっている。
ウルトラシリーズにおいて意外と描かれる事が無かった「怪獣の居る世界で懸命に生きる一般人」を描いており、「どんな状況でも生きていく」というメッセージが込められており、作品の世界観をより広げてくれた回だろう。
また、この回で登場するレッドキング(二代目)とギガスは非常にコミカルな描かれ方をされており、そこも必見。

これもオススメ ウルトラシリーズ

それでは『ウルトラマンブレーザー』を見た人向けに「じゃあその次は?」のオススメを紹介していこうと思う。
U-NEXTなどではかなり配信数が増えてきたが、「ツブラヤイマジネーション」に加入して見てみるのもアリだ
ろう。
月額500円なのでお得だよ!

テレビシリーズ・OV

ウルトラマンZ』

ウルトラマンブレーザー』と同じく田口監督がメイン監督となる作品。
ウルトラマンオーブ』から実に4年ぶりのレギュラーのウルトラマンが一人だけとなっている作品である。
ウルトラマンゼットや主人公・ハルキ達のキャラクターを非常にコミカルに描きながらも、「武力を強化していく事に対する否定」を描いており、親子三世代で楽しめる作品となっているだろう。
この作品から『ウルトラマンオーブ』、『ウルトラマンジード』などを見ていくのも良いだろう。

ウルトラマンデッカー』

ウルトラマンブレーザー』の前年の作品。
ニュージェネでは『ウルトラマンギンガS』以来久しぶりの前作と世界を共有している作品となっている。
しかし『ウルトラマントリガー』の存在の扱い方が上手いため、この作品一つでもキチンと分かりやすくなっているのがポイントだろう。
ウルトラマンダイナ』のリブート作品としながらも、原典のスフィア(宇宙進出を拒む存在)とは設定を変えて「星を隔離する存在」として描いており、当時のコロナ禍の閉塞感や不安を反映させたかの様な作品となっており、それでもそこで生きる事を諦めない姿勢を描いている名作だろう。

ウルトラマンマックス

「最強・最速のウルトラマン」というコンセプトで作られた作品。
基本的に完全な一話完結型となっており、どの話から見ても楽しめるのが特徴の作品となっている。
監督と脚本家ともにシリーズ全体を見てもこの作品にのみ参加している人も多く、シリーズの中でも一番各回の監督や脚本家の特色が色濃く出ている作品となっており、毎回違った作風を楽しめるというのが本作の一番のポイントである。
また、ニュージェネでお馴染みとなった再登場怪獣もここから始まった施策となっている。

ウルトラマンネクサス

宇宙から来た謎の存在「スペースビースト」との死闘を繰り広げる作品となっている本作。
土曜朝7時半放送という放送枠に対し非常にダークな作風で展開しており、特にノスフェルは視聴者に強烈なトラウマを植え付ける存在となった。
しかし、そんな作風だからこそ最終回はシリーズの中でも5本指に入るレベルの傑作となっている。
その陰湿な作風から「当時は子供から嫌われた作品だった」とよく言われる作品なのだが、当時4歳だったボクは、初めてテレビで見る新作ウルトラマンだったこともあり何だかんだで凄く楽しく見ていた作品である。
当時公開されたこの作品の前日譚である『ULTRAMAN』もオススメ。

ウルトラマンコスモス

シリーズの中ではかなり珍しい「人類と怪獣の共存が出来ている世界」を描いた作品。
宇宙から襲来した謎の敵・カオスヘッダーとの激しい死闘を繰り広げながらも、あの世界だからこそ描ける「相手を完全に倒す事が正義なのか」という点を描いている作品となっている。
当時は相当の人気があったようで、テレビシリーズが4クールから延長され5クールとなり全65話+総集編3話(内5話は諸事情により未放送)というシリーズ最長の作品となり、劇場版も3本(2のみ2種類)も制作された作品となっている。

ウルトラマンダイナ』

前作『ウルトラマンティガ』から7年後、人類が火星にも拠点を増やしたネオフロンティア時代を描いた作品。
人類の宇宙進出を阻む謎の存在スフィアとの攻防を描く作品となっている。
前作の『ウルトラマンティガ』に比べるとコミカルな作風となっており、よりバラエティ豊かになった怪獣・宇宙人は必見。また円谷プロを潰しかけたほどにお金を注ぎ込んだ特撮シーンの数々も本当に素晴らしいため見ていて迫力の凄い作品となっているだろう。
前作を知っていればより楽しめる要素はあるが、基本的にはこの作品単体でも面白く、以後のシリーズのスタンダードを作ったと言っても過言ではないためかなりオススメの一本。
諸事情によりツブラヤイマジネーション独占なため、ツブイマに加入するかBlu-rayを買って見ていただきたい。

ウルトラマンネオス

ウルトラマンガイア』終了後に展開されたビデオ作品。
全12話という非常に短い作品なため見やすいが、この作品でしか見られない怪獣や宇宙人が非常に個性豊かで面白いのが特徴だろう。
ウルトラマン』のような一話一話の単発の面白さ、怪獣SFという部分に力を入れているため、気軽に見られる作品となっている。
特に第4話『赤い巨人! セブン21』、第9話『僕らの恐竜コースター』はオススメ。

ウルトラマンパワード

アメリカで制作、放送されていた作品。
主人公はなんと『忍者戦隊カクレンジャー』よりも前のケイン・コスギ
ウルトラマン』のリメイク的な作品であり、『ウルトラマン』の怪獣達がよりリアルな生物的なデザインとなっているため怪獣デザインなども必見である。
全13話と見やすい話数でオススメなのだが、ハリウッドとの権利関係の問題か日本では配信されておらず、現状はBlu-rayを買って見るしか手段がない。

劇場作品

ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』

ウルトラシリーズ初のテレビシリーズ放送中の劇場版作品。
ウルトラマンティガ』とのコラボ映画的なお祭り要素はありながらも、主人公・アスカの成長物語として一本の映画が完結しており、今でもシリーズの映画作品での一番の傑作はコレだと思えるほどに最高の作品となっている。
こちらは『ウルトラマンダイナ』の中で唯一どのサブスクも配信しているため気軽にこれから見るのもアリだろう。

ウルトラマンサーガ』

ウルトラマンゼロを主人公とした劇場作品第3弾。
前作までのウルトラマンベリアルとの戦いとゼロの成長路線とは変わり、今作では前作でウルトラマンノアの力を受け継ぎ、様々な宇宙に飛べるようになったゼロが、バット星人によりほぼ全ての生命が消滅した世界で戦うストーリーとなっている。
そのため『ウルトラマンダイナ』の世界から迷い込んだスーパーGUTSの隊員、タイガの成長ストーリーと、今作の映画の舞台となる地球で最後に残された人類である「チームU」の地球奪還がメインとなっている。
ウルトラマンダイナ』の面々が久しぶりに揃った『ウルトラマンダイナ』の続編的な側面もあるため、当時凄くうれしかったのも今でも覚えている。
当時は東日本大震災があり、その影響でこの作品も企画が止まりかけたらしいが、だからこそよりメッセージ性の強い作品となっており、終盤のシーンは復興のメッセージを込めたものとなっている。

『シン・ウルトラマン

近年公開され大ヒットとなった映画。
ウルトラマンブレーザー』と似たような作品となっており、『ウルトラマンブレーザー』を見てから今作をもう一度見るとまた違った見え方が出来るだろう。
庵野秀明なりのウルトラマンの解釈と、それにともなうストーリー展開が見ていて感動させられる作品となっているだろう。
ボクは3回見て3回泣きました。

まとめ

いかがだっただろうか。
ウルトラマンブレーザー』は近年では特に大人向け色が強く、かつ話の素晴らしさに感動させられて今回のブログを書いたが、やはりウルトラシリーズの面白さは「子供も大人も楽しめる」という所だろう。
大人向け子供向け関係なく、面白いと思える作品はいっぱいあるので「これって子供向けでしょ?」みたいな偏見を持たずに作品を見ていくことの大切さは常々感じるものである。
しかし、「子供向け」だからこそ出来る作品で感動させられる、「子供向け」でも大人だからこそ読み取れるシーンもあるため、そういう面からでも「子供向け作品」は侮れないなと感じる。

なんか話が逸れたような気がするが、とにかく『ウルトラマンブレーザー』は面白かったので是非ともウルトラマンを普段見ない人にも見てほしい、その一点に尽きる。

というわけで今回のブログは終わりである。

それでは次のブログで。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

2023年アニメ&エピソード10選&雑語り

この記事を書く頃には「もうこんな時期か」、「1年が早すぎる」と思うようになるのが毎年恒例になってきたなと思うようになってきた今日この頃。
なんというか高校生終わった後くらいから本当に1年が早く過ぎる。1年の密度が違いすぎてほんと学生時代は恵まれていたし、あの頃大人が言ってたのはこういう事だったのかと大人になって気付く悲しさが何とも言えない感じとなる。

みなさんは2023年どんな年だっただろうか?

ボクは去年うつ病になってから薬と共に普通に生活を頑張れるくらいまで回復してきたわけだが、本当に仕事先を探すのが大変だった。
それなりの時給で生きやすい場所、しかも金曜の通院のことを加味しつつ、うつ病持ちでも働ける場所なんて全然無いし、どこも雇ってくれない。
そんなことを9ヶ月も続けていたらやっと今の仕事先が見つかって今はなんとかやれていると言った感じである。まあ時給は低いから給料は低いので来年くらいには転職先探そうかなと思ってはいるのだが・・・。
人間の耐えられる諸々を加味した場合、社会が「完全週休3日、1日最高労働時間6時間(基本4時間)」で普通に暮らせるようになって、さらに、テレワークなどを駆使して地方に人が散らばっていけばなぁと言う理想を常に妄想するばかりである。まあ無理なんでしょうけどね。

まあそんなこんなで色々あったようなそうでもなかったようなと思う一年であったなと感じる。

しかしまあ、幣ブログは今年中々の盛況で、嬉しい事に『グリッドマン』関連の記事はとにかく1年通してずっと人気をキープするレベルには読んでもらえていたりする。
更新頻度が少ないしバズリもしないブログだが、常に誰かが見てくれているというのをちゃんと意識しながら書いていかないといけないなと思ったりする。読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。


というわけで長々と書いたが本題である今年のアニメの振り返りをしていこうと思う。
いつ頃公開してるかは分からないが、年末なら「あ~、ね~」といった感じで、正月なら「去年はこんな感じだったね~」と思っていただければいいかなと思う。

皆さんは今年のアニメで記憶に残ったもの、好きだったアニメは何があっただろう?
今回も去年と同じく個人的な作品&エピソード10選をしようと思う。

アニメ選出のルールは去年と同じく
・新作アニメのみ
・深夜アニメのみで朝夕アニメは例外枠で紹介
・エピソードは1つのアニメから1話まで
・2022年秋クールから始まって2023年に終わったアニメは入れても良い、ただしエピソード選出は今年放送分のみ
・分割2クールは1つのアニメとして扱う
以上5点である。

また、別にランキング形式ではないためそこは念頭に置いておいてほしい。
(ここは去年のコピペです)

というわけで初めていこう。

アニメ10選

1:『冰剣の魔術師が世界を統べる』

放送期間:2023年1月~3月 全12話 TBS系

「2023年見た中で一番面白かったアニメは?」と聞かれた時に、まず最初に思い出すアニメといったら確実にこれになるだろう。
yukinokino.hateblo.jp

上記のブログでも紹介していたりもするので詳しくはそちらを読んでほしい。

このアニメはとにかく「アニメ」として面白い。それは「アニメ」を構成する要素がどれも過不足無くマッチしており、OPとEDを含めた24分というフォーマットを本当に無駄なく構成している物となっている。
作品自体も、ギャグ主体のコメディタッチな描き方をしながらも、学園バトル作品として「魅せる所」、「盛り上げる所」、「締める所」をキチンと踏まえて話を構成してるため、見ていてとにかく楽しくかつ、見た後の熱量がとても高くなる作品となっていると思う。
特に5話のOP演出は必見。

群雄割拠していた2023年アニメの中でも、確実に見て損はない、最高のアニメはこれと言っても過言ではない作品である。

2:『江戸前エルフ』

放送期間:2023年4月~6月 全12話 TBS系

このアニメはボクのTwitterにてフォロワーさんがそもそも知っていた作品だったな~くらいの認識だったのだが、始まったら原作を買うほど良かったと思える作品だった。
江戸時代に日本に来たエルフと現代を生きる少女という二人のコンビをコンセプトにした作品は、とにかく二人の掛け合いが面白い。神として祀られているコミュ障ひきこもりオタクエルフのエルダに対して女子高生で巫女の小糸がツッコミを入れるという話をベースとしながら、その時々でエルダが様々な江戸の知識を披露していくという日常コメディとなっている。
また、東京という社会の中でも「月島」という江戸の下町的な情緒の残る町を舞台にした地域感や空気感が作品としていい味を出しており、エルダをとりまく人達の暖かさや人情を感じられる作品となっている。
アニメにおいての話の再構築や魅せ方も素晴らしいのだが、残念ながらカットされてしまった部分やアニメ化された以外にも面白い話が沢山あるので是非原作も読んでほしい作品である。

3:『スキップとローファー』

放送期間:2023年4月~6月 全12話 TOKYOMXなど

この作品もアニメが始まってすぐに原作を買った作品なのだが、この作品の特徴はなんといっても「原作をこれでもかというほど丁寧にアニメにしている」という所だろう。
新潟の田舎から東京に出てきた高校生・美津未と美津未をとりまく人物達の青春物語という作品なのだが、他の高校生日常物とは少し違う、リアル的な嫌な感情や出来事などを描きながらも明るさの象徴である美津未という光に周りが自然と集まり、少しだけ進んでいけるという作品構成となっている。漫画的、アニメ的なキラキラ感とは違い、漫画的ながらも人生の一片を渦巻く様々な悩みや葛藤を少しだけエッセンスとして取り入れている物語はドマラ的と言えるだろう。
そしてこのアニメは先ほども言った通りとにかく漫画に忠実となっている。
原作を読めば分かるが、とにかく原作のコマの写し方や表情、演出に忠実になっており、漫画をそのまま動かしていると言っても過言ではない作品と言えるだろう。
しかし、それだから手抜きだとかではなく、キチンとアニメとして完成度の高い作品となっており、見終わった後の満足感は本当に素晴らしい物となっているため、ある意味メディアミクス化の新しい形の一つとしてアリと言える作品となっている。
意外にも海外評価が高かった本作は隠れた名作と言えるため一見の価値アリだろう。

4:『絆のアリル』

放送期間:1st Season 2023年4月~6月 2nd Season 2023年10月~12月 全24話 テレ東系

このアニメは2022年秋のバンダイのおもちゃショーにて紹介されていて知った作品なのだが、第一印象としては「今更キズナアイのアニメか~」という感じだった。
アニメが始まると初期の方は何とも言えない感じで、惰性で見ていたのを覚えている。
しかし、第4話「~混迷のアンダンテ~」で化け始め、次第に面白くなっていったのがこのアニメである。
話の作りとしては女児向けアイドル物な作りなのだが、それを個人や大勢での配信の話にしつつ、段々とバーチャルアイドルという部分にシフトしていくのが中々に面白かった印象がある。
また、人間関係の描き方もよく、1クール目で「5人になるまでの物語」を描き、2クール目は「5人が向かっていく道」というのを描きながら、2クール目で増えたキャラクター達のコントロールなども非常に上手かった印象があり、そこで錯綜し、迷いながら進む関係性というのがとにかくよかった作品である。
とにかくキャタクターの絵が描き方が魅力的な作品であったと言えるだろう。

5:『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』

放送期間:2023年6月~9月 全13話(初回3話連続放送(再放送では分割)) TOKYOMXなど

yukinokino.hateblo.jp

本作は放送終わった後すぐにブログを書いたため、詳しくは上記を読んでほしい。
本作は『BanG Dream!』なのだが、今までのポピパのストーリーとは全く関係がないため、「バンドリは見たことないよ」だとか「バンドリはちょっとね・・・」みたいな方でも楽しめる作品となっているだろう。作品間の繋がりも、『仮面ライダーV3』に時々1号と2号が出たくらいで基本は立花藤兵衛くらいしか世界を繋げてるキャラが居ないみたいな感じなので過去作の知識が無くても問題ないだろう。まああった方がより面白くなる程度なので。
本作は、今までのシリーズとは違うギクシャクした人間関係のドラマが見所であり、「人生の迷子たち」が物語のメインテーマとなっている。
「トンチキギャグのない『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』」、「人の死なない『仮面ライダー555』」のような作風であり、濃く、複雑な、そしてどこか憎めない人間ドラマが好きな人にはドンピシャな作品であると言える。
続編の制作も決定しているため、抑えておいて損はないだろう。

6:『もういっぽん!

放送期間:2023年1月~4月 全13話 テレ東系

この作品は珍しい柔道をメインとした青春部活アニメとなっている。
本作はとにかく面白く、毎回面白さのハードルをドンドン超えてくるアニメとなっている。
決してキラキラしていない青春風景でありながらも、そこに生きるキャラクター達が「何故柔道をやりたいのか」という部分にキチンと向き合っているため、見ていいて眩しく、また学生をやりたいと思わせる作品となっている。
柔道のルールが分からなくてもスポーツ描写から「今どういう状況なのか」というのがキチンと読み取れ、スポーツアニメが苦手なボクでも非常に楽しめるアニメだったと思う。
特に第6話「後悔したくないから」、第7話「秘密兵器先輩」は傑作回。

7:『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』

放送期間:2023年10月~12月 全13話 TOKYOMXなど

面白さが担保されている事でお馴染みの秋葉原を舞台としたアニメ。マジデス?知らない子ですね・・・。
美少女ゲームの未来を憂うエロゲ雷十太コノハが、ひょんな事から手に入れた名作エロゲでタイムスリップをしていくストーリーとなっている。
ボク自身は生まれてすらいない時代が舞台となっているため、その辺りのエロゲ文化やコンピューターなどは分からなかったが、そういう辺りを知らなくても楽しめる作品になっていたと思う。
シナリオも、エロゲ周りの話と、その時代時代の話しながらも、エロゲのようなタイムスリップSFを繰り広げていくため、ハマる人はハマる作品になっているだろう。
2023年秋アニメの中でも、特に光る一本だっただろう。

8:『アンデッドガール・マーダーファルス』

放送期間:2023年7月~9月 フジテレビ系

西洋を舞台とした推理ドラマが軸となる本作。ただの推理アニメではなく、吸血鬼や人狼といった西洋の妖怪(怪物?)やアルセーヌ・ルパンやシャーロック・ホームズといった有名な小説のキャラクターなどが登場する本作はまさに西洋フィクションの闇鍋と言うべきだろう。
しかし、推理シーンはちゃんと筋の通った物となっており、重厚な推理シーンが楽しめるものとなっている。
またそんな作品だが、バトルもあったりして楽しい作品となっている。また、落語的な言葉回しが面白いのも本作の特徴だろう。
かぐや様は告らせたい』の畠山守監督と『虚構推理』の脚本家・高木登氏が組んだ本作はとにかくアニメの質として非常に素晴らしく、『虚構推理』のあの感じをもっと濃くした物と思ってくれればいいだろう。
また、ルパン編は『ウルトラマンティガ』でお馴染みの小中千昭氏が脚本を担当しており、そういった所も見所だろう。
また、声優の演技も凄いなと思わされる作品となっており、特にメイン3人の「人間とは違う質感のある、腹の底が見えないキャラクター達」の演技は唸らされるものとなっている。
個人的に、今年のアニメで一番2期が来てほしい作品と思っている。

9:『君は放課後インソムニア

放送期間:2023年4月~7月 全13話 テレ東系

眠れない少年少女の出会いから始まる青春作品となる本作。最初は倉庫と化していた部屋を勝手に使っていた二人が、部屋を占領するために天文部となり、そして次第に天文部として活動しだすという話なのだが、ボーイミーツガールのジュブナイル作品としてのクオリティがとにかく高い。
青春の儚い一瞬を切り取ったような作品でありながら、その一片の輝きが素晴らしい物となっている。
また、メインの二人の周りに居るキャラクター達も魅力的で、特に白丸先輩はとてもいいキャラである。
アニメはアニメの表現として素晴らしいのだが、漫画も漫画で、静かでリアルな漫画となっており、天文的な描写も「凄い」と思える描写となっているため、是非ともアニメと同時に漫画の方も読んでみる事をオススメしたい作品となっている。
ボクは見ていないのだが、同時期にあった実写映画も意外と好評だったため、余裕があればこちらを見てみるのもアリだろう。


10:『ミギとダリ』

放送期間:2023年10月~12月 全13話

坂本ですが?』でお馴染みの奇才・佐野菜見先生の作品であり、残念ながら遺作となってしまった本作。
坂本ですが?』にもあったシュールギャグを作風としながらも、一人を演じる双子の孤児がとある街の老夫婦の養子となり、その街で母親の死の真相を探し、復讐を企てるというミステリ仕立ての作品となっている。
しかし、作品の軸は「家族」となっており、様々な魅せ方で「家族」というテーマを綺麗に物語に落とし込んでいて、とても完成度の高い作品となっている。
原作者がアニメにも非常に積極的に関わっていたらしく、そのためか作品としての質が非常に高い。
アニメとしてのシュールギャグの表現が非常によく出来ており、また、そこで出てくるシリアスな描写や謎の提示というものが非常によく出来ており、とにかく物語に引き込まれる。
また、普段あまり気にしないであろう「声優の演技」というのも常に物凄く、とにかく作品に対しての演技の上手さを味わえるのでそう言った面で見るのもオススメな作品である。

残念ながらアニメ放送前に亡くなられてしまった佐野菜見先生に哀悼の意を表そうと思う。

番外編

残念ながら10選とまではいかなかったものの、それでも紹介したいアニメはまだまだあるため、ここで紹介していこうと思う。

『好きな子がめがねを忘れた』

放送期間:2023年7月~9月 全13話 TOKYOMXなど

密かに三重さんに思いを寄せる小村くんとよくメガネを忘れる三重さんの二人を主軸としたラブコメ作品。
タイトル通り、毎回三重さんがメガネを忘れ、それで小村くんが色々あたふたするというのがテンプレートなドラマとなっている。しかし、そんな一発ネタみたいなものでありながらも、毎回色々な話を見せてくれて非常に楽しい作品となっている。
特に、12話かけて積み上げてからの最終回の構成は唸る物となっている。
また、『生徒会役員共』、『ハンドシェイカー』、『プレイタの傷』などでお馴染みのGoHandsが制作しているため、普通のラブコメ作品とは違ったアニメ感が楽しめるのもポイントだろう。
所謂高木さん系ラブコメなのだが、キャラクター両者に嫌な癖もなく、漫才的な掛け合いもないにも関わらす、キチンとコメディが出来ているのもポイントだろう。

『デキる猫は今日も憂鬱』

放送期間:2023年7月~9月 全13話 TBS系

上記の『好きな子がめがねを忘れた』と同じくGoHandsが制作しているアニメ。
仕事以外は自堕落なOL・幸来(サク)と、なんでもこなしてくれる人のサイズの猫・諭吉が繰り広げる日常系作品となっている。
作品内容としては「社会人のドラえもん」と言った感じだろうか。
いざこうして文章で説明しようにも中々に説明しづらい作品なのだが、とにかく面白い、癒しアニメだったと思う作品である。
こちらも、最終回の構成が良く、余韻を持たせ、「もっと続きが見たい」と思える物となっているため、癒し系作品を求めている人なら是非一度見てみるべきだろう。

『転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜』

放送期間:2023年4月~6月 全12話+事後特番 TOKYOMXなど

このアニメはとにかくテンポが凄かったアニメだと思う。冰剣よりもテンポというテンポが凄いアニメとなっており、とにかく視聴者を休ませる気のないギャグという部分が魅力だろう。
しかし、「内容が無い」だとか「見ていて煩わしい」とかそういう事はなく、キチンと5W1Hが頭に入ってい来る作品となっているため、テンポコントロールの凄さに唸らされる作品となっている。
原作は触れていないのだが、事後特番での監督のメッセージから意図してそういうギャグ感やテンポにしているらしく、監督の技量の凄さだと言えるだろう。
このような作風なため、所謂異世界チート物でありながらも、主人公のカインが叱られる時はちゃんと大人に叱られ、「トホホ~・・・」となりながら反省するというバランス感覚の凄さもこの作品の完成度を語る上では外せないだろう。
また、OPのサビ部分はとても人気なシーンであり、主題歌担当の内田彩氏が「貴族走り」というワードを生み出すほどである。

『神無き世界のカミサマ活動』

放送期間:2023年4月~6月 全12話 TOKYOMXなど

宗教の教祖の息子がとある事で「神への信仰が無い世界」へと行き、そこの村で神への信仰を作り国へと反逆するというストーリーとなっている本作。奇しくも2023年は某宗教団体の本丸がドンドン逝った年だったので変なシナジーがあったと言えるだろう。
宗教という危なげな物をテーマとしながらも、話への取り入れ方のバランス感覚が非常に上手いと感じるアニメだった。また、シナリオも基本的にギャグで進むのだが、画面が低予算ながらも工夫された魅せ方をしているためその辺りのマッチも良かった印象がある。
話が進むにつれて明かされていく謎なども非常に引き付ける物があったため、下ネタが嫌いじゃなかったら是非とも見てほしい一本。

『ティアムーン帝国物語〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜』

放送期間:2023年10月~12月 全12話 TOKYOMXなど

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』以降、爆発的に増えた「悪役令嬢モノ」アニメの一本なのだが、そんなテンプレ的な要素の作品でかなり面白いと思えたのが本作である。
こういった作品は「主人公が創作物などで先の展開を知っているから回避していく」というのがある種のテンプレなのだが、今作では一度本当に人生が破滅し、ギロチンにかけられた時に、何故か精神(記憶)だけ過去の自分にタイムスリップしたワガママ姫が主人公という物になっている。そのため自らの保身のために動くというテンプレは守りながらも、それが国家規模でのやりとりになるという面白さが発生している。他の作品では「貴族」や「姫」などの身分はあっても、どうしても個人間での物語になっていたためここが明確な特徴だろう。
また、主人公・ミーアが打算的に動こうとするも思ったようにはいかず、しかし周りは好意的に受け止めるので事態がドンドンといい方向に進むというのも面白さとなっているポイントだろう。
アニメ的な面白さも多い本作も、強くオススメ出来る一本である。

『山田くんとLv999の恋をする』

放送期間:2023年4月~6月 全13話 TOKYOMXなど

MMORPGとリアルを同時進行で描きながら、リアルでの恋愛を描いていくというありそうでなかったラブコメ作品。
キャラクター達が少々癖のある作品にはなっているのだが、見ていく内にだんだんと色々なキャラクターが好きになっていくのが本作の魅力だろう。
スタッフが『ちはやふる』と同じため、話のテンポや、緩急のつけかた、ギャグの面白さなどのバランスが非常にいい作品となっている。
最終回の落とし方が非常に気持ちよかったため、2023年一番オススメのラブコメ作品。

『経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。』

放送期間:2023年10月~12月 全12話 TOKYOMXなど

もはやタイトルとビジュアル通りの作品なのだが、性的経験の意味でのタイトルのラブコメである。
とにかく話の回し方が面白いと思える作品なのだが、話のテンポの面白さは流石は福田裕子脚本といった所だろう。
様々なキャラクターが関わっていく作品であり、毎週毎週見ていて面白かったアニメだと思う。
タイトルから距離を置かれそうなアニメではあるが、綺麗にまとまっているためオススメの作品である。

『AIの遺電子』

放送期間:2023年7月~9月 全12話 TBS系

AIを題材とした『ブラックジャック』のような作品となっている本作。監督は『魔法戦争』でお馴染みの佐藤雄三監督であり、制作は『葬送のフリーレン』のマッドハウスとなっている。しかしフリーレンとは違い、海外丸投げ制作なため、画面のクオリティはお世辞にも高いとは言えない。
しかし、シナリオの出来はよく、近未来のAIのSFとしての出来は非常によく出来ており、その世界においての日常とそこに生じる問題というのがちゃんと描けていた作品だったと思う。
オムニバス的な作りでありながら、最後はちゃんと一本の線で繋がるというのはよく出来ていただろう。


この他にも紹介したいアニメはまだあるのだが、あまりにも多くなるため今回はこの辺りで締め切ろうと思う。

エピソード10選

今年も中々エピソード単体というのは思い浮かばなかったが、なんとか10本絞り出していこうと思う。

1:『くまクマ熊ベアー ぱーんち!』 第4話「クマさん、少女を導く」


子供を大切にしてきた『くまクマ熊ベアー』という作品において、この回はある意味一番大切な単発回だと言えるだろう。
孤児院で育った少女・シェリーが、自分の趣味である刺繍を習いに紹介された店に通っていると、ある日見習いとして店で働かないかと誘われるという話となっているこの回は、シェリーの葛藤とそれを導くユナという部分が非常によく出来ていただろう。
中々に癖のある本作ではあるが、是非ともこの話だけは見てほしいと思う。

2:『英雄教室』 第10話「俺よりうまいものに遭いに行く」


この回は11話及び12話が前後編なため最後の単発回となっている回であり、本作の中でも1、2を争う傑作回だろう。
主人公・ブレイドの誕生日をみんなが祝うという回なのだが、この作品のいい所がギュッと詰まっているのがこの回の魅力だろう。とにかく暖かく、ここまで見てきてよかったと思える回となっている。
『英雄教室』はどれも面白い回ばかりだが、この回と第5話「魔王の娘」は甲乙つけがたい話となっている。

3:『葬送のフリーレン』 第12話「本物の勇者」Bパート


この話も上記と同じく誕生日回となっている。
シュタルクの生い立ちやそれを間接的に知るフリーレン、シュタルクの誕生日をちゃんと祝いたくて悩むフェルンと三人の関係性やキャラクター観がかなり綺麗にまとまっている単発回の一本だろう。

4:『聖女の魔力は万能です Season2』 episode12「Blessing」


この回は2クールかけた『聖女の魔力は万能です』という作品のフィナーレを飾るにふさわしい回だったと思えるほどにいい回である。
2クールかけて積み上げてきたセイとアルベルトの関係性をどう落とすかという部分が重要になってくるこの回は、2クールかけたからこその話の重みがキチンと出ており、見終わった時の満足感が最高の回となっている。

5:『カノジョも彼女 Season2』 第19話「カノジョたちとの夜」


ヒロイン4人が日替わりで主人公・直也の部屋に行き誘惑し、直也がそれに耐え続ける戦いをするという非常にバカらしい回なのだが、そのバカらしさを存分に面白く出来るのがヒロユキ先生の凄いところだろう。
それぞれのキャラクターのアホな行動が存分に楽しめるのだが、それでもキャラクター観が壊れてなく、非常にいいバランスで進んでおり、この作品のいい所が詰まった回だろう。

6:『オーバーテイク』 Rd.09「厄災の日-What really happened?-」


この回は『オーバーテイク』の重要な部分である「過去を乗り越える」というテーマにおいて非常に重要な回であり、この回で初めてこの作品の事が掴めたと思える回であった。
震災の日、何故写真が撮れなくなったのかという部分が明かされる回であり、同時に救いの回となっている本作は一つの話としての完成度が非常に高いものとなっている。
ただし、東日本大震災を扱っているため、そういう部分において見られないという人は視聴を避けた方がいいだろう。

7:『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』 第9話「迫る熱に押されて」


天皇賞(春)を控えたキタサンブラックサトノダイヤモンド。そんな二人を親友でありライバル、そして親友という絶妙な関係性を描き切ったのがこの回である。
目的もなく、ただひたすらに二人旅を楽しもうとするキタサンの描写と、その旅の終わり、そしてライバルとしての目線がよく出来ており非常に満足度の高い回となっている。
見る母数が増え、色々と言われている3期ではあるが、その中でも特に光る回だっただろう。

8:『デキる猫は今日も憂鬱』 10缶目「デキる猫は留守番がデキる?」


社員旅行に行くことになり幸来と諭吉が一日ほど離れてしまうという話。
これまでは幸来を諭吉が支えるという話だったが、いざ離したら二人はどうなるのかというのを描いた回となっている。
万能な諭吉も幸来が居ないとどこか抜け殻のようになってしまうという、二人の双方の大切さを描いた回であり、二人の関係性をグッっとさせてくれる回だろう。

9:『おとなりに銀河』 第11話「久我くんと刺抜き」


しおりの棘から始まった物語についに決着がつく回。
棘と言うしがらみを解く代わりに記憶が消えてしまい、「好き」と言う気持ちまで消えてしまう不安を描いた回となっている。
11話かけた一郎としおりの二人の関係の集大成であるこの回は、まさにこの作品が一番描きたかった回だと言えるだろう。

10:『SYNDUALITY Noir』 ep.8「Pure dream」


このアニメはロボットアニメなのだが、その中でも羽休め的な水着回がこの回である。
水着回で全体的にギャグ調ではあるのだが、主人公・カナタの幼馴染・エリーを掘り下げる話となっており、エリーというキャラクターを魅力的に描いている回だろう。
このアニメは2クール目も控えているため、この二人の進展にも注目していきたい所だろう。


まとめ

いかがだっただろうか?
正直言うと、個人的には2022年のアニメの方が全体的に強かったなと言う印象はあるのだが、やはりいいアニメが多かったなと思う。
ただ、2023年は22年以上に見るアニメを減らしたと思う所があり、録画はしていても見逃したり被ってたりしたアニメはドンドン見なかったのでその辺りは反省かなと思っていたりする。24年はその反省が活かせればいいのだが、もしかしたら現状維持になるかもしれない。
しかしまあ、無理してアニメ見るよりも、見られる範囲で見て楽しめればそれでいいかなという感じはあるので無理せず生きていこうと思う。

というわけで今回はここまでである。
なんとか年内に書き終えたので、今回はこの言葉で締めくくろう。

それでは皆さんよいお年を。
そして2024年は幸多い年になるよう願っています。

それでは次のブログで。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

『ゴジラ -1.0』の感想・雑語り


みなさんは『ゴジラ -1.0』をもう観ただろうか?
ボクは公開日当日は有楽町のゴジラフェスに行っていたり、用事などで中々観に行けず、一週間経った11月10日に観に行った。

今作は公開すぐに異常なほどのヒットを飛ばしており、流石はゴジラブランドだと感じるものである。
しかし『ゴジラ』と言う作品は、ハリウッド版があるにしても、邦画としては『シン・ゴジラ』から7年ぶりであり、ゴジラシリーズが途絶えた『ゴジラFINAL WARS』からは20年近く経っている。
なので今作が初ゴジラだと言う人も多いだろうし、ここからシリーズを見てみたいという人も居るだろう。やはりその人達には是非とも『ゴジラ』を見てほしい。

まあそんなわけでせっかくなら感想を交え、ついでにシリーズ紹介的なブログを書いてみようかなと思ったわけである。

ゴジラ -1.0』とはどういう作品なのか

やはりまずはこの作品がどういう作品なのかと言う部分を軽く説明しよう。

本作は「ゴジラ生誕70周年記念」で公開された作品であり、実写の邦画では『シン・ゴジラ』から7年ぶり、映画としては2021年の『ゴジラVSコング』から2年ぶりの新作となっている。(ゴジラフェスで毎年新作映像自体は作っているが)
舞台は『ゴジラ(1954年版)』より前の、第二次世界大戦終戦間もない1947年となっている。
そのため、当然ではあるが本作は『シン・ゴジラ』とは関係ない単発作品となっている。
監督は山崎貴監督。山崎監督は『ALWAYS 続・三丁目の夕日』や西武園ゆうえんちのアトラクション『ゴジラ・ザ・ライド』にてゴジラを描いており、実はゴジラを描くのは三本目だったりもする。

今作のゴジラやミニチュアなどは『シン・ゴジラ』と同じく白組が担当しているCGとなっている。そのため本作もスーツのゴジラではない。

本作の感想

※極力ネタバレは避けますがここからの項目はネタバレを含む可能性があります


本作の感想なのだが、一言言うと「とにかく面白い」。
初代ゴジラより前の時代、戦後復興間もない1947年にゴジラが現れたらどうなるのかというのをキチンと描きながら、神木隆之介演じる主人公・敷島がゴジラと言う存在に人生を翻弄されていくというストーリーが本当によく出来ているなと思った。
そして「ゴジラ」の存在が物凄く怖い。「意思の無い災害の象徴」の怖さだった『シン・ゴジラ』のゴジラとは違い、凶暴な肉食恐竜、それも人間の勝てない生物が暴れ回り、人間が蹂躙されていくという「生」の怖さがある。
しかし、そういったゴジラの生物的な怖さを描いているからこそ、終盤は人間の知恵と底力を見せる展開に説得力が出ていると個人的には思う。
また、終盤は山崎監督のミリタリオタクっぷりが忌憚なく発揮されており、手に汗握る熱い展開となっており非常に満足度が高い。

主人公・敷島に感情移入させる作りになっているからこそ、中盤まではゴジラのシーンで「恐怖の涙」を流す事が出来るしラストは「感動の涙」を流す事が出来る。そしてゴジラとの決戦は「漢泣きの涙」を流す事が出来る。
一つの映画で色々な感情で泣けるのは素晴らしい事だろう。

映画単体でストーリーがまとまりながらも、過去のゴジラ作品を知っていると「オッ」となる要素も含まれているため、初見にも、舌の肥えたオタクにも満足出来る作品となっているだろう。

先にも説明した通り、今作もゴジラやミニチュアはCGなのだが、CGだからこそ出来るシーンや、白組のクオリティの高いCGが持たせるリアリティや説得力がよく出ているだろう。
ボクとしてはやはり特撮だからスーツや模型のミニチュアの方が好きなのだが、現代の邦画における怪獣映画の新しい形としてドンピシャな映像を見せてくれたと思う。

シン・ゴジラ』との比較

やはり7年前に大ヒットとなった『シン・ゴジラ』と比較する声は多いと感じられる。
なので『シン・ゴジラ』も好きだからこそ今回の『ゴジラ -1.0』とはどう違うのかと言う部分を書いていこうと思う。

まず『シン・ゴジラ』との違いだがこれはもう「何もかもが違う」としか言いようがないだろう。


シン・ゴジラ』という作品は個人的に2011年の東日本大震災を踏まえ、それを反映した作品となっているだろう。
なので「視聴者と同じリアルタイム軸で『呉爾羅』という未知の巨大生物による災害が東京を襲ったらどうなるのか」という部分を描いており、話の軸としている部分も「未曾有の災害を対処していかないといけない政府」という部分を描いている。無論フィクションではあるのだがより「リアル」に近い、ある種ドキュメンタリー的なドラマを目指して描かれているだろう。
なので「人間とゴジラの攻防戦」と言う部分を強く描いており、「次はどうなるのだろう?」、「この情報が分かったならどうなっていくのだろう?」という「この先はどうなるのか?」という部分で観る側を引き込む作りになっていると思う。
また、ゴジラの存在も庵野秀明氏らしい描かれ方をされており、「神へと進化していく生物を超越した存在」という物になっていると感じる。またあえて無機質に描く事で「災害の象徴」という怖さを色濃く描いているだろう。そういったオリジナリティを含みながらも「人類の核の過ちによる存在」という初代から続く要素もキチンと残している。


それに対して『ゴジラ -1.0』は、「1947年という時代に50mの巨大生物が現れたらどうなるのか」を描いている作品である。
ゴジラ」と言う存在も元来存在している20m弱の恐竜の様な生物が1946年のマーシャル諸島での水爆実験で50mに巨大化したものとしており、明確に「生物」としての描き方をしている。
だからこそ、先の項目でも書いた通り生物的な動きをし、生物的な人間の襲い方をするという「生」の怖さを描いているだろう。
また、ストーリーも「リアルなドキュメンタリー」だった『シン・ゴジラ』とは違い、「リアリティのあるドラマ」となっている。
この「リアル」と「リアリティ」は明確に違い、後者は「誇張された嘘」があることでドラマとして成り立ち、ドラマに説得力を持たせる物となっている。なので、フィクションを楽しむ上では「リアリティ」の方が世界観に入り込みやすく、ドラマに感情が乗せやすいものとなっているだろう。
ドラマとしても一人の民間人の「救い」へのドラマとなっているため、それに伴う感情のラインで観る人間を引き込む作りとなっているだろう。

ゴジラ(1954)』から「見る側と同じ時間にゴジラが出たらどうなるのか」という要素を取っているのが『シン・ゴジラ』であり、「戦争が終わったのにまた戦争のような被害が起きてしまうのか」という要素を取っているのが『ゴジラ -1.0』だろう。


なので「どちらが面白い/好き」という感想はあるだろうが、どちら同じコンセプトで全く違う作品であり、どちらも「ゴジラ対人類」という作品をどう描くかの監督なりの答えが色濃く出た作品なため、優劣つけがたい面白さが両者にはあると思う。

色々見よう!ゴジラシリーズ

というわけで「『ゴジラ -1.0』面白かったよ」、「『シン・ゴジラ』も見たから見たよ」という人で「ゴジラシリーズは見たこと無いよ」、「多すぎて何を見ていいか分からないよ」と言う人達向けのつ「次に何見る問題」のためのコーナーに移ろうと思う。
と言ってもボク自身も全シリーズ網羅しているわけでもないし、子供の頃に見た程度の記憶の作品も多いため、あくまで一個人の意見程度に見てほしい。

ゴジラ -1.0』のオマージュ元を確認しよう

ゴジラ(1954)』

ゴジラシリーズ最初の作品となる本作。
ウルトラマン』を作った事で有名な円谷英二が特撮シーンを作った事で有名な映画である。
本作品が与えた影響は大きく、『ロスト・ワールド(1925)』や『原子怪獣現る』、『キングコング』では怪獣をストップモーションで描いていたのに対して『ゴジラ』は「着ぐるみによる巨大特撮」という物を初めてやった作品であり、日本人に「怪獣」という概念を生み、「特撮」というジャンルを「リアルなミニチュア模型の映像」から「架空の巨大生物や虚構を描く」というジャンルに上書きした、日本の映像史においてかなり重要な作品となっているだろう。
1954年3月に起きたビキニ環礁での水爆実験とそれにともなう第五福竜丸被爆という事件を踏まえ、「人間はまた核兵器という過ちを繰り返してしまうのか」というテーマを元にして作られており、戦争から9年経った日本で東京がもう一度、戦争を思い出すような被害を受けるという作品になっており、ゴジラという驚異を見た人達のそれぞれの思いや葛藤が濃く描かれている。
2023年現在から約70年前の映画なので、現代の価値観で見ると古臭く感じたり、ゴジラの出番が少ないため怪獣映画としては物足りなく感じるだろうが、第二次世界大戦後10年にこの作品が存在したという事を踏まえ見ると現代の価値観からしても感じられるものがあるだろう。
ゴジラ -1.0』がオマージュしている部分も多くあるため一度は見ておいて損はないだろう。

ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』

1995年の『ゴジラVSデストロイア』を最後に休止していたゴジラシリーズを再始動させた1999年『ゴジラ2000 ミレニアム』から続く「ミレニアムシリーズ」第3作品であり通称「白目ゴジラ」。シリーズと言ってもそれぞれ単発作品なため繋がりはない。
1954年から50年ぶりにゴジラが出たという設定の本作は、ゴジラは太平洋戦争での犠牲者の残留思念の集合体という設定になっており、「シリーズで一番怖いゴジラ」というコンセプトで描かれている。そのため明確に「殺意」という意思を持って人間を襲ってくる描写が頻出され、ゴジラシリーズ屈指のトラウマ映画として名高い一本である。
また「護国聖獣」という設定でバラゴン、モスラキングギドラも登場し、それぞれの怪獣との死闘も描かれているのは必見。ちなみにバラゴンは『怪獣総進撃』から33年ぶりの映画出演となった(映像作品の登場としては1997年の『ゴジラアイランド』にも出ている)。
平成ガメラ三部作を手掛けた金子修介氏と神谷誠氏が監督をしており映画としての見ごたえも抜群。
また、本作の終盤のシーンは『ゴジラ -1.0』でもオマージュされているため是非とも見てほしい作品である。
有名なネタではあるが本作は同時上映があり、その作品は『劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険』となっており「ゴジハムくん」というゴジラの被り物をしたハム太郎の人形が特典になるほどのコラボっぷりだった。しかし本作はシリーズ屈指のトラウマ映画なため、ハム太郎を見た親子があまりの怖さにゴジラで途中退場した」などというエピソードがあったりもする・・・・・のだが何故かこの企画は翌年の『ゴジラ×メカゴジラ』、さらに翌年の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』まで続いた
またその強烈なインパクトから「ゴジハムくん」は後に復刻商品化されたり、スマホアプリ『戦機絶唱シンフォギアXD UNLIMITED』でのコラボイベント『ゴジラVSシンフォギア』にて「イベント来場記念品」という名前で似たようなアイテムが登場した。こちらは『戦機絶唱シンフォギア』のキャラクター、天羽奏がディフォルメされ、ゴジラを被っているものとなっている。

当時配布されたゴジハムくん

ゴジラvsキングギドラ

ゴジラ(1984)』から始まった「VSシリーズ」第2弾。
23世紀から来た未来人が1944年にタイムスリップしてビキニ環礁での水爆実験で進化する前のゴジラを殺し、歴史から消滅させようとするというトンデモ導入な映画だがこちらの作品も『ゴジラ -1.0』にてオマージュされている部分がある。
地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』から約20年ぶりとなるキングギドラの出演作となっており、終盤の特撮シーンは特に凄いので一見の価値アリだろう。
また、今作のキングギドラは初めての宇宙怪獣ではないキングギドラだったりもする。

シン・ゴジラ

2016年に公開された本作はやはり『ゴジラ -1.0』を見た後だからこそもう一度見てほしい作品になるだろう。
ゴジラ -1.0』も『シン・ゴジラ』も監督が脚本を担当しており、他の怪獣が出ない、純粋な「ゴジラVS人類」を描いている作品であるため作家性が色濃く出ている。
それぞれの作家性の良さや違いを照らし合わせながらも、両名がどういう解釈でゴジラをその時代に呼び起こしたのかを考えると非常に面白い見え方があるだろう。

まだまだたくさん!ゴジラシリーズ

上記では『ゴジラ -1.0』に寄り添った選出をした。
しかしながら本当にゴジラは幅広く、老若男女に合った様々なゴジラ作品が多いのも特徴であり、だからこそ愛されてきたシリーズである。そんな中でも個人的に好きな作品を紹介していきたいので参考になれば嬉しい限りです。

ゴジラvsビオランテ

ゴジラ(1984)』からの続編であり5年ぶりの新作。
84年のゴジラ襲撃により地上に落ちたゴジラの体表「G細胞」の世界各国との争奪戦とG細胞を使い失った娘の遺伝子とバラの遺伝子を使いビオランテを生み出してしまった博士を軸に「ゴジラ災害による人間の過ち」を描いた作品。
脚本原案は『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざるいのち」でも脚本原案(円谷プロに送った物が採用されたらしい)をした小林晋一郎氏。こちらもウツボカズラとトカゲを合成させた怪獣・レオゴンを科学者が生み出した話であり、同じく芦ノ湖に出現している。
明らかに当時流行りだった『あぶない刑事』に影響を受けているドラマシーンや、その後のシリーズでも使われるサイキッカーなど見所は盛りだくさん。特にラストの昇天する沢口靖子は必見。
「VSシリーズ」でも特に人気の高い本作、是非とも84版から見てその後の「vsデストロイア」まで見てほしい。

怪獣総進撃

珍しくタイトルにゴジラが付いていない本作。
本作の魅力はやはり怪獣が沢山出る。とにかく沢山出る。
特にバランとゴロザウルスはゴジラ映画ではこれにしか出ておらず、非常に貴重な一本だろう。
怪獣が沢山出て、しかも世界中を暴れ回り、最後はキングギドラをの対決を描いた本作は、まさに子供の夢、子供が好きな物しか詰まってないお子様ランチのような嬉しさのある作品だろう。
特にパリの凱旋門を破壊するゴロザウルスは印象に残り、子供の頃にこれでパリの凱旋門を覚えたのを今も鮮明に覚えている。

ゴジラ FINAL WARS

ゴジラ50周年作品にして1999年から続いた「ミレニアムシリーズ」の最終作。
ゴジラvsキングギドラ』以降シリーズを途切れさせず毎年続けていた(休止期間の1996~1998年は『モスラ』シリーズや『ゴジラアイランド』があった)ゴジラシリーズがこの作品を最後に一度幕を閉じる事となる。そのためとにかく怪獣が出るお祭り映画となっている。
シリーズの中でもかなりのガッカリ作品としてファンの間では語られる本作なのだが、本作の魅力はなんといっても怪獣が沢山出る事だろう。
アンギラスラドンモスラといった往年の人気怪獣以外にも、カマキラスやクモンガ、マンダ、ミニラの様な久しぶりの登場となった怪獣、キングシーサー、エビラ、ヘドラのように初登場以来の再登場になった怪獣など様々である。キングシーサーが出るのがいいですよね、特に・・・。
特に再登場怪獣の中でもデザインが大幅リメイクされたガイガンはとてもスタイリッシュでカッコイイ。みんなも北村一輝と共に「ガイガァァァァァァン、起動!!!」と叫ぼう。
また、エメリッヒ版『GODZILLA』のゴジラがジラという名前で登場。シリーズで初めての純粋なゴジラvsゴジラが実現した映画でもある。
新規怪獣のXモンスターも物凄くカッコイイため必見。
そしてもう一つの見所は人類と怪獣・X星人との攻防だろう。このシリーズの中でも恐らく唯一白兵戦のスタイリッシュさに力を振っているため、松岡昌宏ケイン・コスギ北村一輝などのアクションシーンは必見。
好き嫌いが分かれる本作ではあるが、ボク自身幼少期に映画館に連れて行ってもらって初めて映画館で観たゴジラ映画で、この直前にあったBSのゴジラ映画集中放送を当時録画したビデオでとにかく見ていたと言うのもあり出てくる怪獣全てに大興奮したのを覚えており、幼少期から大好きな一本である。

ゴジラ対メガロ

この映画は実はずっと見たことなく、『ゴジラ -1.0』を観に行く前日に初めて見たのだがとにかく味のある一本。
東宝チャンピオンまつり」という小学生の長期休みの期間に公開されるゴジラ新作or編集リバイバルと子供に人気な作品を詰め合わせた上映方法で上映された本作。低予算かつ制作時間はなんと30日ほどしかなかったらしく少々チープ感は否めないのだが、それでも面白く仕上がっているのは流石だろう。そのためカーチェイスシーンが多かったり、特撮シーンは過去作からの流用が目立つ。
今なおカルト的な人気がありながらも映画では再登場が一切ないメガロとジェットジャガーが唯一登場する映画となっている。また前作から続きガイガンも登場している。
所謂「ヒーローゴジラ」と言われる正義のゴジラの真骨頂であり、悪役であるメガロとガイガンも非常にコミカルな描き方がされているため、とても楽しい映画になっている。大人になっても肩肘張らず、童心に返って見られるいい映画だろう。
とは言えゴジラのテーマである「反戦反核」という側面はキチンと取り込んである。
一時期は酷評されていた本作だが、近年では再評価の流れが来ていたりもする。
みんなもこの映画を見て「ゴジラジャガーでパンチ・パンチ・パンチ」を歌えるようになろう。
ゴジラジャガーでパンチ!パンチ!パンチ! みんな~ 正義の~ 友達~!」

ゴジラ対メカゴジラ

今なおそのデザインを変えながら定期的に登場するメカゴジラの初登場作品。そしてキングシーサーの初登場作品である。
様々な作品に再登場しているメカゴジラだが、宇宙人に作られたメカゴジラメカゴジラが擬態した偽ゴジラなど、本作のみの要素もあったりする。
初めてゴジラ作品で沖縄が舞台になった作品。
昭和シリーズの代名詞である「ヒーローゴジラ」の作風とは違い、割と真面目な路線となっている。

ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』

アニメ映画『GODZILLA』三部作ぶりのアニメ作品。
シン・ゴジラ』の成功もあり、ゴジラに形態変化が取り入れられいる。
ラドン、マンダ、アンギラス、クモンガが新解釈で再登場するほか、ザルンガと言う新怪獣も登場。
ゴジラシリーズの怪獣を知っていると分かるデザインモチーフや凝ったEDは必見。
SFシーンは少々難解で理解は追いつけないかもしれないが、この作品の本筋はジェットジャガーの成長」であり、初のジェットジャガー再登場でジェットジャガーに向き合うことである。
そして12話と言う尺でキチンと綺麗に収まっているのでオススメである。
ネトフリ独占配信なためオススメしづらいのがネックだが、ネトフリに加入している方には是非とも見てほしい。

ゴジラ以外にもこんな作品がオススメ

ゴジラ -1.0』を観た人なら分かるが、終盤の盛り上がりで力が入っていたのはミリタリ描写だろう。あのシーンが好きな人なら多分好きになれる作品を紹介しよう。

バトルシップ

世界の海軍の合同演習のイベントの日に宇宙人が地球侵略を開始し世界征服を始める。海に姿を現した宇宙人の巨大メカに地球の軍艦達が立ち向かうと言う映画。
アメリカ本国からはクソ映画として評価されているが、日本では嫌いになれない面白さとチープなシナリオながらも熱くなれる展開があるためかカルト的人気を誇っている
金曜ロードショーでは過去に2度放送されたが、2度目の放送はイージス艦衝突事故があったため直前に延期になったりした。
終盤の手に汗握る展開や戦艦ドリフト、「だが今日じゃない」など見所も多く『ゴジラ -1.0』の決戦シーンが好きな人は好きになれる映画だろう。

ハイスクール・フリート』/『劇場版 ハイスクール・フリート

戦艦×美少女という珍しい題材のSFアニメ。
恐らくアニメを知らない人も名前くらいは聞いた事であるであろう『ガールズ・アンド・パンツァー』ほどの知名度は無いだろうが今でもコアな人気がある作品である。
その人気からか一度ソシャゲがリリース・・・・・したのだがすぐサービス終了したり、令和の時代に映画上映までに作画作業が間に合わず上映2週間で作画修正したバージョンに挿し変わったりする本作品ではあるが、横須賀の聖地化には成功しており、今なお新規版権イラストが出来たりパチンコが出来たりとこの作品の持つ底力は分かるだろう。
刺さらない人にはそこまで刺さらない作品だろうが、ハマる人には本当にハマる、軍艦が好きな男の子の精神があるなら大好きになれること間違いないだろう。
ゴジラ -1.0』は『はいふり』であると言っても過言ではないため、是非一度見てみる事をオススメする一本。

まとめ

いかがだっただろうか?
感想ついでにシリーズにハマる糸口となればと思い割と勢いで書いた記事ではあるが、ちゃんと機能してくれれば幸いである。
改めて言うが、『ゴジラ -1.0』は面白かった。次は4DXで観ようと思っているし、もう一度見たいと思えるほどの面白さがあった。
しかし、欲を言うのならば、そろそろ全国劇場ロードショーでのスーツのゴジラの映画が見たい。それも怪獣が沢山出てきてゴジラと戦う映画が見たい。
現在は毎年クラウドファンディングを募りながらジェットジャガーガイガンなどの昭和怪獣を新しくスーツを作り新作映像を作ったり、FWのスーツを使って『ゴジラvsヘドラ』を作ったり、CMのために千年竜王をまた動かせるように修繕したりしてはいるものの、肝心のゴジラがもう20年選手なためクタクタである。
日本の誇る怪獣特撮映画なのスーツやミニチュアのド派手な特撮シーンは続けていくべきだと思うし、ゴジラにも新しいスーツを作ってあげて大暴れしてほしいと強く願う。


と、話が逸れ始めたため今回はここで終わろうと思う。
それでは次のブログで。

最後まで読んでいただきありがとうございます。