皆さんは特撮作品を見るだろうか?
例え特撮作品を見ない、昔見てた程度で今は興味がないと言う人でも『仮面ライダー』、『スーパー戦隊』、『ウルトラマン』の「三大特撮ヒーロー」と呼ばれるシリーズ作品は知っているだろうし、漠然とどういうものなのかはイメージ出来るだろう。
そんな中でも『戦隊』と言うコンテンツは「多人数」、「明確なキャラ分け」、「等身大モノ」と言う部分でよくこれをイメージした作品がよく出る印象がある。
近年のアニメ作品だけを取っても、『アクションヒロイン チアフルーツ』、『恋は世界征服のあとで』、アニメ2期の放送も予定され、Gロッソで舞台もやる『戦隊大失格』、最近ちょっと話題になっている『桃の園』など様々である。(少し違うが『怪人開発部の黒井津さん』などもある)
しかしここで一つ疑問が生まれないだろうか?
『スーパー戦隊』を見なくてもその漠然としたイメージを割とみんな共通認識として持っていることに。
もちろん上記の作品にその「パブリックイメージ」が完璧に当てはまると言うわけではないが。
というわけで今回は『戦隊ヒーローのパブリックイメージ』を『スーパー戦隊』と「それ以外の作品たち」を交えながら自分なりの考えを書き綴っていこうと思う。
『スーパー戦隊』とは
まずこのブログを書く上で、やはり『スーパー戦隊シリーズ』の概要くらいは何となく頭に入れておいた方がいいだろう。
『スーパー戦隊』は「仮面ライダーが5人チームだったら」のコンセプトを元に石ノ森章太郎を原作に生まれた物である。
第1作目は1975年に放送が開始され、爆発的な人気から2年も放送された『秘密戦隊ゴレンジャー』である。
その後1977年、2作目となる『ジャッカー電撃隊』でいきなりの3クール放送でシリーズ打ち切りとなるが、その後1979年に原作者を「八手三郎」(東堂いずみや矢立肇のような存在)に変え『バトルフィーバーJ』が放送開始となり以後、打ち切りの危機はありながらも2024年、第48作品目となる『爆上戦隊ブンブンジャー』に至る現在まで一度も途切れずに続いている名前に『〇〇戦隊』と入っているシリーズとなる。(一応『怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』と『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の間に特番的な物はあったが)
余談だが『ジャッカー電撃隊』と『バトルフィーバーJ』の間で作られたのが「スパイダーマッ」でお馴染みの東映版『スパイダーマン』である。(放送局は違うが)
また、『スパイダーマン』では『スーパー戦隊シリーズ』より先に「巨大化した敵をロボットに乗って倒す」という物をやっており、その後『バトルフィーバーJ』に「バトルフィーバーロボ」が登場し以後シリーズに特徴である「戦隊ロボ」が恒例の存在となった。
また、『スーパー戦隊シリーズ』には含まれてないが外伝作品として『非公認戦隊アキバレンジャー』や『ザ・ハイスクール・ヒーローズ』が存在する。
その特徴的なフォーマットから様々な作品に影響を与えており、特撮作品に絞っても『超星神シリーズ』や『トミカヒーロー レスキューフォーズ』にもその特徴は見られる。
『戦隊ヒーロー』のパブリックイメージ
では次によくある『戦隊ヒーロー』のパブリックイメージとは何かを大雑把にでも書いていこう。
・基本的にはレッド・ブルー・グリーン・イエロー・ピンクのゴレンジャーカラーの5人
・熱血系のレッド、クール系・ニヒル系のブルー
・レッドとピンクの恋愛要素
・子供がいる作品もある
・一人は大柄な体型
と言った感じだろうか?
「じゃあそれやってるアニメは具体的に何だよ」と聞かれたら何とも言えないため自信は無いのだが・・・。
ではまず上記の要素がどれくらい本家にあるのかを解説していこう。
ゴレンジャーカラー
一つ目の「ゴレンジャーカラー」。
この5色は第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』のカラーなため本家でも初期の5人のカラーとして最も使われている組み合わせではある。
『秘密戦隊ゴレンジャー』以降では『電子戦隊デンジマン』、『超電子バイオマン』、『超新星フラッシュマン』、『五星戦隊ダイレンジャー』、『超力戦隊オーレンジャー』、『激走戦隊カーレンジャー』、『星獣戦隊ギンガマン』、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』、『未来戦隊タイムレンジャー』、『特捜戦隊デカレンジャー』、『魔法戦隊マジレンジャー』、『侍戦隊シンケンジャー』、『海賊戦隊ゴーカイジャー』、『列車戦隊トッキュウジャー』、『魔進戦隊キラメイジャー』と現48作品中16作品で使われている。
また例外的な物だと初期メンバーが9人な『宇宙戦隊キュウレンジャー』、作品初期メンバーというのを含めるなら揃っている『怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』だろう。
思ってたより意外と少ないと感じるだろう。だがまあ3割くらいと考えるとかなり使われている方だろう。初期メンバーの色としてはこの「ゴレンジャーカラー」に対してグリーンがブラック、ピンクがホワイトになったりすることもある。余談だが、合成ではグリーンバック撮影をすることが多いためか、近年ではグリーンは使われなくなっているカラーだったりもする。これは一人だけグリーンバック、もしくはブルーバックを用意する手間と、戦隊では常に赤と青は外れない色な事を考えると仕方ない部分もあるだろう。
(最後のゴレンジャーカラーはもう4年前。果たしてグリーン復活の日は来るのだろうか)
熱血系レッドとクール系・ニヒル系のブルー
二つ目は「熱血系レッドとクール系・ニヒル系のブルー」。
ボクも戦隊作品全部を把握しているわけではないため自身は無いのだが、これに関してはまあ半分正解と言った所ではないだろうか。
実際90年代を中心とした前後では理想のヒーロー像でリーダーシップも取れるレッドは多い。しかしそれを熱血系と呼んでいいのかは分からないし、人によっては島本和彦が描くようなキャラを熱血と捉える人も居れば、どんな時も諦めないでみんなを鼓舞するキャラを熱血系と言う人も居るだろう。だから半分正解と言った感じだろう。
しかし、2010年代にもなってくると様々なレッドが生まれており、むしろ熱血とは程遠い、所謂草食系的で明るいキャラも増えているのも事実である。また、クール系のレッドも居る。
またブルーも様々である。
シリーズ4作目の『電子戦隊デンジマン』のデンジブルー・青梅大五郎の時点でコメディ系のブルーが存在している。また、第16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のトリケラレンジャー・ダンは陽気な少年、第17作目『五星戦隊ダイレンジャー』のテンマレンジャー・"天重星"将児は不良系、第20作目『激走戦隊カーレンジャー』のブルーレーサー・土門直樹はおぼっちゃま口調の真面目系と90年代だけでも様々である。
また、第12作目『鳥獣戦隊ライブマン』にて初の女性ブルーが誕生して以降、『鳥人戦隊ジェットマン』、『忍風戦隊ハリケンジャー』、『魔法戦隊マジレンジャー』、『動物戦隊ジュウオウジャー』、『非公認戦隊アキバレンジャー』と女性ブルーも時々出ている。
また、特に近年での東映特撮作品においてはクールキャラはとにかくギャグ回を作られるという傾向があるため、最後までクールを貫き通すキャラも中々だろう。まあ『特捜戦隊デカレンジャー』のデカブルーの様に担当回のほとんどがシリアス気味なキャラも居たりするが・・・。
結論を言うと、こちらも熱血系レッド同様ブルーはクール系が配置される事が多いが、実際のキャラクターは様々と言ったところだろう。
(近年の作品でも、金が嫌いな俳人の猿原真一や、不良系のリーダーであるヤンマ・ガストなどが存在している)
レッドとピンクの恋愛
三つ目の「レッドとピンクの恋愛」。
こちらもシリーズを通してみればあるにはあるが、それでも少ない。
まず、やはり有名かつ代表的なのは『鳥人戦隊ジェットマン』だろう。いやまあ『鳥人戦隊ジェットマン』はホワイトスワンなのでピンクじゃないのだが今回はやはり戦隊における主人公とヒロインの恋愛の代表格なのでまず紹介させてほしい。
今作のヒロインであるホワイトスワン・香は主人公のレッドホーク・竜、ブラックコンドル・凱との壮絶な三角関係の末に最終回では竜と結婚式を挙げている。
また、次に恋愛要素があったのは『未来戦隊タイムレンジャー』である。
こちらはタイムレッド・竜也とタイムピンク・ユウリの恋愛要素が作中通してサイドストーリー的な描かれ方をしており、中盤以降は他の三人に隠れて事務所でイチャイチャしたりしていた。(もっとも他のメンバーにはバレバレだったが)
最後は結ばれる事が無かったが、こちらも恋愛要素があった戦隊だろう。
そして『獣電戦隊キョウリュウジャー』
こちらでは最終決戦の際に、ラスボスである蝶絶神と戦うために単身乗り込もうとするキョウリュウレッド・キング(ダイゴ)にキョウリュウピンク・アミィが告白。それが成立したため10年後の続編『王様戦隊キングオージャー』では未来から来た二人の息子・桐生ダイゴロウが存在している。(もっともそれに関してはVシネマで一悶着あったりするのだが)
この他にもレッドが学校の同級生と恋愛をしたり、他のメンバーが結ばれたりなどの例はあるものの、レッドとピンクが恋愛をしている作品はかなり少ない。
これは作品のメインターゲットが未就学児~小学校低学年辺りまでな事が起因しているだろう。その辺の年齢層が見るのに恋愛要素を挟んでも理解出来ない難しい話になるためそういった作劇はあまりしないのだろう。(仮面ライダーにおいても恋愛する作品は少ない)
子供メンバー
そして四つ目の「子供メンバー」。
こちらは初期メンバーで居た事は一度もなく、シリーズ全体を見ても三人しか存在していない。
いやまあハリケンレッドやゲキレッド、キングオージャーのメンバーの様に子供にされた例や、とある戦隊の例もあるのだが、変身者自体がそもそも小学生くらいの見た目で固定だったのは『五星戦隊ダイレンジャー』のキバレンジャー・"吼新星"コウと『超力戦隊オーレンジャー』のキングレンジャー・リキ、『宇宙戦隊キュウレンジャー』のコグマスカイブルー・佐久間小太郎しか現状存在しておらず、皆追加戦士である。
変身をしないメンバーも含めると『天装戦隊ゴセイジャー』の天知望のようなキャラクターも居たりするのだがこちらも今回は除外する。
この様に極端に少ない理由はやはり子役の拘束時間(スケジュール)と学問の両立などが影響しているだろう。そのため、出番が多いとは言えないキャラばかりで、特にコウは一ヶ月ほど登場エピソードをやったあとはしばらく変身後のキバレンジャーでしか出番がなかった(キバレンジャーは変身後に白虎真剣という相棒の剣が代わりに喋るためアフレコすら参加していない)
例外的なキャラとして挙げたゴセイジャーの望は、8割ほどのエピソードに登場するが基本的には家の中のシーンしかないため、子役の外ロケの難しさを感じさせるだろう。
大柄な体型の戦士
五つ目に「大柄な体型の戦士」。
口は悪くなるが所謂「デブキャラ」という存在である。
こちらは有名な話だが、『秘密戦隊ゴレンジャー』の初代キレンジャー・大岩大太、同作二代目キレンジャー・熊野大五郎、『大戦隊ゴーグルファイブ』のゴーグルイエロー・黄島太、『鳥人戦隊ジェットマン』のイエローオウル・大石雷太くらいしかいない。
また、戦士には変身しないがダイムゲンという亀のロボに変身する『五星戦隊ダイレンジャー』の亀夫も今回は含んでいいだろう。
(わずか2回ほどの登場で顔が変わりイエローオウルとそっくりさんになった亀夫くん)
それに付随し、「イエローはカレー好き」というイメージがあるが、カレーが好きなイエローはキレンジャーと『太陽戦隊サンバルカン』のバルパンサーくらいである。カレー好きなキャラ自体は『電子戦隊デンジマン』のデンジブルーや『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイレッドも存在しているが。
ではパブリックイメージはどこから?
では何故そんなパブリックイメージがあるのか?
カラーはゴレンジャーからというのは分かるがそれ以外はあまりスーパー戦隊からの要素はない。
というわけでスーパー戦隊以外に目を向け考えてみよう。
『科学忍者隊ガッチャマン』
1972年10月から1974年9月まで放送されていたアニメ作品。ファミ劇で再放送されていたし、近年でもリメイク作品があるので知っている人は多いだろう。
この作品はなんとゴレンジャーより前に放送されていた。ゴレンジャーより前の作品なのだが、個性豊かな5人組で女性メンバーも存在しているという部分はスーパー戦隊を感じさせるだろう。
熱血風(別に熱血ではない)リーダーの主人公・健。ニヒルで健とぶつかる事があるジョー。健に恋心を持つジュン。子供な甚平。身体のデカイ竜。
おお凄い。もうこれで決まりじゃないか。
実際このガッチャマンとゴレンジャーが混ざった認識が誤解され今も続いているというのはあるだろう。なにせガッチャマンは大ヒットを記録しているコンテンツである。そしてキャラクター分けも分かりやすい。誰が最初に混ぜた認識をし始めたのかは謎だが、最初は知っている人が分かる合わせネタだったとしても、次第にロボットなら何でもガンダムと呼ぶ母ちゃん状態の人に広まればそれがメジャーな状態になっていく。まあそういう事だろう。
『超電磁ロボ コン・バトラーV』/『超電磁マシーン ボルテスV』
だが待ってほしい。ガッチャマンスタイルのヒーローは他にも居る。
それがガッチャマンより少し後に放送された「長浜ロマンシリーズ」に分類され、それの第1作目、第2作目となる『超電磁ロボ コン・バトラーV』と『超電磁マシーン ボルテスV』である。
両者共にスパロボでも有名な作品であり、前者は今から10年くらい前にゴールデンでやってた『お願い!ランキング GOLD』で三ツ矢雄二氏が出演した際に紹介されて持ちネタにしていたり、後者は最近フィリピンでリメイクされ、アニソンランキング番組でも紹介されたのでそれなりに知っている人は居るだろう。
両者共に共通して「五つのマシーンに乗る」、「五つのマシーンが合体する」、「メンバー構成が似ている」などの共通点を持っている。また、コンバトラーは初めておもちゃでもちゃんと変形するロボットアニメとして出ており、その後スーパー戦隊に与えた影響も大きいだろう。
メンバー構成自体もガッチャマンと似た様な感じになっており、これらも含めて所謂「五人の戦士」のイメージ像として根付いているところはあるだろう。
『ゲッターロボ』/『ゲッターロボG』
そしてもう一つ、忘れてはいけないのは『ゲッターロボ(TV版)』だろう。
1974年、上記の『超電磁ロボ コン・バトラーV』の二年前に始まった本作。なんと言っても日本の合体ロボの元祖(まあ実際は『ウルトラセブン』のキングジョーが先なのだが)であり、今なおその人気は色褪せないコンテンツの最初の作品である。
ここではTV版を触れるが、熱血系主人公の竜馬、クールでニヒル、そしてボインちゃんが大好きな隼人、そしてデブでムードメーカーな武蔵及び弁慶とキャラクター像がハッキリしている。そして紅一点のミチルや子供の元気も存在しており、非戦闘メンバーも含めるとかなりガッチャマンに近いスタイルだろう。
上記で戦隊のパブリックイメージはほぼガッチャマンからだろうとは言ったが、所謂熱血的な主人公は竜馬が源流なのではないかとも言えるだろう。
つまりどういうことなの?
ここまでを踏まえた上で、結局「戦隊のパブリックイメージはどこからなのか」という話なのだが、これは結論づけるなら「『科学忍者隊ガッチャマン』を筆頭に同時期にあったアニメの影響が大きい」と「それに付随して『秘密戦隊ゴレンジャー』のイメージが大きい」と言えるだろう。
まあしかし、今回は触れなかったがガッチャマン自体も1964年(初代ゴジラと一緒)の漫画で恐らく日本におけるかなり古いチーム物作品である『サイボーグ009』の影響はあるだろうしとなってくる。それじゃあもう石ノ森章太郎が凄いんじゃないか?いやでもチーム物なら『里見八犬伝』が古いし、事実『電子戦隊デンジマン』はそこから影響を受けて・・・・・
あまりにも掘り下げすぎるとなんだか纏まらなくなってきたのでここら辺で締めよう。
まあとにかく、現代人が『里見八犬伝』や『サイボーグ009』をそんな詳しく知るわけがないので(ボクも知らないし)この項で最初に言った事が全てだろう。
まとめ
いかがだっただろうか?
これは最初『戦隊大失格』のアニメ化に際し書き始めたのだがスッカリ放置していたブログであった。しかし『桃の園』の存在もあり改めてちゃんと書こうと思い今回完成させた次第である。
このブログを書く上で最初ボクは「ガッチャマン辺りと混じってるんだろうな」とは思った。実際の所多分そうなのだが調べてみるとゴレンジャーよりガッチャマンが先で驚いた。ガッチャマンは最初2年やり、その数年後には続編もやっているため、それだけ人気があるからこそ日本人の一つのジャンルのイメージ像として根付いているんだなと思うと面白いなと感じるものである。
しかし、『桃の園』の作者が言及していた「全員が女性の戦隊モノ」とは一体何なのか。それが気になるばかりである。
というわけで話が脱線し始めたので今回はこれで終わりである。
まあとにかく、パブリックイメージというのは意外と当てにならないため、知っている人は揚げ足取りをしない程度に「違うんだよ母ちゃん!」と言っていくしかないだろう。
それでは次回のブログで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。ノシ
こっちも合わせて読んでね