ユキノの雑語りブログ

ただのオタク

不朽の名作『THUNDERBIRDS/サンダーバード』


皆さんは『サンダーバード』と言う作品を見たことあるだろうか。1965年にイギリスで放送を開始され、翌年には日本で放送が始まった作品なため知らない人も多いだろう。なにせ日本の地上波でちゃんとした再放送がされたのは2003年頃での教育テレビなので。

しかしこの作品、日本人なら誰しも一度は必ず音楽を聴いたことがあるであろう作品である。そして放送から55年経った現在でも日本の作品に与えた影響が残っている作品だろう。

ボク自身クソガキの頃に本当に好きで好きで何度もビデオで見まくった作品であり、この作品があるからこそ今でもミニチュア特撮が大好きだと言える作品の一本である。
そんな『サンダーバード』を今回は紹介していこうと思う。

サンダーバード』とは

サンダーバード』とは1965年にイギリスで放送開始された人形劇テレビ作品である。
2065年(2032年と言う説もある)を舞台とした本作は、様々な困難な状況に対してスーパーメカ・サンダーバードを駆使し人命救助を行う国際救助隊の物語である。

この作品を作ったジェリー・アンダーソンはそれまでにも7本ほど作品を作っており今作が8本目となる。『サンダーバード』以前に有名なのとしてはあの『新世紀エヴァンゲリオン』の第3新東京市に影響を与えた『海底大戦争スティングレイ』だろう。

それまでのアンダーソン作品は全部30分だったのだが、本作は色々あって最初30分だったのが60分に伸びた(30分として作られた初期のフィルムは追加撮影が行われたとのこと)と言う事もありじっくりとした、しかし決して間延びしているわけではないドラマが楽しめる。アンダーソン作品で1時間作品は珍しく、これ以外だと『ビッグ・オー』のOPや『新世紀エヴァンゲリオン』に影響を与えている『謎の円盤UFO』が有名だろう。

本作を知る上でまず知っておきたい知識と言えばジェリー・アンダーソンが得意とする「スーパーマリオネーション」と言う技法だろう。
日本の人形劇と言えば伝統芸能である人形浄瑠璃NHKで放送された有名な作品『ひょっこりひょうたん島』、『平家物語』、『人形劇 三国志』、今なお続く『ざわざわ森のがんこちゃん』などの舞台の下から糸などで人が操る手法である。

それに対して海外では「マリオネット」と言う上から糸を吊るし、人形を操ると言う技法がある。皆さんが思い浮かべやすい物と言えばピノキオ人形だろうか。
これをベースとしてリモコン操作で目の動きや瞬き、口パクなどを可能としたのが「スーパーマリオネーション」である。

そして本作の特徴は何と言っても、奥行きのあるセット、リアルなメカニック描写、リアルな爆発、人間さながらに汗をかいたり怪我をしたりする人形といった部分だろう。
これら全てが合わさることで本物さながら、まるでその世界が実在し、そこに人間が生きているかのような生活感、リアル感が生まれている。

音楽

本作の特徴的な物であるメカニックの紹介の前にまずは音楽について紹介しておきたい。

本作品において一番有名な曲と言えば「サンダーバードのマーチ」、「サンダーバードのテーマ」などで有名なこの曲だろう。(動画1分20秒からの曲)
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皆さんも学校や自衛隊吹奏楽、テレビ番組の乗り物特集で一度くらいは耳にしたことがあるのではないだろうか?それがこの曲である。
この楽曲は作中の発進シーンの他にもOPやEDでもアレンジされて使われている他、日本語版主題歌はこの曲に歌詞を当てはめた物となっている。

そして本作のOPにも特徴がある。
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これはオリジナル版のOP(日本でも最初の放送はこの曲だったらしい)なのだが、OP冒頭に来る5カウント、これも人によってはテレビ番組とかでも聞いた事あるのではないだろうか?あのカウントダウンの元ネタもこれである。

このように、作品に触れたことがなくても今なおこの曲は知られている。55年前の、しかも日本の作品ではないのにこれはかなり凄い事だろう。
そんなバリー・グレイ作曲のBGMはどれも素晴らしい物であり、本作を語る上では欠かせない存在だろう。

カニック

本作の最大の特徴であるメカ。今回はその主要メカを紹介していく。

サンダーバード1号

ロケット型のメカ。エンジンには原子力エンジンを使っており最高スピードはマッハ20。その速さは30分で地球を一周出来る速さである。
この持ち前のスピードを使い救助現場に急行するのがこのメカの使い方。到着すると移動指令室と言う移動させられる大型無線装置を使いトレーシー島で指令を出す父・ジェフと通信をしたり他のメカ(主に2号)に指示を出す。
長男のスコットが乗るメカだが一度だけ五男のアランが乗ったこともある。

サンダーバード2号

国際救助隊の救助活動で恐らく一番活躍し一番重要なメカ。災害状況に合わせて6つのコンテナを使い分け出動し、現場でそのコンテナの中のメカを出して救助活動をするのがこのメカの特徴。コンテナメカは感覚で言えば『ヤッターマン』のびっくりどっきりメカと言った感じだろう。
それほど重要なメカなため、誤って撃墜された回では救助現場に向かうまでをどうするかを難儀していたりした。
三男のバージルが乗る。

サンダーバード3号

宇宙における救助活動で活躍するメカ。宇宙ロケットなのだが発進していく段階でエンジンの切り離しをしたりせず本当にそのままの状態で宇宙と地球を往復できるのがこのメカの最大の特徴だろうか。
5号以外の他のメカと違い何かしらの補助アイテムは一切無いため救助としては宇宙にある有人の衛星に近づくのが主な救助方法だろう。
また、サンダーバード5号との一ヶ月に一度の接触もこのメカが使われる。
基本的には五男のアランが乗り込むが、アランが5号に常駐している際は次男のジョンが乗り込む。またスコットが操縦する事もあった。
余談だがこのメカはオリジナルの放送順では11話と言う非常に遅い登場になっており(そのため日本放送では該当回が4話になっている)、しかも初出動で救助が終わった後に全員が熱中症で倒れそのまま太陽に突っ込みそうになると言う何とも言えな物となっている。
しかも救助と言う救助シーンも片手で数える程度しかなく、しかも一回はその救助でそのまま話が終わってしまう。なんとも不遇なメカと言えよう。

サンダーバード4号

水中での救助を得意とする潜水艦型メカ。このメカ単体では長距離の移動は無理なため基本的にはサンダーバード2号の6番コンテナで運ばれ、到着した先で出動するのがこのメカの役割。
しかしこのメカ最初の活躍である本放送4話ではサンダーバード2号が誤って撃墜されてしまい出動が不可能になったためニューヨークまで行くのに難儀していた。そのためか日本放送では2回目の出動である本放送12話が7話に繰り上げられ、初出動の4話は10話に繰り下げられている。
出動する際は必ず四男のゴードンが乗り込んでいる。
ちなみにゴードンは前作の『海底大戦争 スティングレイ』と設定上は繋がりのあるキャラクター。

サンダーバード5号

常に地球の周辺にいる人工衛星。このメカのみ唯一救助活動には参加しないものとなっている。
24時間365日、常に地球全体の通信を傍受しており、その中で救助を求める声、特に国際救助隊への直接的な救助要請(あくまでも特定の通信経路があるわけではなく勝手に通信を聞いて状況次第では勝手に交信を始めているだけ)を聞き分け、そこだけを重点的にピックアップして迅速に救助に向かえるようにしている。
基本的には次男のジョンが常駐しているが、一ヶ月に一度は地球にいるアランと交代しているとのこと。
そのためジョンも地球に戻った際一度だけ救助に参加している。

ジェットモグラ

本作を代表する救助メカ。本編には3回しか登場しないがEDで毎回登場しているため記憶に残りやすい。
そのためか今でも根強い人気のあるメカだろう。
作中では「モグラ」としか呼ばれていないがプラモデルで「ジェットモグラ」と言う名称が日本での正式な名前となった。

ペネロープ号

イギリスにいるジェフの協力者・ペネロープの愛車。ペネロープ号はあくまで俗称で正式名称は「FAB-1」。
一見するとただのピンクのロールスロイスなのだがその中には機能が満載。
特筆する機能と言えば車体前方から出る機関銃だろう。また映画では水上を走るなんていう芸当も見せている。
普段は執事のパーカーが運転しているのだが一度だけペネロープが運転した際はあまりの下手さに命の危険があるレベルの暴走を見せていた
そんなペネロープ号も劇場版2作目の『サンダーバード6号』ではスカイシップ諸共爆発してしまう。

ファイアーフラッシュ号

こちらは救助メカではなく本作最初の被害者
旅客機なのだが原子力エンジンのおかげで最高速度はマッハ6。そのスピードのおかげで第1話ではロンドンから東京に2時間半で到着することが出来ると言われている。
しかし欠点として2時間10分以内にエンジンの安全カバーを交換しないと乗員全員の命の危険になるレベルの放射能漏れが発生してしまう。いくらなんでもデメリットがデカすぎる。
ちなみに普通に運航しても東京に着く前に放射能汚染が始まってしまうのだがこれは単純に脚本上のミス。
そんな弱点に目を付けられ、国際救助隊の秘密を盗もうとするザ・フッドの作戦に利用され車輪に爆弾を仕掛けられてしまう。
その結果、2時間で放射能汚染が始まり、それを回避するために着陸しようものなら爆弾が起爆して飛行機自体が吹き飛ぶと言う死の飛行機と化してしまう
またこれとは別の話では、その回の内に2回も海に墜落し、1回は墜落未遂を起こすと言うとんでもな回まで存在する
そんなファイアーフラッシュだが作中一度だけちゃんと着陸している姿を見せる。
登場回数が多いだけでなくEDでも毎回写り、そのデザインの良さから人気の高いメカだろう。


本作の魅力

本作の魅力と言えばメカもそうなのだが本当にリアリティのある災害描写だろう。
流石に55年前に作られた100年後の未来を想像した作品なので今では古く感じる部分もある。例えばこの頃は原子力は夢のエネルギーだったからか作中では事あるごとに原子力エンジンが登場しているが現代においては原発以外で活用はされていない。
しかし55年前の作品なのに今見ても本当に未来を見ているような情景や息を飲むミニチュア描写は55年経った現在においてもこれを超える映像は中々無いだろう。ウルトラシリーズ屈指のミニチュア描写が見られる『ウルトラマンガイア』くらいではないだろうか。

※ここから紹介するさいの〇話は全て日本での放送時の話数となっています

例えば第10話『ニューヨークの危機』では、ニューヨークの都市開発のためにエンパイアステートビルを丸々移動させる計画をしていたのだが、地盤の影響でそのまま崩落してしまうと言うシーンが存在している。
そのシーンではエンジンから爆発が発生しその影響でジリジリと崩壊していくと言うシーンがとてもリアルな物だろう。

第14話『火星ロケットの危機』では火星ロケットを輸送する際に通る吊り橋がその重量に耐え切れずに崩落してしまうシーン。
こちらもいきなり橋が壊れるのではなく、まず地盤の部分がボロボロと壊れていき、そして吊り橋を支えている網の部分がどんどんと爆ぜ、最後の最後に橋が真っ二つになると言う段階を踏んだ破壊描写もリアリティを出している要素だろう。
これは第26話『海上ステーションの危機』でも使われている手法である。

潜水艦の誤爆の影響で海底火山が活性化し、そのせいで四脚の一つが折れ、そのまま崩落の危険性が出てきた海上ステーション。しかもそのすぐそばの海底には海上ステーションの職員が入った潜水ポッドが動けない状況になっている。
そして壊れたらおしまいと言う状況での救助シーンでジワジワと壊れていくステーションはリアルさと同時にドラマに緊迫感を生んでいる。

そして本作のもう一つの魅力はタイムリミットのある救助ドラマだろう。
その話ごとに何かしらのタイムリミットが存在している本作なのだがそこで発生する一分一秒を争う状況で最後の最後まで救助に奮闘する姿が視聴者に対してワクワクやハラハラを生み、国際救助隊のヒーロー性を生み、ドラマに引き込む効果を出している。ただただリアルなだけではなく脚本面でのこういった工夫も本作を面白くしている要因の一つと言える。
特に上記でも紹介した『ニューヨークの危機』では段々と浸水が進む状況でネッドとジョー(アナウンサーとカメラマン)が消耗する空気との戦いと同時に地盤沈下で発生した今にも倒れそうになっているビルの存在で「ネッド達の酸素ボンベが切れる前」、そして「ビルが倒れて地下で津波のような現象が発生してネッド達が巻き込まれる前」と言う二つの条件をクリアした救助をしないといけない二重のタイムリミットが発生し、話を面白くしている。

本作品の影響

本作品は昔だけでなく今日でも日本の作品に大きな影響を与えている。

ファイアーフラッシュ

例えば第1話『SOS原子力旅客機』の終盤、車輪が出せないファイアーフラッシュを車輪を出さずに救助すると言う手に出る。そのさいに車輪の代わりになる高速エレベーターカーと言う車を挟みこみ、車のブレーキと旅客機のブレーキで飛行機を不時着させると言うシーンが存在している。

そして『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』第4話「旋回空域」の終盤、一つだけ車輪が出せない状況で旅客機が着陸する事になったさいにその車輪を肩代わりして無事着陸させるシーンがある。

また、『戦機絶唱シンフォギアAXZ』第2話「ラストリゾート」では離陸しようとした旅客機のタイヤが破壊された際に調と切歌が旅客機を支え離陸の手助けをすると言ったシーンがある。

しかしこの旅客機はこのあとどうやって着陸したのだろうか。

ポケモン

アニメ『ポケットモンスター』にも少なからず本作の影響があり『ポケットモンスター ベストウィッシュ』ではか家族ボランティアでやっている「ポケモンレスキュー隊」のバージルと言うキャラが存在している。

名前や設定などから分かる通りまんまサンダーバードを意識したキャラであり父親の名前はジェフ。


また『ポケットモンスター サン&ムーン』ではルザミーネウルトラビーストの調査のために設立しサトシ一行が協力している「ウルトラガーディアンズ」と言う組織が存在しているのだがその時の出動演出に「大量のアローラナッシーが倒れ川が割れる」といったものがる。

これはサンダーバード2号の発進シーンの滑走路そばのヤシの木が倒れると言う物と、サンダーバード1号がプールの下から出るシーンのパロディだろう。後者に関してはマジンガーZがプールを割って出てくると言ったのもあるだろうが。

ウルトラセブン

また本作に影響を受けた作品として『ウルトラセブン』を忘れてはいけないだろう。
サンダーバード』の日本での放送が1966年4月、そしてその同年7月に『ウルトラマン』が放送され、その翌年10月には『ウルトラセブン』が放送される。
そんな時系列もあってか『ウルトラセブン』ではメカニック描写に影響を受けている物が見られる。


ウルトラホーク1号。『ウルトラセブン』を代表するメカなのだが自然に擬態した所からカタパルト式で発進すると言うのはサンダーバード2号だろう。


またウルトラホーク2号もデザイン面や設定、発進シーンなどその多くがサンダーバード3号から影響を受けていると言っても過言ではないだろう。

庵野秀明

そして本作に影響を受けた人物として忘れてはいけないのが庵野秀明だろう。
そもそも監督は25歳の頃に「ザ・コンプリート・サンダーバード」と言う本編のメカなどのシーンをダイジェストで繋いだビデオを制作している(ちゃんと公式として販売している)のだが監督自身がお遊びとして作品に取り入れていたりすることがある。

これは『トップをねらえ!』第1話「ショック!私とお姉様がパイロット!?」のラスト、ノリコ、カズミ、オオタが宇宙に行くために使ったシャトルなのだが色が違い尾翼が変わっているだけでまんまファイアーフラッシュである。なんなら離陸シーンもまんま。
この他にも『トップをねらえ!』では第5話及び第6話にてノリコの部屋に『サンダーバード』のポスターが貼ってあったりする。

また、庵野秀明自身は監督をしていないが『シン・ウルトラマン』では滝のデスクにサンダーバードのメカの模型が陳列されている。

この他にも『新世紀エヴァンゲリオン』にて舞台となる「第3新東京市」は使徒襲撃の際に建物が地下へと収容されるがこれは『海底大戦争 スティングレイ』の「マリンビル基地」であり、『海底大戦争 スティングレイ』の原語版OPを見てもらえれば分かるのだがこちらも緊急時にはビルが収容されるようになっている。
また『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターなどは『謎の円盤UFO』を想起させるものとなっており、『サンダーバード』のみならずアンダーソン作品自体に影響を受けている事が分かるだろう。

まとめ

いかがだっただろうか?
このブログを読んで少しでも作品に興味を持っていただけたなら幸いである。
「古い作品で1本1時間もあるし」なんて思わずとりあえず1話を見てほしいし、Blu-rayやDVDなどで全部見てほしい。それくらい見て後悔はない作品だと強くオススメしたいのがこの作品である。
本作は基本的に日本での発売されたディスクなどは日本放送順で入っているが出来れば本国での放送順で見てほしい。その方が描写ごとでの時系列の繋がりの発見があったりもするので。
ただ本作、最近公開された『サンダーバードGOGO』以外あんまりリメイクに恵まれていない。実写映画版の方は冒頭とV6の吹き替えと主題歌くらいは見る価値があるが・・・。
なので是非ともオリジナルを見てほしいしこれが55年前にテレビで放送されていたと言う事実に驚いてほしい。
そして気に入ったのなら是非『サンダーバード』の劇場版2作品や『キャプテンスカーレット』や『ジョー90』、『謎の円盤UFO』なども見てほしいと思う。
ディアゴスティーニからアンダーソン作品5作品はDVDが出ていたためもしかしたらBOOKOFFなどで安く見つけられるかもしれないしね。

と言うわけで今回はここまでである。
次回こそは好きなアニメを紹介していくだけのブログを公開していきたいと思うがどうなることやら・・・。

では、ここまで読んでいただきありがとうございます。