ユキノの雑語りブログ

ただのオタク

装甲娘戦機を語りたい(後編)

さて前半では『装甲娘戦機』を語るためにダンボール戦機シリーズについて書いたが、ここからは本題に入って行こう。
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装甲娘戦機

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今作は2021年冬アニメとして始まった1クールアニメである。ただ装甲娘のアニメ化ではあるが正確には装甲娘ではない。装甲娘のようにLBXを纏った少女たちが戦うアニメが『装甲娘戦機』である。キャラクターなどは全てアニメオリジナルなためCMでいつもトキオシティで待っているアキレスなんかは出てこない。
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監督は『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』の”元永慶太郎”、そして脚本は『ガンダムビルドダイバーズ』シリーズを書いた”むとうやすゆき”である。f:id:yukinokino:20210328042219j:plainf:id:yukinokino:20210328042347p:plain
このスタッフの時点で分かる人には分かるだろうが基本はギャグテイストで話が進んで行くが戦闘シーンなどキメる所はシッカリとキメてくれる。そんなアニメである。そしてあのサンポー食品が協力している為ほぼ毎回のようにサンポーのカップ麺が登場する。
ここでこの作品のあらすじとキャラクター、そして用語の紹介をしておこう

あらすじ

親友のマナと池袋に来た本作の主人公リコは何となくで一つのLBX福袋を買う。その中には「アサシン」、「オーディーン」、「デクー」、「ルシファー」、「マスカレードJ」の五つの箱が入っていた。その中の一つ、「アサシン」の箱を開けると異世界に転移してしまう。
異世界で出会った同じく異世界から来た4人の少女で構成された遊撃隊と共にリコの自分の世界に戻る為の”修学旅行”が始まる。

キャラクター

リコ
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本作の主人公。視聴者と同じく東京が首都の世界の少女。修学旅行に行こうとしたら風邪を引いて行けず、初めて東京に行くと異世界に転移させられ、異世界に行くと戦場に落ち車に轢かれ戦いに巻き込まれ、そして狙撃手なのに弾が全く当たらないと言うどこかツイていない。使用LBXは「アサシン」。

ユイ
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遊撃隊の一人。調布に首都がある世界から来たショートヘアーでボーイッシュな少女。口が悪いためたまに仲間と喧嘩にもなったりするが仲間思いである。元の世界ではぼっち。使用LBXは「オーディーン」。

スズノ
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遊撃隊の一人。千葉が首都の世界から来た少女。コミュ障上にとある理由から友達を作らずあまりコミュニケーションを取ろうとしない。使用LBXは「ルシファー」。

キョウカ
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遊撃隊の一人。神奈川が首都の世界から来た少女。他のメンバーとは違い遊撃隊より前に別の部隊に所属していたがそこで仲間を失い、仲間を殺したミメシスに復讐しようとしている。平時でも山盛りのあんみつを一人で頬張る遊撃隊の中で一番の大食い。使用LBXは「デクー」。

ミハル
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遊撃隊の一人。長身で寡黙。作中語られないためどのような世界から来たのかは不明。父親が警察官なため警察官になる夢を持っている。使用LBXは「マスカレードJ」。

ネイト
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遊撃隊が使用する装甲車のAI。毒舌で聞かれていない事は答えない。ただし仲間思いなため旅行ルートを作成したり遊撃隊メンバーの意思を尊重したりする一面もある。だが自分最優先で動く時もあるため遊撃隊メンバーに脱出方法を教えないまま自分だけ先に脱出したりする。

オタクロス
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本作の準レギュラーキャラ。本家ダンボール戦機及び装甲娘にも登場するがそれらとはまた別の世界から来たオタクロス。ただし性格などは本家とあまり違いはなく天才で色々なものを作り遊撃隊をサポートする。エロ親父な面もある。本家に比べるとかなりまとも。

用語

LBX
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ダンボール戦機」と言う作品の肝になる玩具。本作ではLBXを元に構成されたアーマーを装着して戦う。

アタックファンクション
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ダンボール戦機」でもお馴染みの必殺技。最初の頃はエネルギーの消費が激しく一度発動すると戦闘不能になり大量の食事をしないといけなかったがその後オタクロスによる数回の調整によりものによっては一回の出撃で数回発動可能になった。

ジャガーノート部隊
遊撃隊の名前。ちなみにこれは遊撃隊の行動を監視していた大臣達が勝手にそう名付けて呼んでいるため遊撃隊のメンバーは終盤までこの名前を知らない。

ミメシス
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本作の敵。金属生命体で意思疎通は出来ない。小型は大量に存在し、大型にも様々な種類がある。建物に擬態する事も可能。

空震
装甲娘戦機の世界での災害。ミメシスはここから発生する。また異世界から人が転移させられる事もある。

装甲娘戦機の最終回

とある街で出会った装甲息子が戦死したり、謎の装甲婆さんが本当に謎のまま再登場しなかったり、風呂に入れば全身が眩しいくらい発光したり、とにかく観光に話使ったりとするこのアニメだがそんなアニメにも最終回は来る。ここからはその最終回、そしてこのアニメについて語っていく。

episode12 「世界を救う絆」f:id:yukinokino:20210328044507p:plain

謎の装甲婆さんから託された「SWITCH」を道中寄り道をしながらも熊本の阿蘇まで送り届けた遊撃隊改めジャガーノート部隊は熊本城を拠点とし第三次時空震に合わせて時空震のエネルギーを利用し対消滅させ、さらにミメシスも元の時空に強制的に送り返す「阿蘇作戦」の中核として参加することになる。f:id:yukinokino:20210328044400p:plain
空震の影響で出来る時空ホールから無限に湧き出すミメシスを対処しながらそれを対消滅させる為のタイミングになるまでの時間稼ぎをする。そんな中時空ホールから超弩級ミメシスが出現しさらに時空震消滅の為の要になるドック(メーサー車っぽい車)もオーバーロードしピンチになってしまう。そんな中自らが回路になる提案をしたネイト(のAIが入ったボックス)がドックの繋ぎになり再起不能になるまで尽力する。しかし超弩級ミメシスを消滅させるには後一押し足りなかった。リコ以外の四人もアタックファンクションを使いきった為最後に残された手はリコのアタックファンクション「自爆」のみとなっていた。アサシンの自爆はエネルギーを外に逃がす為装着者にはダメージが無いがそれでも一度きりの攻撃になる。そして自爆を決意したリコは仲間から背中を押され最後の攻撃であるアタックファンクションを発動し超弩級ミメシスを見事撃破する。f:id:yukinokino:20210328044638p:plainf:id:yukinokino:20210328044657p:plain
がしかし全てを出し切ったリコは時空震消滅に巻き込まれそうになる。また時空震に巻き込まれればどうなるか分からないため他四人も最後の力を使いリコを連れ戻そうとする。
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気が付くとリコが居た場所は元の世界の池袋のショッピングモールだった。1話で転移した段階から時は進んでなく、まるで今までの出来事は夢か幻のようであった。しかし手に持っていたLBX・アサシンには最後に背中を押してくれたユイの手形が付いており、福袋の中には汚れ、そして傷だらけになっているオーディーン、マスカレードJ、ルシファー、デクー、そして装甲車の模型が入っていた。
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それらを見たリコは自分の愛機であるアサシンを胸に抱く。そして「ボロボロだから変えてもらった方が良いんじゃない?」とマナに聞かれたのに対し涙を流しながら「このままで良い。」と答えマナに一言「ただいま。」と告げるのであった。
あの世界での出来事は夢かもしれないがリコの記憶やLBXには確かに残っていたのだ。

最終回まで見て

このアニメは非常に日常パートが多く戦闘自体は2、3話に一回である。ならその戦闘以外の日常シーンは何をしているかと言うと旅である。しかしそれはただの旅では無く友人と呼べる存在と衣食住や苦楽を共にし観光をし、時々ミメシスと戦い、絆を深めていく。まさに”修学旅行”と呼べるものになっていた。そう、リコが昔熱を出して体験する事が出来なかった修学旅行である。
このアニメではその日常シーンでのキャラクターの活かし方が特に上手い。確かに戦闘アニメなのに緊張感が無いと言われるとそうなのだが、彼女達はいきなり転移させられ戦いに巻き込まれただけの普通の少女達である。そんな彼女達の愉快な旅は3ヵ月の間毎週見ているととても癒しになってくるのだ。だからこそこのアニメが終わった時の喪失感はとても凄いものだった。
上記のリコが戦いを終え、池袋に戻ったのはなんとEDまで終えた番組終了"1分前"の出来事である。あくまでリコ視点の物語であったため他の4人がどうなったのかは描写されていない。
また「阿蘇作戦」結構前にはリコ達5人は「もしもそれぞれの世界に行けたら」、「将来の夢」の話、そして「今日の寝床ジャンケン」をしていた。ジャンケンに勝ったリコは「作戦が終わればヘトヘトだから一番いい場所で眠りたい」、そう言っていたのだ。しかし「阿蘇作戦」終了とともに元の世界に戻されたため誰にもお別れの挨拶が出来ず、そして「一番いい場所で眠る」と言う夢も叶わなかったのだ。
だからこそ見ている側もリコと同じように喪失感にかられ、まるで夢を見ていたかのような感覚になるのだ。
これは本当に描写が凄く良く、さらにキャラを好きになったからこそ味わえるものでありこのアニメには確かにそうさせる積み重ねがあったのだ。

またリコ以外にも変化を見せたキャラクターが居た。それはスズノである。
最初の頃はコミュニケーションを取ろうとせず、必要な事はチャットで伝えたりしていた。
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そんな彼女にも変化が訪れるタイミングが来る。それがepisode 7でネイトが提案した四国一周ツアーである。
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ネイトはあえてスズノにのみ地図を持たせスズノを案内役に指名する。それはネイトなりの気遣いなのだがそれでもスズノは他人と距離を取ろうとし、そしてグイグイくるリコと喧嘩をしてしまう。しかし本音をさらけ出したからこそ分かりあいそして仲が深まった。
そして最終回ではスズノ本人からリコに対してチャットを使わず話しかけると言う変化を見せたのだ。
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この他にもここでは書ききれないほどにとにかく魅力的なキャラや話が多くそして面白い。そんな隠れた傑作である『装甲娘戦機』をまだ見ていない方はぜひ一度見ていただきたい。きっと好きなキャラクターが見つかり、そして彼女達のちょっと変わった”修学旅行”が楽しめるはずだ。